映画『利休にたずねよ』公開!

山本兼一先生の『利休にたずねよ』。直木賞も受賞した名作です。

実はこのお作、いつもお世話になってますN編集長の担当された作品ということもありまして、思い切り気持ち的に肩入れしております。 その作品が皆さんもご存じの通り、映画化されました!今とにかく話題ですね。TVでも海老蔵さんのお姿をよく拝見します。

そして昨日。いよいよ待ちに待った公開。私は映画にまったく詳しくないので、何も言う力を持ちませんが、試写会で拝見した、私なりの感想をちょっとだけ…
利休にたずねよ

さすが、大作と言った重厚な美の世界。お茶道具も千家さんのご協力で本物を使って撮影した、というだけあって、お茶を点てるシーンも多く、またそこに重点を置かれているのが非常に新しいように感じました。

いま、「茶の湯」というと、行儀作法を習う、と言ったどちらかと言えば女性的で清楚な印象があるかもしれません。でも、そもそも茶の湯とはどっぷり『男の生き死にをかけた世界』だったのですが、そんな気配を感じることができる映画だなあ、と!

特に印象に残ったのは、千利休を演じた海老蔵さんの所作の美しさ。やはり踊りで鍛えた身体は違います。体さばきがキレッキレですね。そして、伊勢谷友介さんの織田信長。ある意味、「これぞ信長!」、美しくて普通じゃない気配がしまして、うっとりしました。ぜひ伊勢谷さんが全編信長を演じる作品も拝見したい。これはちょっと余談ですけども…^^;。

本作品は、山本先生が提示された新しい千利休像を中心に紡ぎだされる「美」の光景を田中光敏監督が具現化した、それを目撃に行く…そんな風に鑑賞しますとと正解な気がしました。

茶の湯の世界が、「命がけ」だった時代。生と死がすぐそこにあり、だからこそ「美」が天国であり地獄であった、その緊張感をこの映画を見て、「感じる」ことができたように思います。

『利休にたずねよ』 (12/7から公開)
http://www.rikyu-movie.jp/

 

栖鳳さんは「鳥と猫派」だという確信〔竹内栖鳳展〕

あまりにもすごすぎてその全貌がよくわからないと思っていた絵の巨人・竹内栖鳳さん。
大規模な回顧展が国立近代美術館で開催されています。
20130923-1
ふっと時間ができたので、今日行ってみました。
図らずとも、前期の最終日だったためか、三連休の最終日だったためか、かなりの盛況ぶり。栖鳳さんといえば、重要文化財にも指定されている「斑猫(はんびょう)」があまりにも有名ですね。
20130923-2このチラシの、猫ちゃんです。美人ですねえ。一度はぜひ見てみたい絵の一つです。私は勝手に「美人画」だと思ってます。これ。

ところが、ちょっと血の気が引きましたが、この「斑猫」は、前期では出品されていないということを、現地で知ったのです!!ああああ、やっぱり、ちゃんと出品リスト見ておけばよかったあああ。

でもまあ、ポスターにもなっている「金獅(きんじし)」等はありますし、今後きっちりこれるかどうかわからないし…ということで、えいやと入館。

それにしてもすごい人出でした!

フリー稼業の気安さで、ここ最近平日の昼間にいったりしてるので、こういう人では久しぶり。

あまりにも膨大ですし、さまざまな手法・画材のものがありますので、なかなかお伝えしにくいのですが、私は動物が好きなので、動物に絞ってあえていうならば、

「栖鳳さんは、鳥と猫類が好きだと思う」

ということ。

彼が描くものを見ていると、鳥類と獅子や虎、猫などの猫類は、本当にかっこいいし、美しいんですけど、それにたいして、ちょっとびっくりするくらいほかの動物、かわいくないんですよね。
#すみません、これは私見ですよ、あくまでも。

例えばウサギ。何点かありましたけど、すっごく上手ですけど、かわいくないんですよ。不思議なくらい。

それから犬。犬もすっごく上手なんですけど、かわいないんですよ、これまた。子犬もいましたけど、かわいくないの!すっごい上手だけど!

しかし、それに対して、本当にライオン、虎は美しい!!
そして、スズメもかなり何度も登場しましたが、実物以上に少々荒々しく、同時に可愛いのです。(砂浴びした後、羽を振り立ててるみたいな「羽バッサ~」なスズメが多数登場)
ニワトリやアヒルも、いい。荒々しさ+可愛さ。そんな塩梅。

ほんと面白いですよね。

2歳年下で、京都生まれの、とってもよく似た背景を持つ神坂雪佳なんて、もう、どの動物描いても丸っとしてかわいらしさがにじんじゃうんですけどね。特に雪佳の犬なんて、めちゃくちゃかわいいですけど。…いや、もちろん方向性違いますからね、比べるのはあれかもしれませんけど、改めて面白いなあ、と。

それにしても大規模な展覧会ですので、風景画も素晴らしいものがたくさん出てましたし、人物画も出てました。見る人によってかなり印象が違うんじゃないかと思います。

ぜひ、観に行ってみてくださいね!

竹内栖鳳展
会期:2013年9月3日(火)~10月14日(月)
http://seiho2013.jp/

『国宝 大神社展』@東京国立博物館にいってきました!

昨日は東京国立博物館で開催されてる『国宝 大神社展』にいってきました。

前から行こう行こう思って、気がついたら5月も後半に。こうしてほっとくと気がついたら後の祭り、なんてことになってしまいます。あわてて友人たちと連絡を取って、上野に集合しました。

今回のポイントは、とにかく日本中のご神宝が大集合!ということですね。仏像とは違ってなかなかこういう機会は少ないと思います。

私もぜひ見てみたいものがいくつかあったし、神像がここまで集められるのはとても珍しいのでとても楽しみにしてました。
とはいえ、みんなどう思ってるのかな?と思ってネットで皆さんのレビューをみたりすると、ちょっと地味、と言ってる方が多い。
そうですよねえ。どうしても、神社となると工芸品が多くなりますし、仏像でどどーんとみせたりできないからなあ。そもそも神像はどうしても地味ですしね。

さてさて、私はどうだったかと申しますと、とても楽しめました!

一緒に行った友人YさんとSさんが、楽しみ上手、ということもありますし、歴史の本をやってるとどうしてもよく当たるような古文書のオリジナルがあったりするので「おおこれが!」ってかんじでね。

でもすごく残念だったのは、石上神宮の「七支刀(国宝)」、籠(この)神社の「海部氏系図(国宝)」を、観られなかったということと。

しまったああああ・・・

やっぱりこういうのはちゃんとリサーチしないといけませんね。
っていうかやっぱ前半に一度行くべきですね。はあああ。
図録

とはいえ、全体的にすごい面白くて、突っ込み入れながら4時間かけてじっくり堪能しました。一緒に廻ったYさんと話していて印象的だったのが…

沖の島祭祀遺跡から出土したという「子持ち勾玉」。勾玉というよりも…ちょっと変わってます。たとえるならば…

「なんか、この形ってクマムシに似てない?」
とYさん。あははは!似てる~~~!それだ~!

あの最強の生命体クマムシとこの勾玉、なんか共通点がありますよ。おもしろいなあ。
生命を表す〔勾玉〕がクマムシっぽいってなんかすごいフィットしてるよね、と二人して爆笑しました。

それにしても、すごい出展数でした。あらゆる角度から鑑賞できると思います。
私たちは、前述のようにクマムシになぞらえて爆笑したり、その緻密な表現にため息をついたりしながら、いろんな感動をいただきました。

ぜひ皆さんも、この出展の嵐を楽しんでみてください!

東京国立博物館 ~6月2日まで
http://daijinja.jp/index.html