美術手帖の特集が「円空」ですよ!?

さて、前回に引き続き、お勧め本のご紹介です。
本というか、今回は雑誌ですね!

なんと、美術手帖さんですよ~!
20代のころ、現代美術が好きでよく買っていた美術雑誌ですが、なんと、2月号(ちょっと遅いですけども^^;)の第一特集が円空さんです!

何しろ、東京国立博物館では現在円空展を絶賛公開中ですから、紹介するなら今っちゃ今なんですけども。
あの美術手帖さんが、円空さんかあ~~。なんだか新鮮です。
だって、1月号の特集は会田誠さんですよ!ンで、3月号はフランシス・ベーコンだし!
そういう雑誌で「円空」という人の作品として円空仏を紹介している、というのが何か非常に面白いのです。

さらにもう一ひねりなのが、漫画家の井上雄彦さんと一緒に円空仏を見に行くという特集があったり、彫刻家棚田康司さんが、円空仏を研究している職人さんと一緒に円空仏を掘ってみる、という企画があったりしてね。
さらに、円空仏の基本データもちゃんと掲載してくれてますし、みうらじゅんさんががっちり寄稿もされていまして、とても充実感のある内容です。

さらに偶然に、と言っていいのかわかりませんが、
第二特集に「白隠展」が入ってます。
なんだか二度おいしい、みたいな感じですよお。

それにしても、久しぶりに美術手帖を買いました。
「雑誌」らしい頑張りが紙面を生き生きとさせている気がしていて、同業者の端くれとして、すごく嬉しくなっちゃいました。面白がったり、これいいよね?と読者に提案を投げかけるような部分。そういう部分があってこその出版ですよね。この美術手帖にはそんな提案がたくさんあるような気がしたのです。

今月中に、円空展は必ず見に行くつもりですが、こちらを読んで、とてもさわやかな気持ちをいただきました。ますます楽しみです!

 

『この20人は、なぜすごいのか』/泉秀樹著

新年早々、お仕事のご報告ができてとてもうれしい正月二日!
おかげさまで1月は2冊の文庫が刊行されます。

まずはこちらの一冊!中面の編集を担当させていただきました。1月4日の発売です。

こちらは、ビジネス情報サイト「wisdom」で人気連載中の「今に生きる歴史を動かした男たち」から、構成・再編集したもの。
歴史エッセイで高名な泉秀樹先生ならではの情報・視点から描き出される「歴史を動かした男たち」の生きざま。「今を生き抜くための知恵を彼らの人生から少しでも読みとってもらいたい」との泉先生の思いから、本書は造り上げられました。

上杉謙信、武田信玄、織田信長、徳川家康、豊臣秀吉、平清盛、藤堂高虎、島左近、坂本竜馬、勝海舟…。

名だたる男たちの、王道のストーリーはもちろんのこと、意外な素顔も垣間見ることができるかと思います。

歴史に詳しい方はもちろんですが、歴史は苦手だけど「人間の生き方」には興味がある、という方にもぜひお手に取ってみていただきたい、との思いから、タイトルや装丁もいわゆる「歴史物」からは一線を画した造りになりました。

全体ですと360ページほどありましてボリュームたっぷりですが、一人につき20P弱で読み切ることができる構成です。ちょっとした時間の合間にお読みいただくのでもお勧めです。ぜひお手に取ってみてください!(むとう)

『義経不死伝説』/中津文彦著

中面の編集を担当させていただいた本が出来上がりました。

著者の中津文彦先生は、ご存知の通り長年ミステリ界をけん引されてこられたお方です。今回の御本は1996年に『義経はどこへ消えた?』というタイトルで出版されていたもの。推理小説家としての想像力を駆使して描き出した歴史推理エッセイでしたが、このたび全面的に再構成・編集し、加筆もしていただいて、文庫として装いも新たに再登場しました。

実は、本書制作中の今年4月。中津先生は突然お亡くなりになってしまいました。昨年の今頃お目にかかった際には、ピンと背筋を伸ばされて、心遣いを忘れない、まさに『文士』といった趣の紳士でした。スポーツマンで、にこやかな優しい表情を絶やさず、とても楽しそうにお酒を召されてましたし、よもやご病気とは知らず…。

ほんとうに、本当に悲しいことでしたが、N編集長の『弔い合戦のつもりで』のお言葉で、一念発起。先生の最後のお仕事としてご満足いただけるよう頑張りました。結果、至らぬところはたくさんあったと思いますが、とても素敵な本になったのではないかと思います。N編集長、本当にありがとうございました。

義経伝説を総覧する、という意味でも読みごたえがありますし、今年話題の清盛と、義経との知られざる因縁話など、書き下ろしも読みごたえがあります。 是非お手に取ってみてくださいね~!(むとう)