「木」ともう一度出会いたい~南会津へGO!~①

日本人は、「木」が大好き
都会に住んでいると、ついつい忘れがちですが、ふと、周りを見渡しますと、意外と木が植わっていることに気づきます。
あっと驚くような小さいスペースに緑を植えたりしてますよね。プランターだったり、場所は限られますけど、少しでも植物を植えときたい、と思うのは日本人の本能の一つ、といってもいいかもしれません。

さて、そんな環境の中で、最も身近な木、と言えばそれは、木を素材に造り出したもの~「家具や道具」、なのではないでしょうか。
「緑」ではありませんが、この茶系色は私たちにとってはなくてはならない色だと思います。

歴史的に見ても、日本人ほど「木」という素材を愛し、使い尽くし、また恩恵を受けてきた民族は珍しいかもしれません。
たとえば「仏像」一つとっても日本人は木をいかに愛してきたかがわかります。
じつはもともと、仏像は金属や石を素材に造られるんです。これって結構意外じゃないですか??
私たちの身の回りにある仏像、有名な仏像は木を素材にしたものが多いですよね。でも、アジア各国に行くと、木で造られている仏像は、むしろ珍しい。仏像は「肌が金色に輝いている」とお経にも書かれていますから、金属から作られる方が理にかなっているのです。

でも、日本では圧倒的に「木」を素材に作られています。 身近にあった素材だから?とも言われますけど、日本人にとって「木」はそもそも『神』でもあったので、「木(神)から聖なる存在である仏像を彫り出した」ンじゃないかと思いますね。「 大事なものを作るときに、木で造りたい」と思うような心情がセッティングされてるんじゃないか、とさえ思います…。

改めて「木」と出会う旅へ
と、前置き長いですけども^^;。
先月末、南会津村(福島県)にいってきました。

実は、来年から、めっちゃ素敵な家具や道具をオーダーメイドで制作している家具作家集団・ラボラトリー(株)さんと一緒にお仕事をさせていただくことになりましてですね!
「材木調達・製材、在庫確認で南会津に行くけど、一緒に行く?」とお誘いいただきまして、ウホウホと同行させていただきました。

laboratoryの素敵なオフィスと家具たち!めちゃくちゃきれいです!

以前からたくさんの木材を福島県南会津に保管していると聞いていて、そんな機会があったらぜひ連れって下さいと言ったのを覚えてくれてたんですよ~。ありがたい!! ほんと、一度見てみたかったんです。

「温泉は最高だし、おそばも美味しいよお」
と、シャチョーのえーいちさん。
えーいちさんは、同い年でもともと友人ですが、一人で仕事を始めてからぐんぐん距離が縮まり、最近ではすっかりキョウダイみたいな感じ。

そして、もう一人、えーいちさんの相棒・ハタさんは一歳下。ほぼ誤差範囲ですよね。同い年カウントです。
ハタさんともよく考えたら数回しか会ってないんだけど、数回しか会ったことがないことをうっかり忘れてしまうほどなじんでいます。キョウダイ2です。

それにしても、木材がそんなにたくさんあるところなんて、初めて行きますよ~!
「木」と改めて出会う……そんな気持ちで、わくわくしていました。
朝早くから浮き足立つ私。那須高原で途中立ち寄った牧場では、えーいちさんお勧めのソフトクリームもカンパイ気分でいただきましたよ。

浮き足立ってます。

(続く)

フランスに渡った仏像たち(ギメ美術館@パリ)~その弐

さて、そんなわけで、私は颯爽と地下鉄の乗り方をRに教えてもらい、ドキドキしながら地下鉄に乗りました。
この時のドキドキは、「あこがれのギメ美術館に行けるのドキドキ」3割、「地下鉄に一人で乗るのドキドキ」7割です。私は、一人旅をするくせに、かなりなビビりなのですよ…。心にウサギがいるのですよ…。

とはいえ、何にそんなドキドキするんだって感じで、乗り換えもあっさりすみ、あっさりギメ美術館そばの駅につきました。イエナ(léna)駅というところ。

ギメ美術館本館です。立派!

ギメ美術館は、19世紀終わりごろ、リヨンの実業家、エミール・ギメによって創設されました。
ギメは、世界の宗教博物館を造りたかったらしいのですが、特に東洋学・アジアの宗教美術に関心が深く、熱心に収集したようですね。
このギメのコレクションを中心に、同じような志を持ったさまざまなコレクターによるもの、またフランスがアジアに派遣した発掘調査隊が収集したものなどがこちらに収蔵されていきます。
そして、その後、エジプト部門の遺品をルーブルに移管した代わりに、ルーブルの東洋部門のコレクションをギメ美術館にそっくり移管、ルーブルの東洋部門を担う形になったそうなんです。
なので、ギメ美術館は国立の美術館なのですね。
ルーブルにアジアの美術品がない理由もこれでお分かりになるかと思います。そうなんですよ、こっちにあるんですよ~!意外と知らない人も多いんじゃないかな^^;。

そんなわけで、こちらでは特にアジア各地の仏教美術を、網羅的に見ることができます。特にクメール美術に関しては、ひょっとしたらカンボジアよりいい状態のものを収蔵しているかもしれません。いやはや。

チケット売り場に行くと『セット券』が売ってます。本館と別館のセット券です。ちなみに、別館では特別展「OFUDA」を開催中でした。 『お札』ですよ~~! 日本でだってなかなかできない、この渋さ。 さすがギメ美術館。半端ないです。

ちなみにこの別館は『パンテオンブティック』というところで、日本美術の収蔵されているところ。この本館から歩いて5分くらい。同じ通りにあるとのこと。では、本館の常設展を見たら、別館で『お札』展も見ることにしましょう!

さてさて。

ここの凄まじさは、ルーブルを想像していただければ、ほぼ間違いないです。あそこのエジプト美術を見るだけで、いったい何時間かかるというのでしょう。そうです、そのコンパクトバージョンだと思ってください。

インド、中国、クメール、東南アジア、日本、朝鮮半島…みたいな感じで別れていますが、そのどれもがすごいので、大変です。しかも本当にクオリティが高いので、ふお~っと叫びながら見続ける感じです。これもルーブルと同じです。魂の体力根こそぎ持ってかれるような、あれです。

まずはインドコーナーから。

踊るシバ。あまりにも有名なこのお像とか…

インドの宗教美術、やばい。素晴らしいクオリティ!!!
あんまり感動していたからか、この時撮った写真のほとんどがピンがあってなくてブレブレです。すみません。でも多分動揺してたんだと思います。シバ神は、インドの3最高神のひとりで、仏教では大自在天として登場します。

そして中国も。
わああああ、まじですごいんですけどお!!!!

10世紀ごろ(五代十国時代)。木彫・金箔・漆。

千手千眼観音菩薩立像!
興奮して、写真も撮りまくりましたよ。
素晴らしいお像です。ひょっとしたらこれだけ状態のいい中国の仏像は、本国にもほとんどないかもしれません。かの国は王朝が変わるとその前の文物を焼いてしまう文化があったりして、意外と古いものが残っていないのです。
こちらのお像は、唐の時代が終わって直後。五代十国時代のものだそうですが、どこの国のだか分りません。日本だと、平安中期くらいですね。

ふお~。やばいです。まだ入り口から50メートルくらいしか進めていません。日本部門までまだまだ先は長いのです。
(続く)

『義経不死伝説』/中津文彦著

中面の編集を担当させていただいた本が出来上がりました。

著者の中津文彦先生は、ご存知の通り長年ミステリ界をけん引されてこられたお方です。今回の御本は1996年に『義経はどこへ消えた?』というタイトルで出版されていたもの。推理小説家としての想像力を駆使して描き出した歴史推理エッセイでしたが、このたび全面的に再構成・編集し、加筆もしていただいて、文庫として装いも新たに再登場しました。

実は、本書制作中の今年4月。中津先生は突然お亡くなりになってしまいました。昨年の今頃お目にかかった際には、ピンと背筋を伸ばされて、心遣いを忘れない、まさに『文士』といった趣の紳士でした。スポーツマンで、にこやかな優しい表情を絶やさず、とても楽しそうにお酒を召されてましたし、よもやご病気とは知らず…。

ほんとうに、本当に悲しいことでしたが、N編集長の『弔い合戦のつもりで』のお言葉で、一念発起。先生の最後のお仕事としてご満足いただけるよう頑張りました。結果、至らぬところはたくさんあったと思いますが、とても素敵な本になったのではないかと思います。N編集長、本当にありがとうございました。

義経伝説を総覧する、という意味でも読みごたえがありますし、今年話題の清盛と、義経との知られざる因縁話など、書き下ろしも読みごたえがあります。 是非お手に取ってみてくださいね~!(むとう)