生き物の生存戦略??
北鎌倉駅からまだ歩いて数メートルの段階で、早くも3種類のコケを教えていただいちゃいました。今回、N先生はあらかじめ下見までしてコースを選んでくださったそうで、動きに全くむだがありません。確実にコケを見せてくださいます。
東慶寺からまたちょっと行ったところにある『去来庵』(ビーフシチューで有名なお店です)の門前にある大きな石の前でストップ。
ちょっと写真が見づらいかもしれませんが、このグレーの粒粒して見えるもの、これが「ヒメジョウゴコケ」という地衣類の一種だそうです。「子器」と呼ばれる部分がじょうごの形をしてるので、こういう名前になったとのこと。
さらに、N先生のお話では、この地衣類は銅に汚染された場所に生えるものらしいです。汚染というと何だかコワイですが、例えば屋根が銅版で葺かれてたり、樋が銅でできてたりしますよね。そうすると、そこをつたった水が、下に落ちた時に銅成分を含んでいるんですって。それによってそこのあたりの土には多くの銅成分がしみ込んでるんだそう。なので、銅は生き物にとって毒なので、そのあたりには、銅に強い(もしくは銅を好む)生き物しか生えてこないんだそうです。
これも、生物の「生存戦略」ってやつでしょうか。ほんとに自然界というのは、よくできてますよね。
さて、この観察会では実にたくさんのコケをN先生にご紹介いただいたんですが、私の脳味噌の性能が悪く^^;、さらに自分が書いたメモが汚すぎて判読できない、という情けない状況なので、ここからは印象に残ったものをピックアップしてご紹介してまいりましょう。
東慶寺からほど近い浄智寺の門前に、池と石橋がありました。その池にはふわふわと緑のものが浮いてまして…
ちょっとだけ掬って観察。終わったらすぐに池に戻しました。自然のコケはとっちゃダメ!なんです。
水面に浮遊したりするコケの一種で「ウキゴケ」というんだそうです。先のほうがY字になっていて、そのまた先がY字になってどんどんわかれて増えていくとのこと。
水の上にもコケがあるなんて初めて知りました!
続々と現れるコケの皆さん!」
浄智寺からちょっとだけハイキング気分で源氏山公園を抜け、銭洗い弁天へ。
この道すがらもたくさんのコケを観察することができました。
印象深かったのは、浄智寺裏手で教えていただいたこちら!
「モジゴケ」という地衣類の仲間。ちょっと遠目かもしれませんがよく見ていただくと、黒い筋のようなものがたくさん見えてきます。これ、組合せによっては文字みたいに見えるんです。なので「モジ」ゴケなんですって。この黒いのはは『子器』なんだそうですが、なんだか不思議な生き物ですよね。
こちらは源氏山公園で観察した「ウメノキゴケ」という地衣類。
排気ガスなどに弱くて、空気のきれいなところにいる地衣類なので、大気汚染の指標によくつかわれるんですって。
地衣類は成長がゆっくりなので、ここまで大きくなるにはかなりの年数が必要だそうですよ。
一度見つけると、だんだん見えてきます
さて、こんな風に観察していきますと、いつも見ているはずの風景の中に、コケはたくさん生きていることがわかります。まさに私の目は「節穴」。自分がどれだけ選択的に風景を見ているのかを自覚しますね。
でも、こんな風に教えていただきますと、単なる木のシミだと思っていたものが、何年も生きてきている地衣類だったりすることがわかります。
これって、すごい「気づき」ですよね。
先生と歩いていてつくづく思いましたが、鎌倉ってそこらじゅうにコケや地衣類がたくさんあるんです。特に先生が観察会のために、と選んでくださった場所を歩いたということはもちろん最大の要因と思いますが、それにしても、コケだらけでした!
寺好きゆえに、鎌倉には結構きていますが、こんなに生き物にあふれている場所だとは知りませんでした。改めて感動してしまいました。
帰宅してから、散歩していると自宅の周りの木も地衣類がたくさんくっついてます。みてなかったんですね。っていうか、これが生き物だ、ということと直結しなかったので、注目してなかったんですよね。
いまいち記憶力も悪いし、あれな私ですが、N先生の観察会に参加させていただいて、「コケ」という存在に「気づく目」を与えていただいたと思います。
そんな新しい目で見てみると、若干気持ち悪くなるくらいこの世の中はいきものだらけですよ!(笑)
嬉しくなっちゃいますね!
最後になりますが、お忙しい中ご用意いただき、ご案内いただいたN先生、本当にありがとうございました!そして、お誘いくださいましたYさんも本当にありがとうございます。また遊びに行きましょうね~~!
(終わり)