17年ぶりの秘仏ご開帳!@千手院(滋賀県長浜市)

長浜市の千手院で、何と17年ぶりの御開帳です!

長浜は、豊臣秀吉が城主だった地としても有名ですが、仏像好きとしては、琵琶湖の東岸の、観音様ゾーンにある大都市(?)としても印象深い場所ですね。

こちらの郊外にある千住院というところに、国指定重要文化財の観音さんがいらっしゃるそうです。不勉強なもので全然知りませんでした。
京都新聞に、そのお姿の写真も掲載されてますので、ぜひご覧ください!↓
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20121106000021

11月11日まで。
お近くの方はぜひぜひ~~!

:川道観音・千手院
http://homepage2.nifty.com/kawamichi/index.htm
アクセス:JR琵琶湖線長浜駅から湖国バス近江高山線で「川道南」下車。

イシブカツvol.8②そして王道の板碑もね~

朝から、ガツンと石室の美しさにやられた二人。
しかし、その余韻も冷めやらぬまま、今度は中世の板碑の世界へゴー!

真名板薬師堂

行田市内で最も大きいという「真名板薬師堂板碑」をみにきましたよ。想像していたよりもなんだか大きなお寺さん。でも、現在はご住職はおらず、近隣の皆さんで管理してるとのこと。

おお!ありましたありました!
前方にある大きな銀杏の樹の間から覗いています。立派な板碑です。
どーん。
高さは3m51cmもあります!でかい!
紀名は建治元年(1275)といいますから、700年以上前に造られたものですよ。すごいですね~。
ちょっと表面に注目。
上に三つの丸みたいなのがありますが、これは「三弁宝珠」と呼ぶそうです。
仏教では「如意宝珠(にょいほうじゅ)」というめちゃくちゃパワーを持った玉(見た感じ桃みたいな形)があります。「思いのままに願いをかなえる宝の珠」という意味で、よく仏像が持っていたり、単体で祀られたりしています。

この板碑の場合、阿弥陀さんを表す梵字(種子)・キリークが真ん中にどんとあって、上に三弁宝珠が並んでますね。
石田氏のお話では、こうして三弁宝珠を刻むことで、ご本尊の阿弥陀さんを「おごそかに飾り付ける」という意味があるそうです。またこれを「荘厳(しょうごん)」するというんだそうですよ。ほほ~~。
その下の方を見てみると、なんか変なものがありますよ!

中央の左右、磨滅してしまってますが、中央の縦は、「南無阿弥陀佛と書かれていたのがわかります。でもその左右に謎のレリーフ。イラストのように、多分これ、「五輪塔」というスタイルの塔を刻んでるんですけど、なんか屋根の途中が離れてますよ?
たぶん、ここにも何か書かれていたんでしょうけど、まったく今はもう何が何だか…。何が書いてあったんでしょうね?w

そんな話をしていたら、石田さんが「フンフン」と鼻息を荒くしておられます。この「フンフン」はいつも穏やかで優しい石田さんが憤慨されているシグナルなのです。

「なんかさ、…うまかろうってかんじがしてこない?」
そう言って、鋭く種子とその下の蓮台を厳しく見つめています。
「確かにうまいと思う。でも『ほら、こんなにうまく彫れるんだぞ、どうだ』ってかんじじゃない?」
うんうん!
私も激しくうなづきました!わかる~!

そうなんです、すごい上手だと思うけど、なんか「どうじゃ~~」って威圧感があるような気がしちゃうんです。

あれ?気付かなかったけど…

やっぱなんていうんでしょうか。包まれたいっていうか。せっかく極楽浄土に一緒に連れてってもらえるんだったら、優しい阿弥陀さんにお願いしたいな、っていうか。そういう気持ちがあるわけなんですよ。
そう考えてしまう私たちとして、もうちょっと包容力のある空気感のがいいなあ、と思ってしまうわけです。

そんなこんなで、ちょっと落ち着いてみますと…。

なんか横にちっちゃいのがある。めっちゃ小さくて視界に入ってませんでしたが、こちらもなんかよく見るといい感じですよ。

こちらの種子は「バン」、「大日如来」です。
調べてみたら、なんとこちらは1265年に造られたものだそうで、隣の巨大板碑よりもっと古い!ゴメン気付かなくて!

小さいけど、とっても古い板碑。地味ですがなんかしみじみしていいかも。

こうしてみてみると、こちらの板碑のほうが、地味だしそれほど上手ではないかもしれません。でも、優しい感じがして結構好き。
言うなれば。
巨大な方は、「おれは優しいぞ!ついて来い!」と正面から言われてるみたい、こちらはふと気づいたらいつも隣にいて気遣ってくれてた、みたいな。さりげない優しさ、みたいな(考えすぎ)。

いやはや、こうしていろいろ考えたりするわけですよ。
余分なことも、ね(笑)。

(イシブカツvol.8③へ続く)

仏頭を作ってみたい

仏像を追いかけてウン十年…。物心ついて以来ずっと追いかけ続けてきましたが、あくまでも「あこがれの人を見る」立場というか、スタイル(それが普通だけど)。あくまでもウォッチャーであったわけですね。
そんなスタイルから、一歩踏み出してみよう、ということになりました。

というのも、何事も弾み、というものがございますね。
日頃お世話になっている奈良博・N先生を囲む飲み会で、新進気鋭の仏師の方とたまたま同席したのですね。で、たまたまそしてその方が、仏頭づくりの体験講座@奈良まほろば館を開催されるというではありませんか!

……こういう御縁はどんどんノル性質(たち)です。
なかなかないですよね!仏師の方と同席するなんて。しかも体験講座が近々あるなんて。これは何かの思し召し、ということで、その場でさっそく申し込みまして、昨日、行ってきました!

雑誌でも特集されてたり!これからさらに要チェックなおかた。

新進気鋭の仏師・Yさんは、彫刻家としても最近大注目の作家さんです。

カッコいいので、女性誌からも引っ張りだこだそうですよ。これをいうとYさんは複雑な顔をされますけど、まあ事実なんだからしょうがない(笑)。

物腰柔らかでユーモアたっぷりでサービス精神も旺盛。講座も、初めは私はもちろんみなさん緊張していましたが、Yさんの語り口で、すっかり和やかなムードになりました。

仏頭づくり、といっても木を彫ったりするわけではなく、紙粘土を使った方法。仏像的な言い方をすれば「塑像」ですね。塑像の簡単バージョンを体験する、とも言えますけど、Yさんがおっしゃるには、これは美術分野の一般的な方法。なので、今回は、「仏像の作り方を体験する」、というよりも「仏像という形をそれぞれが作ってみる」という体験だそうです。

「自分で作ろうとすると、観ているのとは違って、細部までじっくり見る必要があるし、自分の手で触って形を作りますから、また違った視点で仏像が見えてくるようになりますよ」とYさん。なので、お手本はありますが、みなさんの思うように作ってください、とのお言葉。

かっこよすぎる見本に、絶対無理!とビビる私。

それを聞いて、胸をなでおろしました。
だって、目の前にある見本が「旧山田寺仏頭」なんですもの!ハードル高すぎです!

でも、こういう立体の見本がないと、あまりにも見当がつかないので、ありがたいですよね。
このお像には絶対に及ばないけど、とりあえず目標ということで。

さあ、前置き長いですけど、いざ、スタート!
材料は、木組み(新聞紙、荒縄、木。すでに作っておいてくださってました)、紙粘土、水。
シンプルすぎて、逃げ場がないですよ!このセッティング^^;。
でも、きおくれせず、とにかく始めましょう。
木組みに、まず、紙粘土を良くすりこむようにくっつけていきます。最初が肝心だそうですよ、しっかりしっかりつけます。
そして、そのあとは、もう各自自由に!

「面白いもので、みなさん、見本に近づけようとされていても、結局ご自分の顔に似てくるんですよ」(Yさん)

むむ。じゃあ、できるだけ笑顔の仏像にしたいぞ!と意気込む私。
ここまで粘土を盛るのに一時間かかりました。

なんか、埴輪っぽいな。

お分かりと思いますが、すでに見本への道から大きく外れております。ふっくら優しい顔にしたいのですが、どうしても細おもてになってしまいます。私も相当なふっくら丸顔なのに。おかしいなあ。Yさんのアドバイスによると、メリハリがないので、余計にそう感じるとのこと。
うーん。どうやってもふっくらしませんよ!しかも頭の上の肉髻(にっけい)部分が前過ぎてなんかへん。 こういう恐竜いましたよね…

そんなこんな、ここでタイムアウト。講座の時間内(二時間)ではなかなかできないです~。
Yさんがきれいに箱詰めして下さり、お持ち帰り。
あとは家で仕上げ作業です。

そして完成!
結局全然ふっくらしませんでしたが、結果的にかなり好きな顔になって、自己満足!にっこり笑ってくれてよかった。
しかし、見本には全く遠いところに着地してしまいました。とほほ。

それにしても、いい体験をさせていただきました!
Yさんのおっしゃる通り、今までとは違う視点をいただいたような気がしています。
#そして、不届きですけど、また作りたいと思っちゃいました!

Yさん、まほろば館Bさん。ありがとうございました!!

奈良まほろば館
http://www.mahoroba-kan.jp/
:銀座線・半蔵門線三越駅前から徒歩5分