2017年、新年のご挨拶。

2017onenga明けましておめでとうございます!
今年の元日はいいお天気でしたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、さっそく私事で恐縮ですが、振り返りますと2016年は、とても実りの多い年だったように思います。おこったこと全てが大切なことばかりだったのですが、中でも特に印象深かった事を挙げさせていただきますと…

畠山健二先生の『本所おけら長屋』(PHP文芸文庫)シリーズ、ついに30万部突破したこと
2巻からお手伝いさせていただいております大人気シリーズが、第7巻にしてついに30万部を突破しました!年末にかけても重版に次ぐ重版で、畠山健二先生のご苦労がいよいよ実を結んでいくのだわ、と身が震える思いでおりました。

五木寛之先生のご本を無事刊行。重版できたこと
またまた、お手伝いするようになって約四年、3冊目にあたる五木寛之先生の『ただ生きていく、それだけで素晴らしい』(PHP研究所)も無事刊行していただき感無量。刊行して2カ月で3刷がかかって、胸をなでおろしました。

BE-PAL(小学館)さんで『日本の秘境』特集を執筆させていただけたこと
書き仕事のほうでもまた楽しいお仕事をさせていただけました。「日本の秘境」とは、まさに大好物なテーマ!!大好きな場所の数々に取材させていただけて、大変ではありましたが、とても楽しいお仕事でした。

2016年年始に旅したいと思っていた場所のほとんどに行けたこと
年始に「旅したい」とリストアップしていた場所が5カ所(沖縄、白山、会津、奈良、鳥取)あったのですが、そのうちの4カ所に旅できました~!さらにリストにはなかったものの、大好きな場所4つに行けたので、かなりなプラス収支。旅は私にとってエネルギーの源、今年も6カ所行きたい場所をリストアップしました。ぜひ100%の達成率を目指したいです。

昨年年末に、旅をするという目標以外にも、いくつか具体的な目標を立ててみました。さて、2017年、どこまで実現できるでしょうか。
ちょっと苦手なことにもチャレンジしようと思っております。我ながらなかなか大変そうだなと思うのですが、ドキドキワクワクする気持ちも同時に湧いております。昨年の失敗、反省を生かして、変化を恐れず、前を向いて一歩一歩歩いて行きたい、そう思っております。
どうぞ皆様、本年もご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

本サイトも地味ではありますが、私の根幹を支える大切な場所です。
今年もできるだけ記事をアップしていくよう頑張りたいと思っております。ぜひ覗きに来てくださいまし!

それでは、本年も引き続きのご愛顧、なにとぞよろしく お願い申し上げます!

ありをりある.com 編集長
武藤郁子 拝

訪れた国はなんと35カ国以上!世界の絶景、秘境を訪ねて56回。”秘境ミステリーハンター”宮地さん、初の著作登場!『地球のふしぎを歩こう』/宮地眞理子著(PHP文庫)

長寿番組「世界ふしぎ発見」で、ミステリーハンターとしても活躍されている宮地眞理子さんが、初めてのご本を出版されました~!

実は、宮地さん。私が編集のお手伝いをさせていただいております、時代小説『本所おけら長屋』シリーズの著者、畠山先生のお弟子さんでもいらっしゃるんですが、個人的に大好きなので、大応援させていただいております。

画面で見たとおりの、美人でからっと明るくて、まるで「青い空」みたいな爽やかな女性です!

そう、まさにこの本の表紙のようなお方!

ちなみにこのご本の表紙は、ウユニ塩湖@ボリビア。今やCMに使われたりして有名ですが、宮地さんがこちらを訪れたときには、ほとんど知られていなかったんだそうです。メディア初登場ってかんじ!

宮地さんは、ミステリーハンターと呼ばれる方の中でも特に「秘境ミステリハンター」と呼ばれるほど、普通では行けないような場所にたくさん行かれています。
北極、南極はもちろん、訪れた国は何と世界35カ国以上だそうですよ~!
すごいですよね、ほんとに!

ご本拝読しますと、珍味過ぎるもの食べたりすごい目に遭ったりが多すぎて、読んでいるうちにだんだん慣れてきちゃう…という、この不思議。
宮地さんも「だんだん慣れちゃうんですよね~」と淡々と爽やかに言っておられましたが、ほんと、「衝撃体験のインフレ」起こっちゃってます(笑)。レベルが高すぎる!

ちょっとご紹介が遅れてしまいましたが、昨晩は下北沢の本屋さん、B&Bさんにて、宮地眞理子さんと畠山健二先生による師弟対決?トークショーが開催されました。
20160131-1(写真は、開催直前の様子)

文筆界で最も笑いをとる作家、畠山先生との丁々発止なトークに会場は大盛り上がりでした!畠山先生の名アシストで、いつもの宮地さんの雰囲気がぐっと出ていて、ファンの皆さんも堪らないトークショーだったんじゃないかな、なんて。

印象深いお話はたくさんありましたが、私が最も感動してしまったのは…
いろんな場所に行くと、いろんな人に出会うと思うんだけど、正直言ってちょっとこれは、という人にも会ったりすることもあるのでは?という質問に対して、「うーん」と数秒考えて、

「いやあ、それが、いなかったですね。…なんか本当にみんなよくしてくれるんですよ、だっていきなり日本のわけわからないやつが来て目の前にいるわけですよ?でも、みんな本当に優しくしてくれるんです」
(むとう抄訳)

このことばでした。

すっかり、身内感覚になっている私は、なんかお母ちゃんのような気持ちになってしまいまして、思わず目頭が熱くなりました。

人間って、旅先って、めっちゃ切羽詰りますよ。切羽詰ると余裕なくなって自分のことばっかり言いたくなっちゃったりします。相手の都合もお構いなしで、どうにかしてよ!と言いたくなってしまう、それもまた人間です。

でも、宮地さんは違うんだなあ。
まず、相手の気持ちを考えられる人なんだなあ。なんて素晴らしいんだ〔ぐすっ〕。

言葉は通じなくても、いえ、だからこそ、相手がどういう気持ちで今ここに来てるのかって伝わります。「この人、本当はこんなとこ来たくないのに、とかって思ってるな」とか、そういうにビンビン伝わると思うんです。

でも、宮地さんだったら、みんな「お??この子、違うぞ?」って思うんじゃないかな。だから地元の皆さんも宮地さんに優しいにちがいない!だからいい取材ができるんだろうなあ、そういう風に思いました。
人のこころは「鏡」だ、と池波正太郎先生もおっしゃいましたが、まさにしかり。宮地さんが心をこめる人だから、思いやり深い人だから、相手もそうなるんじゃないかなあ、と思うのです。

最後に、宮地さんからの参加者全員へのプレゼント、ということで…
20160131-2これ、いただいちゃいました!
本の表紙が印刷されてるキットカットですよ~!

こういう気配りもさすがですね!
参加者みんな本当に嬉しそうだったなあ。

私も、ますます惚れ直しました♪

ご本も、彼女らしい、心あたたかく、同時にはっちゃけたお話が満載の一冊です!
ぜひお手に取ってみてくださいね~!

それから、2月7日(日)には、神保町の書泉グランデさんでイベントを開催するそうです!
昨日行けなかった方、ぜひリアル宮地さんに会いに行ってくださいね!絶対もっと好きになっちゃうと思いますよ!

(イベント情報)書泉グランデさん(2/7)

(むとう)

棚を「耕す」、人を「耕す」――本読みの希望の火を灯し続けるカリスマ書店員田口さん初の著作。希望と現実、涙と強さに溢れた名著登場です!!!『まちの本屋』/田口幹人(ポプラ社)

私にとって本屋さんは「自由の天地」だった

子供のころ、田舎町でしたが本屋さんは何軒もありました。私がいつも通っていた本屋さんは4軒。自転車で10分くらいのところにある2軒、20分行ったところに2軒。この4軒を必ず毎週一回は見に行っていました。

たいしておこづかいもないですから、毎回何かを買えるわけではないんです。でも書店にいって本を眺める、手に取る。そして新刊のインクのにおいを目いっぱい吸い込む……。

この空間には、いろんな考え方がある。
この空間には、いろんな人がいる。
この空間には、限界がない。

いつも「ムトウは変わってる」と言われて、笑ってやり過ごしながらも、傷ついていたのかもしれません。「変わってる」とまた言われるのが嫌だから、本音は言わなかったですし、自分が何を考えているかも言わないようにしていました。そんな私にとって、本屋さんは、「多様であること」を許してくれる唯一の場所だったように思います。

「自由の天地」。

大げさかもしれませんが、それが「本屋さん」でした。
小説にしろ漫画にしろ、作者は独創的で物知りで、そして普通じゃない大人です。そんな大人がこんなにたくさんいるんだと感じ、そのオトナが紡ぎ出す多彩な世界へ自分もワープできてしまう喜び。その入り口が「本屋さん」だったんです。
そのワープしていく感覚を強烈に、まるでフラッシュバックのように思い出してしまいました。

それは、『まちの本屋』、この本を読みはじめて間もなくのこと。
あの新しいインクと紙のにおい、面白い本がたくさん並んだ棚が、ドドンと私の前に立ち現れる……。
「あ、いい本屋さんに入ったぞ!って思う、あの感覚だ、間違いない」
行間から、もうその匂いが立ち上がってきてしまっている、そんな本なのです。

もっともっと「耕そう」。面白い世界を、自由な世界を。
前置き?が長くなってしまいました。

実は、本書の著者である田口幹人さんは、私が編集のお手伝いをさせていただいております畠山健二先生の『本所おけら長屋シリーズ』を、最初から「これは面白い!」と評価してくださり、ずっと売りまくってくださっているんです。そのご縁で、以前からお名前とお噂はお聞きしていたのですが、今回初の著作を発表される、ということで、私も首を長くしてお待ちしていたのです。

20150123

ワクワクしながら、読み始めて1ページ目で、早くも鼻がツゥン。
告白してしまいますが、11ページで、目次を抜きますと、始まってわずかに3ページ目、「はじめに」でまさかの落涙。

田口さんがお勤めのさわや書店さんは盛岡の本屋さん。あの東日本大震災の時、被災した釜石店に救援に通われた時のお話が語られるんですが、もう、ダメ。私は半端なく落涙…。

「本屋に生まれ、子どもの頃から本に囲まれて、好きな本を好きなだけ読むことのできる環境で育った僕は、心のどこかで本は嗜好品なんだと思っていた。本は、本を好きな人が読むもの。気持ちにあるいは時間的・経済的に余裕のある人が読むもの。しかし、それは間違っていた」(「はじめに」より引用)

「本屋は、単なる嗜好品を扱う場所ではなかった。そこになければならないものだった。震災はそれを教えてくれた。東北の人たちにとって、そして日本人にとって、本は必需品だったのだ。本というものの力を改めて認識した瞬間だった」(「はじめに」より引用)

なんて、なんて、現実と悲しみと、夢に溢れた言葉なんでしょう。

「田口さん、そう、そうなんですよ!!私にとっても必需品でした!本がなかったら私は今ここにいなかった。あの場所がなかったら、私は森の中に入って、出てこなかったかもしれないんです!」

そんな叫びを胸に秘めながら、真昼間の電車の中で読み始めて、しゃくりあげる私。
やばい、明らかに不審。

はじめにからしてこの調子です。最初から最後まで、何度も何度も泣いてしまいました。
田口さんが語られる、ご自身のこと。お仕事のこと。本書で語られるすべてが、わたしの涙スイッチを押しまくるんです。

それは、私が本に助けられた人間だからかもしれません。
本屋さんが大好きで、本屋さんが居場所になってくれていたからかもしれません。

そして、大人になってから本をつくる仕事がしたくて、出版社に入った。以来ずっと本をつくり続けてきました。そうしていく中、見失っていたかもしれない大切なことを、田口さんが語る熱い言葉に触発されて、一つ一つ思い出したからかもしれません。

本当に、本書は素晴らしい本です。

出版関係に勤める人全員に読んでいただきたい。出版社、書店、図書館、取次、フリー編集、フリーライターすべての人に。

私たち、本が好きで今の仕事はじめましたよね。本が好きなんですよね。

そこから、改めて始めましょうよ。
シンプルに考えたらいいじゃないですか。
面白い本作りましょうよ。
つくったら一生懸命、面白い本があるよって、みんなに知ってもらいましょうよ。それから粘って粘って粘りまくって買ってもらいましょうよ。

田口さんは、本書の中で「耕す」という表現をよく使われます。田口さんの師匠がよく言っていた言葉なんだそうです。
「僕が意識したのは、本屋を「耕す」ことでした。農業の「耕す」と一緒です。」
お客さんとのコミュニケーションも「耕す」。、積極的に会話をする、そうしたことを重ねること・「耕す」ことで生まれる信頼関係が新しい何かを生む。
本が詰め込まれた棚を、常に手を加え変えていく――棚を「耕す」。動きのある棚、あえて動かさない棚。そこには書店員さんの思考が集積され、私たちのこころを耕す栄養がここにあるよと教えてくれます。

私も、一生懸命耕そう。
フリー編集の私ができることは限られています。でも、私ができる「耕す」ことをもっとしなくっちゃ。たくさん本を読んで、勉強して、多くの人と出会って話をする。
つたなくても、もっと文章を書こう。自分が感動したこと、面白いことを畑を耕すように、続けていこう。

田口さん、素晴らしい本をありがとうございました。
明日から、また頑張ります。

(むとう)