file.89  喜八洲総本舗の「きんつば」

いちにちいちあんこ

大阪には美味しいものが多すぎて困ります。そして、大阪の方にはグルメが多いように思います。さすが「食の都」ですね。

そしてもちろん、あんこものも、さすが大阪です。

Aさんがご馳走してくださった、北新地に夜遅くまで開いている老舗のお餅やさん(この呼び方も上方っぽいですよね)いなば播七さんのおはぎは絶品でした。そして、Aさんに連れて行っていただいた、北浜の菊壽堂義信さんの高麗餅も絶品でした。

そして〆は、Y姐さんがお土産にと持たせてくださった喜八洲さんの「きんつば」!!

20150413-1

大阪に行く前に、美味しい和菓子屋さんはどこかな~と調べたりしていた時に、確かに目にしたことのあるこの名前。

さすが姐さん!Aさん同様グルメです~!

20150413-2

なんだかもう、包装もかっこいい。

「必要なものだけちゃんとある」というデザイン。この空気感は、なるほど、「きんつば」というシンプル直球型和菓子を表現するには最適というか…

20150413-3

そしてこちらが「きんつば」!

写真だといまいち大きさが伝わらないかもしれませんが、ものすごく大きいです。関東でお目にかかるきんつばの約倍くらいのボリュームがあると思います!

20150413-4

サイトを拝見しますと、こちらの小豆は北海道十勝産。大粒の小豆をしっかりと炊いて良質の砂糖で甘さは控えめに。確かに、ボリュームはしっかりとありますが、食べ始めてみますとあっさり一個いただけちゃいました。

それにしましても、こちらのきんつばをいただいていて、また今回いただいた大阪の老舗二店の名物二品をいただいてみて、あんこや和菓子の世界にははっきりと、「大阪らしさ」というものがある、と感じました。

伝統的な料理はもちろんですが、その土地の人が長らく愛してきたお菓子、または日本酒といったものには、その土地の風土・美意識が込められて居ると思います。私のような一見のお客にとっては、その土地の文化を感じるのにとても分かりやすく、ありがたいものです。

今回も、三つの大坂を代表する老舗のお味をいただくことで、その一端に触れることが出来たように思います。

大阪のあんこは、丁寧に手間をかけて造られていますが、それをあえて分からないように作っているような、そんな気がします。すごいんですよ、貴重なんですよ、心して食べなさい、というよりも、「たくさん食べてな、おいしいやろ?」「わーありがと~!めっちゃおいしい~!」なんてはしゃぎながらいただけるような、そんなかんじ。

入口はものすごくフランクでフレンドリー、でも、その気安さの向こうには非常に硬質な美意識のかたまりを感じます。なにしろ大阪は京都以上に古い土地ですからね…。

いやあ、ほんともう、大阪大好きになっちゃいました。

Aさん、Y姐さん、本当にありがとうございました!
またよろしくお願いします~♥。

喜八洲総本舗

http://www.kiyasu.jp/index.html

file.88  菊壽堂義信の「高麗餅」

いちにちいちあんこAさんとご一緒して大阪を廻ってみよう、となったとき、Aさんから「どこか行きたいところはある?」と訪ねられて、まず最初に頭に浮かびましたのが「北浜というところにある菊壽堂さん」でした。

『あんこの本』(姜尚美著・京阪神エルマガジン社)を読んでいた時に、こちらの「高麗餅」を紹介している記事を拝見し、その美しさ、佇まいにズキュンとやられてしまい、心にへばりついてしまっていたのでした。

さて、そうしてAさんの車でやってきましたよ~!
まったく土地勘ありませんが、この北浜というところは東京で言うと虎の門とか霞が関みたいな感じなんでしょうか。官公庁があったりするような場所みたいですね。

周囲は、いかにも立派なビルが立ち並んでますが、その一角に古い日本家屋が何件かあるエリアがポツンとありまして。
しかもその中に、上品に佇んでいるお店なもんで、何度も前を通り過ぎちゃいましたよ。店先のお写真、撮ったつもりだったんですけど、Aさんに取ってもらったこれしかなかった^^;。

20150329-4

ちょっとわかりにくいかな~。

でも、店先からして清げで何とも言えない佇まい。これは間違いなく美味しいお店だあ!と一人興奮するわたくし!

早速、お店に入るや、おもむろに「高麗餅」を注文。Aさんはおぜんざい、Aさんの奥さまは私と同じ高麗餅をオーダー。

そしてそして……

20150329-1

 

これですよ、これこれ~~!

これが心に張り付いていた、憧れの「高麗餅」です~!!!!
一目瞭然ですけども、五種類のあんこが一皿で楽しめちゃいますよ~!

『あんこの本』の記事によりますと、「にぎり寿司と同じで、できればその場で食べてもらいたい」(17代目ご主人談)とのことなんですが、まさに握り寿司のようなたたずまい。この美しい山型は握った時のかたちですよね。
20150325-3

さてさて。どれから頂こうかな~と、ちょっと悩みましたが…、
まずは、と粒あんからパクリ。わああ、なんて上品な甘さ!皮が柔らかい!粒あんならではのコクがたまりませんよ!
次は白あんをパクリ。おおおお、白あん、これこそ私が考える上方の白あんですよ。しかも何となく京都の白あんとは違いますよ。なんて言ったらいいのかな、男っぽいさっぱりした白あんって感じです。美味しいわあ。

そして、見るからに抹茶が濃そうな抹茶あんをちょっとだけ舐めてみましたら…

20150329-4

うわっ。
抹茶が濃い~!!
美味しい~~!!!

この抹茶あんをいただきましたら、まるで、おぜんざいの間の塩昆布をいただいた時かのような、「口の中リセット」できちゃいましたよ!

あんこなのに、あんこの味でちょっと甘くなった口の中を爽やかにリセットって、すごくないですか??でも、やっぱりあんこなんです、確実にあんこなんですよ。

今まで、抹茶あんはいろいろいただいてきたと思いますが、迷いなくこちらの抹茶あんがナンバー1だと断言できます。これは、本当に素晴らしい逸品です。

抹茶あんの次は、白ごまあんです。

おおおお。これも美味しい!

ゴマをあんこに練りこんでいるのではなく、白あんこの周りに、半分くらい潰した白ごまを付けてるって感じなんですが、このバランスが絶妙なんです。これ以上多いと、ゴマの味だけになっちゃうと思うんですが、白ごまの風味もはっきりしちぇるけど、白あんの風味もちゃんとある、そんなバランスになっています。これは美味しいわ!

そして、最後は、こしあんです。
いやあ、我ながら素晴らしい順番を選びましたよ。自分を褒めてあげたい!

このこしあんがまた、ほんっと~に美味しい!
丁寧に練られてますが、すごく新鮮、と言いましょうか。水分はそれほど多い方ではないと思います。水分というか糖分、か。サラサラとしたこしあんの粒子がするすると口の中でほぐれてなくなります。

ああああ、美味しうございました。
あ、そうだ、あんこの話ばかりしてましたが、中のお餅も、これまた大変おいしいお餅でした~。思い出すだけで涎が…。

大阪に行くときには、ぜひまた行きたいです!
東京にあったら、できる限り通うなあ。お店の雰囲気も本当にすっきりとしていて、気持ちいい。本当に素晴らしいお店でした。

この前に連れて行っていただいたいなば播七さんも江戸の創業でしたが、こちらも江戸時代、1830年ごろの創業だそうですよ。いやはや、やはり上方の懐は深いですねええ。

菊壽堂義信
http://tabelog.com/osaka/A2701/A270102/27014624/

file.87 いなば播七の「おはぎ」

いちにちいちあんこ

関西のあんこもまた、本当に美味しい。

というか、正直、どこの地方でも、土地の方がていねいに作ったあんこは、間違いなく美味しいんですけどね!!

でも、あえて言うなら、プロフェッショナルな味がする、というかんじ、かなあ。都会の洗練さと申しますか…。

お江戸のあんこも、やはり都会の洗練さというのもありますし、もちろん美味しいですけど、なんと申しましょうか、……方向性がそれぞれちょっと違う。

これまた、京都と大阪もまた、それぞれ違う…。

全体的に、お料理なんかいただいてても、大阪と京都は違うなあ、という印象はありましたけれども、やはりあんこも同様に、やはり違うなあ、と思いましたですよ。

20150325-1

3月9日に大阪にお邪魔しまして、いつも大変お世話になっておりますH山先生の親友Aさん、そしてY姐さん、サプライズゲストN編集長と合流。
めちゃくちゃ美味しいお寿司屋さんに連れて行っていただき、おなか一杯美味しいおすしをいただきました。

新幹線の最終で東京にもどるというN編集長を見送ると、

「もうちょっと飲んできましょ、それからむとうさんの好きなあんこもまだやし!」

とAさん満面の笑み。

しかし、この時点でも9時ごろ。東京だと和菓子屋さんはもうしまってる時間です。和菓子屋さんて店仕舞い早いですもんね。

でも、さすがAさん。さささ、とお目当ての和菓子屋さんに入り、ささささとおはぎを箱買い。

「ほな、いきましょか」

またさささささ、と軽快にとあるビルのエレベーターへ…。私はひたすらさささささについていくばかりですが、おはぎ持ち込めるお店なんてあるんでしょうか。

エレベーターが開くなり、わあ、なんておしゃれなバー!

Aさんがおっしゃるには、行きつけのバーなので、お願いすれば持ち込んでも大丈夫、とのこと。ひゃ~、それにしても、バーにおはぎ持ち込みなんて新鮮過ぎませんか?!

でも、若くてかっこいいマスター、ふんわりと微笑みつつ快諾。うわあ、すみません!!

20150325-2早速箱を開けて、きれいなお皿におはぎを3つ乗っけてくださいました。

まあ!!!
なんてきれいなおはぎなんでしょう!

粒あん、こしあん、きな粉。

大きさはそれほど大きくありませんが、しかし、おすしでパンパンなお腹に、10時近くのこの段階で、この3つちゃんと食べきれるのか!?>私!
視覚的にはものすごく食べたい、ワホワホいきたい。
しかし、胃袋的にはほとんど余裕はない、大丈夫か?私?
とひたすらおはぎを見つめ続ける私をよそに、Aさんが、ささささささとマスターに、

「むとうさん、お酒あんまのまへんから、フルーツで軽いのでも作ってもらえる?」

なんてかっこよくオーダーしてくださってますよ。
え!でもおはぎにカクテルって!?
和菓子にお酒って、あうのかな、どうなのかな。

キョロキョロする私。明らかに挙動不審です。

そんな落ち着きのない私とは対照的に、流れるような美しい所作でささっとマスターが作ってくださったのがこちら…

20150325-3フレッシュなイチゴと紅茶のリキュールのカクテルでございます~!!
ひゃあああ!なんてきれいなの~!!

さっそくいただくと、新鮮なイチゴの甘さ、匂いがふわーっと広がりますが、抜けるときに紅茶のきりっと爽やかなテイストがある感じで、ものすごく美味しい。

そして、おもむろに……

20150325-4

こしあんのおはぎからいただきました!

うわああ、美味しい~~!

あんこがものすごく上品!!甘さはごくごく控えめです。こしあんらしい食感、アズキの風味がものすごくたってる感じ。そしてここにカクテルをキューっといいただくと…。

合う!

ものすごく合います!

よく考えてみたら、イチゴとあんこって、相性いいですものね。言ってみたらイチゴ大福みたいな感じです。でも、ちょっとお酒が利いているので、体験したことのない余韻みたいなものが漂います。

大人だ!

興奮してそんなことを喋りまくりながら、おはぎをどんどんいただいちゃう私。カクテルもごくごく。もっとゆっくり飲みなさい、と心の中で良識ある私が私を窘めますが、美味しくてくちが止まりません。

その後に、さらに出してくださったカクテル第二弾は…

20150325-6

アレキサンドリアというブドウを使ったカクテル。さわやかなブドウの甘さと、仄かな苦みがたまらなく美味しい!

これまたおはぎに合います~~~~!

この苦みがまたニクイ。あんこと一緒にいただくと、コクが増すと申しますか。いやあ、それにしても和菓子とお酒っていうのもこんなにも美味しくいただけるものなんですね。

本当にびっくりしてしまいました!

帰宅しましてから調べてみましたら、こちらのおはぎ、「いなば播七」さんという餅屋さんのおはぎでして、なんとこのお店、1781年創業の老舗なんだそうですよ!
そして、夜22時まで開店してるみたい。すごいなあ。
こちらは「ジャンボおはぎ」というのが名物みたいですね。一キロくらいの大きなおはぎだそうです。

それにしても、Aさん、本当に美味しいお店、そして大人なおもてなししていただきまして、本当にありがとうございました。Y姐さんもお付き合いいただきまして、本当にありがとうございました。

また、マスター、本当に美味しかったです!ありがとうございました!近かったら通いたいです~!

大阪サイコ―ですっ!

いなば播七
http://www.rurubu.com/sight/detail.aspx?BookID=A4001100