file.122 圓八の「あんころ餅」

いちにちいちあんこ

雑誌の取材で久しぶりに石川県に行ってきました。

いや、それがですね。

我ながらびっくりなんですけど、最後に行ったのは多分もう17年前なんですよ。

昔勤めていた出版社で、20代の前半、営業部に二年間所属してたんですが、その時石川県・富山県を担当してまして。なので何カ月かに一度定期的に訪れていたんです。

なので、なんとなくわかった気になっていたというか、プライベートで旅先に選ぶということがこれまでなかったんですね。意外にも。

それに仕事で行ったことがあると言っても、特に観光をしているわけでもないわけで、あんまりよくわかってないんですよね。さすがに兼六園は何度か行ったことがありますが、それ以外はひたすら書店さんを廻って、また電車に乗る、って感じです。

なので、美味しいお寿司なんて一度も食べたこと無いです。

夜はくたくたで、駅で買ったお弁当をビジネスホテルの部屋で食べる、昼は適当に、時間がないので、ドトールみたいなところで軽く済ませる。

……なんか、すっごい健気じゃないですか?
北陸の良さをほとんど味わえてませんよ!? 23歳の私、真面目に働きすぎっ!!

そして夜には、JRの夜の特急に乗って次の営業地、岐阜へ向かうんですが、移動中の電車の中で、私にとって最高のご褒美が待ってるんです。

そのご褒美が、これ。

圓八さんのあんころ餅です!

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今回は、すっかり新しくきれいになった金沢駅ビルのセブンイレブンで買いました。 当時も、確かキオスクとかで売ってましたよ。お値段は確か350円とかだったかな。
今回かったら370円だったので、ほとんど値上げしないで頑張ってくれてるんだなあ。

昔を思い出して、取材が終わった帰り道、昔はなかった北陸新幹線で東京に帰るときに食べることにしましたよ!

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そうそう、これだ~!
竹の皮で包んであってねえ。
べちょっとなっちゃって大きなあんころ餅になってますけど、実際には小さなお餅が9個入ってます。

圓八さんのHPにも書かれてますね。

――『圓八』の代表銘菓「あんころ餅」。その歴史は古く、当店が創業した元文2年(1737年)から、あんころ誕生にまつわる昔話が伝わっています。
素材にこだわり、厳選された小豆と、白山ろくで栽培されたもち米を使用しています。白山から流れ出る伏流水を使用していることもおいしさの秘訣です。――(引用終)

圓八さんの本店は、今回私が取材してきた白山市にあるんですね。
改めて、白山、良かったなあ。 素晴らしい土地でしたよ!あの素晴らしい風土の中で育まれたもち米とおいしいお水、それに丁寧に炊いたあんこ、そりゃまあ美味しいに決まってますね!

口に入れてみますと、…ああ、これこれ。変わらないなあ。
この手のこしあん、やはり関西風です。

私の拙い私見ですが、京都のこしあんはちょっと違うんですけど、その周辺のこしあんの方向って似ています。水分が少なめで、ほくほくっとした食感。甘さも控えめです。
特に大阪のこしあんと共通点を感じますね。

今回も10分ほどで一気食い。
変わらぬ美味しさ、美味しうございました。
また石川県に行ったら、絶対食べよっと。

圓八
http://www.enpachi.com/

file.121 小松屋本店の「つる」

いちにちいちあんこ埼玉県生まれ埼玉育ちなワタクシ。
老舗の有名どころは押えているつもりでしたが、恥ずかしながらこちらは知らなかったです。

世界遺産に登録された和紙・細川紙の産地、小川町と東秩父村というところにある小松屋本店さんの銘菓「つる」。母が買ってきてくれました!

なんとこちらの小松屋本店さんは、創業が1791年、寛政三年という老舗。当主の豊田さんは、全国和菓子協会で選出している「選・和菓子職」認定の職人さんのこと。

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創業当時から続いているという銘菓「つる」。
どんなあんこものなんでしょう?
20160624-2あら?
なんかどっかでみたことあるな…。いや、気のせいかな。
20160624-3あれ~!?
何だろう、ものすごく見覚えがある?!
これ、うんと昔に秩父のスーパーで買ったことあるな。うん!

この白い粉に見えますのは、砂糖ではなく上新粉みたいなサラサラしたもので、あわい甘さ。

皮は、黒糖風味の甘食みたいなかんじ。あんこはこし餡ですが、甘さ控えめで、白い部分、黒糖の皮、こし餡の甘味がほぼイコールって感じ。
一口いただくと渾然一体となって、さらっと食べられちゃいます。素朴で美味しい!

ところで、なぜこのお菓子が「つる」という名前なのか、気になりますよね?
小松屋本店さんのHPをみても何も書いていません。いろいろ調べてみたら、店主の方のインタビューを発見しまして、その中で「由来がわからないんです」と店主さんも言ってましたw。

そうなんだ~^^;。
いえ、じつは私、即座に連想したものがあります。
それは「鶴の子餅」です!
関東では「すあま」と呼んだりしますが、卵型の紅白のお餅のこと。

楕円形で、平べったい上新粉を使ったお餅なんですけど、なんか形がちょっと似てませんか?

埼玉はもちろんのこと、お店のある東秩父村も、お米よりは麦のほうがとれるようなお土地柄です。小麦のほうが手に入りやすいので、上新粉ではなく小麦粉のお菓子を作ったんじゃないかな。そしてなかにはあんこ、外側には白いものをまとわせてみたんじゃないかな。
名前のほうも、長い年月の中で、「鶴の子」の「の子」が取れて「つる」になっちゃった、みたいな?

なんて。
勝手な想像ですけどね。

小松屋本店さんでは、上生菓子なんかもいろいろ作ってらっしゃるみたいなので、ぜひ次回は実際にお邪魔してみたいと思います!

小松屋本店
http://komatuyahonten.net/pastry.html

file.120 千日の「ぜんざい」

いちにちいちあんこ久しぶりの長期休暇をいただき、大好きな沖縄にいってきました!

数年前までは年に2、3回通っていたのですが、フリーになってからはあまり休みが取れず、今回はなんと2年半のブランク。なんと…

久しぶりの那覇は、すごく変化していました。

そう。「すごく」です。

再開発の波はとどまるところを知らず…

そんな気がして、なんとなくいつも以上に沖縄感覚にチューニングしづらいような…

私はいつも来沖したら一番初めに波の上宮にお詣りし、ご挨拶することにしているのですが、なんと言いましょうか、そこでもまだチューニングしきれない…

ということで。

千日へ、ゴー!

image千日は「ぜんざい」と言えば、まず最初に名前が上がるような、観光客にも有名な甘味と軽食のお店です。休日は行列ができたりするそうですよ。

「ぜんざい」と言うと、小豆のあったかいあんこの中にお餅が入っているものを想像するかもしれませんが、沖縄の「ぜんざい」はまたひと味もふた味も違います。

20160513-2こちらが、沖縄の「ぜんざい」です~!

かき氷じゃないですよ、ぜんざいですよ!

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下の方を見てください、
この下の部分が主役です

20160513-4最初は大変ですが、よいしょよいしょと掘り起こしますと、出てきました~!あんこ部分!
あんこ、というのもちょっと違かな。いや、しかしあんこと言いたい。

この明るい茶色ですが、そうなんです。小豆のあんこではありません!

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金時豆のあんこなのですね~!
アズキと違って、金時豆のほうが軽やかな味わいかもしれません。少しねっとりとしたテクスチャ-と、上品な甘さがなんとも言えず美味しい。

千日では、この美味しいぜんざいを300円でいただけます。

変わりゆく沖縄の中でも、この味は変わらない…。
私は、この一杯をいただいて、ホッと一息つけました。ようやくいつものようにチューニング出来た気がしたのです。
素朴で必要なものだけがあるような店内、ふんわりと優しいおかみさんの笑顔と、丁寧に炊かれた金時豆のかおり、そして味。

この、素朴で優しい風景が「古き良き沖縄」となってしまうのも、残念ながらそう遠くないかもしれません。それほど、沖縄の変化は加速度的に進行していると感じました。

いつまでもこの優しい美味しい味が残ってほしいです。

千日
http://tabelog.com/okinawa/A4701/A470101/47001481/