About 武藤 郁子

神仏・聖地探訪家。編集者兼ライターとして神仏や聖地、歴史や自然をテーマに活動中。著書に『縄文神社 首都圏篇』(飛鳥新社)、『縄文神社 関東甲信篇』(双葉社)、共著に『今を生きるための密教』(天夢人)がある。2024年6月『空海と密教解剖図鑑』(エクスナレッジ)を上梓。

file.92 ちちやの「二色あんまんじゅう」

いちにちいちあんこ

温泉に必要なもの。

それはまず第一に、温泉ですよね。そりゃそうだ。

そして第二は、人によって割れてしまうかもしれませんが……
それはもう、
そうですよ、そうですよ。

「温泉まんじゅう」ですよね!?!

温泉街には間違いなく温泉まんじゅうがあり、あのホカホカした湯気がね、堪らない付加価値を加えてくれます。
幸せの湯気ですよ、あれこそ!

もうだいぶ経ってしまいましたが、4月のまだ少し肌寒いときに、群馬の草津温泉に行ってきました。

埼玉に生まれ育ちながら、お隣県にある草津温泉に行くのは初めてです。

草津温泉に行くと決まって、まず私がしたことは、ネットで、「群馬、草津温泉、温泉まんじゅう」と入力して検索することでした。

以前の私なら、有名どころのお店を全部試食して選んだと思いますが、最近は年を取って食が細くなってしまったので、あまりたくさん食べられないのです。なので、ここは絞り込みが必須です。

そして、熟考し、一つのお店を選び出しました。
それが今日ご紹介する「ちちや」さんです。

いやあ、それにしてもね。本当にヘタレになりましたよ。

宿でご飯食べたらもう、おなかいっぱいで食べきれないし、揚句買い食いしたくてもお腹が減らないからできないんですよ(涙)。
なのに、人生最大の体重なのはいったいなぜ?
……この不条理!(不条理じゃなくて年とったってことですわね)

なので、仕方なくお土産で買って帰りました。
20150517-1こちらがそのちちやさんの温泉まんじゅうです!

IMG_0661こちらは、二種類ありまして、白い方が「二色あんまんじゅう」、茶色い方は「茶まんじゅう」です。

私が熟考して、ちちやさんにしたのは、この「二色あんまんじゅう」がぜひとも食べたかったからです!

20150517-3

これが、そのうわさ?の二色あん!
中央に見える黄色いあんは、栗あんで、その周りをアズキのこしあんで包んであります。
このあんこが絶妙で、正直栗あんの風味、消えちゃうんじゃないの?と食べる前は思っていましたが、大丈夫、しっかり栗あんの風味と味を感じます。
こしあんもさらりとほどけるような感じですが、これはこれで「ある」という感じ。なるほど、これは確かに「二色」あんです。いい意味でちゃんと独立しています。美味しいです。
皮のほうはもう柔らかくて、あるのかないのかわからないほどさらりとなくなってしまいます。

あああ、これはふかしたて、もっと美味しかっただろうなあ。

いくらお腹いっぱいでもこれ一個くらい食べられただろう、私のバカ!とあんこ者として自分をいたく叱りつけました。
これからはこういう失敗はしないようにしないと…

茶まんじゅうのほうも、美味しかったです。こちらは黒糖味の皮と粒あんの、非常にオーソドックスな温泉まんじゅうでしたよ。

次回、草津に行く機会があったら、両方とも深下手をいただきたいと、改めて心に誓いました。

そして、温泉まんじゅうは、やはり「LIVE」だと!
その場で味わうということが何より大切なのだ、と肝に銘じました。

ちちや
http://www.honke-chichiya.com/

 

file.91 赤福の「赤福餅」

いちにちいちあんこ

あんころもち……。

いいですよね、この言葉。ホント。このなんともいえない優しげなホワホワした語感。

あんこもち、じゃないですよ、あんこ「ろ」もち。

この「ろ」がいいじゃないです。
なんかコロコロして。

辞書で調べてみますとね、あんころもちは「餡転餅」とかきまして、「アズキの餡の中を転がして、外側に餡を付けた餅」をいうそうです。

まさに日本中津々浦々で食べられているあんこもの。

その中で、まさに「キングオブあんころもち」といえば、・・・そう!

皆さん、ご存じの「赤福餅」ですよね!!!

20150512-1

もう先週のことになってしまいますが、ご本を担当させていただいております大阪在住のAさんがお土産にとくださったものです。Aさん、いつもありがとうございます~~!

いや~、もう。
本当に赤福っていいですよねえ!

20150512-2

ピンク色の表紙をとりますとあらわれる、このセッティング。

ヘラが一個なのは、一人でこれを一気に食べなさい、という意味なんでしょうか。さすがの私もそれはちょっと無理だよな、といつも思います。

あまりにもメジャーなお土産もので、なんとなく麻痺しちゃいますけど、このおつつみ、しゃれてますよね。

20150512-3

しおりのようについてくる、右上の紙。そろそろ田植えの時期という季節を感じさせてくれます。良いですねえ。

IMG_0650

そして、おなじみのこちら!!

あんこの表面の筋と言うのは、伊勢の五十鈴川の清流を表わしているんですって。ゆかしいですねえ。

20150512-5

これで一個。ワンスクープ。

あんこはトロリとしたこしあん。柔らかいお餅にこのこしあんが絡んで、美味しい。いくらでもいただけちゃいます。
もちろん、お土産品として大量生産していくと、手作りのあんこにはなかなかかなわない、というところは正直言ってありますが、それでも十分美味しいと思います。

製造元の赤福さんは、創業が1707年という老舗です。
偽装問題などで、危機的な状況もあった赤福ですけど、ぜひ原点に立ち返って頑張っていただきたいですね!

ちなみに、喫茶コーナーで食べられるという夏季限定の「赤福氷」というのがありまして。
一度でいいから食べたい!……と毎年温かくなってきますと一度は考えるのでした。

赤福
http://www.akafuku.co.jp/

「疾風に折れぬ花あり」(中村彰彦著)第21回「祈る女」掲載!

ご紹介がすっかり後手後手になってしまっておりますが、毎月『文蔵』では、中村彰彦先生の「疾風に折れぬ花あり」が絶賛連載中です!

最新号(6月号)が発売になっておりますので、ご紹介していなかったその前のものも併せてご紹介させてください。

20150510

本連載主人公は、武田家滅亡後、八王子まで逃げてきて出家した松姫こと、信松尼さん。

次から次へと襲い来る困難にも、たおやかに柳のようにしなやかに切り抜け、無事に養い子三人も育て上げました。

そして今や40代半ば。

自立のため、たつきの足しにと考え始めた養蚕だけに飽き足らず、染色、織りまでも学ぼうとしている姿が生き生きとえがかれます。

本連載で中村先生が描き出される「信松尼」というひとは、一見、絵にかいたような「良家のお姫様」といったたおやかで優しげな風情ながらも、その魂には父・信玄の豪胆さを受け継いだ女性です。これと決めたらやり通す、という意志の強い凛とした人。

いっぽうで、いくつになろうとも、無垢で世間知らずな一面もそのままな人、でもあるのです。
そして、そういう面もまた彼女の魅力でもあり、そんな彼女を助けようと一生懸命動いた人たちがいたことが大きいということも事実。

そこで、そんな人たちの中でも、特に重要な人物が、大久保十兵衛こと「大久保長安」です。

このひとは、一般的にどうしても金と女の話が先行し、「怪人物」といった印象の強い人ですが、先生が描き出すのはそれとは真逆ともいえるような、「目配りの大きい、まことに行き届いた」といった印象の人物です。

そして実際、信松尼さんにして上げた史実上のことを合わせて考えましても、長安さんという人の実情は、本作品に登場する「十兵衛」さんに近いのではないのかしら、と思われてきます。

中村先生のお作には、これぞ「歴史小説」という、非常に高度な史料の裏付けによる「中村流読み解き」があります。毎回「なるほど!」と目からウロコ。

ぜひ、お手に取ってみてくださいまし!

(むとう)