file.77 島屋菓子舗の「厄除けまんじゅう」

いちにちいちあんこすっかり夏はどこかへ走り去り、秋の気配です。

皆さま、いかがお過ごしでしょうか。こんなにいいお天気なのに私は仕事…。ぶちぶち愚痴を言ってはため息をついておりますが、フリーならではの「土日は仕事」なのですね。

さて、そんな下で少々現実逃避的ではありますが、先週の長野旅で最終日に上田駅から別所温泉に行った時のお話をば。

上田駅そばのビジネスに泊まって朝早く駅に向かい、ローカル線上田電鉄に乗って、別所温泉を目指しました。

朝ごはんは、もちろん「おやき」!

駅の売店で買いましたのがこちら、

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ナスのおやき!

私は、自分のプロフィールに「あんことナスが好き」と書くほどのナス好きなので、長野県のおやきの具に定番としてナスがある、ということを知り、狂喜乱舞して毎日食べ続けました。

お店や、また地方によって皮がいろいろで、それを知るのも楽しい。上田駅で買ったこちらのおやきは、おまんじゅうのようなほんわり生地のおやきでした。上田市内の湯の丸庵さんというお店のもののようです。

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う、うまい~!!!

ナスは味噌で味付けされてまして、少し甘いお味噌とベストマッチ!これも大きな意味で「餡」といえなくもない。いちにいちあんこに数えられなくもない…かな?

さて、すっかり腹ごなしをした私は、いそいそと上田電鉄別所温泉線に乗り込みます。

この上田電鉄がまた良い!!
anko20140921-8二車両の小さな電車。こういうの大好き~!
しかも、一時間に二本くらいなのかな??
合間の時間は、改札が閉まってて入れないんですよ。それもなんかいい。

anko20140921-9車内もいいですよ~。丸い窓は昔、扉わきの戸袋窓が楕円形になっていたので「丸窓電車」と呼ばれていたそうで、それを残しているみたい。なんかそれもいい。
anko20140921-5そして30分ほどで、別所温泉駅へ到着!駅舎がまたかわい~!何とも言えない郷愁を感じますよ。関係ないけど『千と千尋の神隠し』を連想しちゃいました。

さて、ここから、がっつりお寺さんに参拝し、外湯に入りまくるのですが、そのご報告はまた別の機会に、ということで、いちあんこのご紹介へと参りましょう。

別所温泉は、なんと言っても温泉が素晴らしいのですが、もう一つ、「北向観音」さんというお寺さんで有名です。こちらの創立は825年とされており、とても古いお寺さんです。

長野市の善光寺さんは来世利益、北向観音さんは現世利益をもたらす、とされてるんだそうで、善光寺さんにお参りしたら、こちらも一緒にお参りしないと「片詣り」になってしまうんだそうですよ。

そして、この北向観音さんの周囲で昔から売られているのが「厄除けまんじゅう」。何店舗かで製造販売されてるらしいのですが、私は「島屋」さんで購入してみました。

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こちらがそのおまじゅうです!

写真は帰宅してからとったものなので、ちょっとギュッとなってしまってます。買ってすぐはもうちょっとふんわりとしてました。

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掌(たなごころ)にそっくり入ってしまうような、小さなおまんじゅうです。
一個75円だったかな?
anko20140921-10あんこはこし餡。黒糖の利いた皮と、素晴らしい調和をみせています!!

こしあんはサラッとほぐれてとけていく感じで、たまらん!特に、買ってすぐ歩きながら一個いただいたんですけど、やはり作り立てのおまんじゅうはひと味もふた味も違います。

本当に幸せな気持ちにしてもらいました!まさしく、観音さんのご加護ってやつですよ!

次回訪れたら、また島屋さんの厄除けまんじゅう食べたいけど、ほかのお店のも食べてみたい。きっと美味しいはず!!

あ、あと、島屋さんのおやきもぜひ食べてみたいな。

島屋菓子舗
http://tabelog.com/nagano/A2004/A200401/20001488/

 

 

 

 

 

 

file.76 藤田九衛門商店の「鯉焼き」

いちにちいちあんこ

仕事が急にぽかりとあいてしまい、時間ができたので長野市と上田市に遊びに行ってきました。
実は…。大きな声では言えませんけど、仏教美術関連の本にかかわってきたのにもかかわらず、善光寺に一度も行ったことがなかったのです。ひゃ~やばいやばい!!

そんなこんなで、まず訪れたのは善光寺。

まずは荷物を預かってもらおうと、ゲストハウス1166さんへ。
一人で旅をするときは、よくゲストハウスを利用します。この5・6年で日本でもゲストハウスがぐんと増えましたよね。地元の情報を教えてもらえたり、また普段はなかなかクロスしないような人と出会うこともできるので、すごく楽しい。

さてさて、今回のいちあんこも、ゲストハウスの方に教えていただきました。

善光寺から、少し路地に入ったところにある「藤田九衛門商店」という和菓子屋さん。美味しいたい焼きみたいなあんこのお菓子「鯉焼き」が食べられますよ!とのこと。早速尋ねてみたい気持ちではありますが、まずは善光寺さんにご挨拶しないと。

そんなわけで、善光寺さんへお参りしてこちらのお店に向かったのは、4時を超えてしまっていました。肝心のお菓子が売切れてしまったらどうしよう、と思いながら急ぎ足でむかいます。

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善光寺の参道周辺には、宿坊がたくさんありますが、正面参道を一本入った少し細い道を進んでいくと…
anko20140912-2ありました~!こちらが「藤田九衛門商店」さんです!

粋な藍色ののれんがかっこいいですね~。昔からあるお店なのかしら?落ち着きがあって雰囲気のある店構えです。
anko20140912-3こんにちは~と言いながらそろそろと引き戸を開けると、こんな感じのガラスのケース。

お菓子まだ残ってる!よかった!

店内は思ったより天井も高くて広い。美しい日本の器、漆器などがさりげなく使ってあって内装も素敵ですよ!

そんな中で現れたのは作務衣姿の男性。ご主人ですね??

早速、鯉焼きを二種類一個ずつ。本当はお土産にもっと買いたかったのですが日持ちしないとのことで、今日自分で食べられる分でぐっとこらえました。

こちらの鯉焼きのあんこは、なんと「花豆」なんです!

「花豆」は、生産量もそれほどない貴重な豆です。私の記憶では、私が生まれた埼玉中部では取れず、群馬県のほうに遊びに行った時に母がお土産で買ってくる美味しい豆。いわば「ご馳走豆」でした。

その「花豆」を贅沢にもあんこにしてしまうとは!
そんな感動をご主人にお伝えすると、

「花豆は標高700から1000メートルの場所でないと豆がとれないんです。長野でも当店のあるこのあたりでは、花は咲くのに実がならない。不思議でしょう」

へえええ!不思議~~!!

花豆は長野でも標高が700~1000メートルの場所でしか収穫できない貴重な豆。その土地でとれたものを使って美味しいものをつくるということがしたかったご主人は、この貴重な地の豆・花豆をあんこに、そしてこれまた長野県産の美味しい小麦を使ってお菓子を作ることにした、……とそんなお話をしてくださいました。
anko20140912-5「これが、鯉焼きの型の原型なんです」

そう言って見せてくださったのが、かわいらしい木製の鯉。おお!かわいい~!左が表、右が裏、かな?この二つの型を合わせて一体の鯉になる、ということですね。

「仏師の方に彫っていただいたんですよ。長野は海がない県でしょ。だけど、皆さん何の疑問も感じずに普通に『鯛焼き』を作る。え?長野は鯛はいないのになんで?と思った。佐久は鯉が有名です。だから『鯉焼き』を作ったらいいじゃないですか、と言うと、なるほどねとは言ってくれても、だれも作らない。だったらもう自分で作ろうと思ったんです」

ご主人は大坂のご出身で、銀座で日本料理の料理人をされていたんだそう。いろんな世界を見てきた方だからこそ、そんな「シンプルだけどずっと住んでいる人にとってはわかりにくい大切なこと」に気付く『目』を持っておられたんでしょう。

「それでね。型を作るときも時間がかかりました。鯛焼きみたいに動きがないデザインにしたくなかった。死んでる魚じゃなくて、生きてる鯉でお菓子を作りたかったんですよね」

なるほど!確かに生きてる生きてる。生きてるっていうか「跳ねてる」!

……そんなお話をしているうちになんだかもう、その場でこの鯉焼きをいただきたくなってしまいました。こちらではお抹茶も何種類かおいてらして、御主人が点ててくださるとのこと。一番高価なものは2500円のものもありましたが、私は手を出しやすい500円くらいの種類のものでお願いしました。

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ご主人がお茶を入れてくださってる間に、撮影大会!!こちらが二種類の鯉焼きですよ!

青い包装のものが最もプレーンな鯉焼き、黒いほうが生地に墨が入っている鯉焼きです。

anko20140912-8包装紙をとるとこんな感じ。よく見ると両方ともお腹のほうを並べて写真撮ってますね、私。
anko20140912-10こちらが表(墨)で…
anko20140912-11こちらが裏(プレーン)。

かわいいでしょ~!?
anko20140912-6ご主人がお茶を持ってきてくださいました。ではではさっそくいただいてみましょうか!
anko20140912-9思い切ってお腹から割ってみました。こちらが花豆のあんこですよ~!よく見ると、皮の部分が入っているのがわかりますでしょうか。
anko20140912-7この花豆の皮、ですが。これにもご主人のこだわりが。
なんと花豆を炊くときに、二種類の方法で炊くんだそうです。花豆は皮が固めなのですが、それも美味しさとして考え、一つは皮の硬さが少し残る炊き方にし溜まり醤油を加え、細かく刻んで皮の存在感を残す。そしてもう一つは皮もやわらかく炊き上げる方法で作り、…。そして出来上がった二つのあんこを混ぜ合わせてやっと「鯉焼きのあんこ」になるんだと。

ひゃ~、手が込んでますね~!

いただいてみますと…なるほど、花豆の風味がどんとくるその先に、少し香ばしい気配があります。言われてみたら醤油の香ばしさですね!そして皮の食感がごくごくわずかなアクセントとして舌にあたります。

美味しい!!

すごく美味しい!!

あんこはもちろんですけど、この皮がまた美味しい!!モチっとしていて、食べてて気持ちよくて癖になる食感です。

ううううむ。これはいい。

もし、家の近くにこのお店があったら二日に一度は絶対食べに来ちゃいますよ!と叫ぶ私。なぜ二日に一度かというと、それぐらい制限をかけないと果てしなく食べてしまうからです。

そんなことを口走る私に、御主人はにっこり笑って、

「来週また来たらいいですよ。今季節もので桃のあんこを開発中ですから」

と悪魔の?ささやき…。桃のあんこ~!!?何それ絶対美味しいよ~!!

「来週も、お待ちしております」

……とどめ刺されました。さすがに来週は無理かもしれませんが、鯉焼きを食べるために、そしてご主人と話したいがためにまた来てしまうのは間違いないです!

本当に魅力的なあんこものとご主人でした。皆さんも長野に行ったら絶対に行ったほうがいいですよ~!

藤田九衛門商店
http://fujitakuemon.wordpress.com/

file.74 新正堂の『切腹最中』と『景気上昇最中』

いちにちいちあんこ

新橋で友人と待ち合わせということになった時、「切腹最中買いに行こう!」と思いつきました。

甘いものに詳しい方から以前からお勧めいただいていたのですが、新橋のあまり行かない方向にあるので、なかなか足をのばせずにいたのです。

『切腹最中』という名前がすごいですよね?

なぜこんなネーミング?と思いますが、「忠臣蔵」で有名な浅野内匠頭が切腹した屋敷があった場所にある和菓子屋さんだから、ゆかりのものを作ったということなんだそうです。

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こちらがその新正堂さんです。

新橋駅から7、8分ほどでしょうか。銀座とは逆の方向。

こじんまりとしていて、なんかいいかんじです。テイクアウトのアイスなんかもあって美味しそうでしたよ。

いろいろ悩みましたが、お目当ての切腹最中のほかに「景気上昇最中」というのも買ってみました。サラリーマンの聖地・新橋にふさわしい最中です。

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こちらが念願の『切腹最中』!

パッケージが可愛いですよね。

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全体を覆うのではなく、まるで帯のように白い和紙で真ん中を結んでる。この白い帯が不思議と「武士」って感じ出してますよね。

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いいですね、なんか粋だなあ。

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そして皮からはみ出しそうに詰められたあんこ。おなかからはみ出しちゃってるあんこ、切腹、、、

そう考えると結構えぐいデザインかもな……

いえいえ、そんなこと考えちゃいけません。
anko20140823-6あんこは粒あんで、中に大きな求肥が入っています。

あんこは、……美味しい!

アズキの深い味がとてもよく出てますよ!甘味はそれほど強くないはずなんですが、あんこの深い味が重みとなってずっしりとした感じになっています。

anko20140823-7そしてこちら『景気上昇最中』。

いいですねえ。これはクライアントに手土産でもっていくのにもってこいですよね。

ちなみに、『切腹最中』はR25の、「謝るときにもっていきたい手土産」ランキングで一位に輝いたんだそうですよ。「腹を切ってお詫びします」みたいな感じですか。洒落が利いてていな~w。
anko20140823-8おお、やっぱりというかなんというか、小判型です!
anko20140823-9割ってみると、こちらのあんこはこし餡です。黒糖の風味が利いてますね!
切腹最中のあんことは全く違う方向性のあんこで、いい感じです。種類は同じく最中ですけど、まったく違うお菓子といえるかも。

HPを拝見すると、ちょっと面白い解説があったので転載しますね。

「縁起の良い小判型の最中にこしあんで黒字にちなんで黒糖を使ったコクのあるあんをいれました。黒糖はカルシウムや鉄分などのミネラル、ビタミン類をたっぷり含んだ、栄養価の高い自然食品で、疲れた体と脳に活力を与えます。「景気上昇最中」を食べて、イライラを解消し、集中力をアップさせ、一日も早い景気上昇(回復)をめざして頑張りましょう。」
(新正堂HPより転載)

「イライラを解消し、集中力をアップさせ」なんてのがいいですね~ww。

確かに、この最中を食べて一服するとちょっと余裕を持てるかも。

新正堂さんのお菓子は、どれもとにかくちょっとシャレが利いてる。お店の方も朗らかで優しい感じで、とても気持ちよくお買いものできました。

今度、仕事先にお持たせをすることがあったら、ぜひこちらのお菓子を使ってみたいな。

何かのついでに、ができないのがちょっと大変ですけどね。

新正堂
http://www.shinshodoh.co.jp/index.htm