「朋あり 遠方より来たる また楽しからずや」

一昨日の晩は20代の頃よく遊んでいた友人Mちゃんと12年ぶりの再会を果たし、お土産に食パンをいただきました。食に関するライティングも多くものしているMちゃんだけあって、この食パンが美味しいのなんのって!!

Centre the Bakeryという、銀座にある食パン専門店の食パン。調べてみるとなんとあのVironの姉妹店みたいなお店です。ううむ、さすがMちゃんだなあ。

美味しい食パンって、本当に幸せな気持ちにしてくれますね。たとえるなら、「自分が猫になって、なでるのが上手な人に背中を撫でてもらってご機嫌になってる」みたいなかんじですよ。

トーストにしても素晴らしいし、そのまま食べても素晴らしい。こんなに美味しい食パン、なかなか出会えないですよお。

そんな食パンを幸せだわあ、と思いつつ目をつぶっていただいてると、今度は宅急便が。友人Tさんからの宅急便。

メールで、「借りてた本を発見したから送るね。あと武藤さんが好きそうな本も一緒に入れといた」と連絡をもらっていたので、あ、あれかなといそいそ受け取ってあけてみると…

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まずこの二冊は、私が貸してたもの。あ、Tさんが持ってたのか!!ないなあ、と思ってたんですよね。
実はこの二冊は私にとってとても大事な本(図録、雑誌)なんですよ。私の趣向のすべてがこの二冊で説明できるかもしれないってくらい。

そして、Tさんがおまけで入れてくれたのが、
20140509-2この三冊!!!

Tさん、私の大好物分かりすぎ~!!

まず、一番右の船尾修さん著『カミサマホトケサマ』は一見わかりにくいかもしれませんが写真集。かつてこの中で見た光景を生で見たくて、大分まで足を運んだことがあります。懐かしいなあ。

大分県の国東半島は、非常に濃ゆい宗教的土壌があり、仏教的であり、土俗的なさまざまな事象が今も伝えられていて、本当に素晴らしい場所です。この『カミサマホトケサマ』はその風土をこれ以上なく正しく捉えていて、素晴らしい一冊だと思います。

そして、中央の『自然と文化そしてことば』は、初見。なんと特集が「祭文と呪文の力」ときたもんだ!不勉強でまったく存じ上げませんでしたが、アジア・アフリカ言語文化研究所の研究活動を発表する場として発刊されていたものだそうです。

そして一番左は『大津絵』。日本を代表する「民画」である大津絵を集成した一冊。Tさんはかねがね「民画」に強い興味を寄せていたけど、大津絵にも手を出してたのか…とその博覧強記ぶりに思わずうなってしまいました。
大津絵をこれだけまとめてみたことがなかったのですが、なるほど、これはいい!!
Tさんが「民画」を愛してやまないことの意味が、ちょっと理解できた気がします。大津絵研究と言えば柳宗悦ですけど、今度そちらも読んでみようかなあ。

それにしても。

友人が買ってくれた最高に美味しい食パンを食べながら、友人が送ってくれた大好物な本を眺め観る、この幸せさ、ときたら…。

私って、かなりの「幸せもの」じゃない?
と、ふとおもいました。仕事が大変でプレッシャーに負けそうになって、お腹が痛くなったりしても。いわれもない悪意を受けて、泣き寝入りしたりしても。

こうして、理解してくれる人がいる。いつも一緒にいるわけじゃないですけど、「今頃どうしてるかな?元気かな?」とお互いを思うことができる人がいる。

本当にありがたいなあ、と。

『朋あり 遠方より来たる また楽しからずや』
論語の一節がふと頭に浮かびます。孔子師匠の言う通りですよ!ほんと!

さあて、それでは、今日ももうちょっと頑張りますか!!

 

山口晃展の図録がようやく到着!

春とともにようやく届きました『山口晃展』@群馬県立館林美術館の図録!!
春だ!春が来ましたよ~!
20140401-1とても珍しいことですが、昨年11月4日に見に行ったとき、図録がまだできていないとのことで、それでもぜひ欲しかったので前払いして待っていました(会期は2013年10/12-2014年1/13)。

それから4カ月。これまた大変珍しいことですよね。

一度ハガキが届きまして、3月には出来上がりますがもしいらない場合は返金しますとのことでしたが、いえいえ、待つのはなんともないから待ってます、と首を長くして待っていました。なので大変うれしい。

この図録のほかに、山口さんご本人直筆のお手紙のコピーが同封されていました。

そちらによりますと、担当学芸員の方が重い病気で倒れられ、図録制作を一からやり直したということと、「上毛がるた」関連の著作権手続きがかなり難航したとのことでした。

ファンとしましては、コピーでもこのようなお手紙をいただけるのは嬉しいですね。大切にとっておこう……。

図録の装画は、市販されている『山口晃 大画面作品集』と同じ「百貨店圖 新三越本店」で、個人的にはちょっと残念でした。確かに有名な代表作ですけど、素晴らしい作品がそれ以外にも無数にあるのですから、ほかのものでもよかったんじゃないかな~。なんて。

ともあれ、中のほうは大充実!

年末に行われたトークショーの起こしなんかも掲載されてました。これは、会期後に制作された図録でなければありえないですよね。トークショー行きたかったけど定員で行けなかったので、すごく嬉しいです。
この個展自体が3歳の時の落書きから何からすべて登場しているような、ハートウォーミングな展示でしたが、図録のほうもそんなかんじ。なんとお父さんが寄稿してたりして^^。キュートな山口さんならではのいい図録です。昨日は仕事の手を止めて、ついつい見入ってしまいました。

ちょっと気分転換したいときに、取り出して眺めたいと思います。

人間国宝展+クリーブランド美術館展@トーハクに行ってきました

トーハクで開催されている「人間国宝」展と「クリーブランド美術館」展をダブルで一気見しよう、と石田石造(女)センパイといってきました。

石造センパイとは、一緒に伝統工芸士の先生方の本を作って以来、イシブの活動はもちろんのこと、「美しいもの」を一緒にみてきた仲です。

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特に今回の人間国宝展は絶対石造センパイと見たいなあ、と思い、お誘いしたのでした。

クリーブランド美術館展は、正直言って、竜頭蛇尾…というと怒られてしまうかもしれませんが、一番最初の部屋にあったものは、本当に逸品ぞろいで素晴らしいもので、ため息をついてしまうようなものも多数ありました。

しかし、それ以降は、……うううむ。……コンセプトが揺れちゃってるっていうか。ううむ。

もちろん私の個人的好み、関心の方向性とは合わない、とかそういうことなのかとも思いますけども。

「人間国宝」展も、同様。 正直言って???というかんじで。

特に、最初のほうに「第一章 古典への畏敬と挑戦」と銘打った展示なんですけどね、比較展示とでも言いましょうか、例えば本物の奈良三彩の壺(重文)と、現代風にアレンジされている加藤卓男さんの三彩花器を並べてるところからスタートなんです。その一歩目から「ええええ!?」とつぶやいてしまいました。ほかにも国宝の火焔型土器と、、現代の作品の壺を並びでおいてたり。
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火焔型土器は、そりゃもう大迫力の名品です。それと、並べるってなんか…どうなんでしょうか。

そんな風に思ったのは私たちだけではなかったようで、周りにいた人たちも何人か「並べておく意味あるの?」「人間国宝の作品だけでもいいんじゃないの?」という声をききました。

確かに、あえて博物館で開催されているわけで、だとしたら…ということで、所蔵品の中からこのような趣向を考えられたんだろうと思います。しかし、これでは本当の意図とは違った印象を、観覧者に与えてしまうのではないでしょうか。

なんだか複雑な思いになる展覧会でした。

むずかしいですね。ほんと。

東京国立博物館(~2/23まで開催)
www.tnm.jp/