「秘仏」という存在
皆さん、「秘仏(ひぶつ)」という言葉はご存知でしょうか??
実は、日本ではなかなかそのお姿を見ることができない仏像、というのがありまして、それを「秘仏」と呼んでいます。
年に一回だけとか、春と秋の限られた期間だけ、とか。
普段は、奥ゆかしく扉付の厨子に収められていてます。ですのでその扉を開く、ということで、この秘仏を観られる期間のことを「秘仏ご開帳」と言います。
仏像好きとしては、この秘仏ご開帳は、ものすごく重要なファクターです。
いつそのお像に拝観できるかを毎年チェックしてます。とはいっても、どうしても見逃しがあって、「ああああ、この観音さん、次にあくのは32年後だああ!」なんてことになってしまうことも多々あります。
49年に一度とか60年に一度、なんて仏像もあって「生きてるうちにはもう会えないなあ」なんてこともよくあります。
さらにさらに。お堂に収めて以来、ご住職でさえ会えないという究極の秘仏もいます。これを「絶対秘仏」と読んだりします。有名なところでは、浅草寺のご本尊の観音像、善光寺の御本尊の阿弥陀三尊像は絶対秘仏。
さて、今回ブツタビで訪ねましたのは、12年に一度、巳年の巳の週の三日間だけ会えるおかた、井の頭公園の、「井の頭弁財天」です!!
正直言ってノーマーク!あの井の頭公園にこんな秘密が!皆さんもよくご存じ、吉祥寺の井の頭公園です。
「住みたいまち」に必ずナンバー1とかで入ってくるあの吉祥寺。私も、お仕事ではちょいちょい訪れてきた街です。でも、埼玉の自宅からだとちょっと遠いので、用事がないとなかなか行けないエリア。
今回、この貴重な情報を教えてくださったのは、先輩フリー編集者のYさん!!
さすがの吉祥寺在住。ネットで探してもなかなか上がってこないレア情報です!
「小さなお堂ですから、あんまりみんなに知らせてしまうと、大変なことになっちゃいそう。だから大きくお知らせしなくていいと思ってるのかもしれませんね~」
とYさん。なるほどねえ。確かにそんな感じかも。
それにしても、正直言って井の頭弁天さん、盲点でした~。ノーマーク!!
弁天さんがあることはわかりますけど、「秘仏」だったなんて…!
ちょっと変な言い方ですけど、秘仏でも、文化財に指定されてるとチェックできるので、なんとなくわかるんですが、文化財になっていないお像は、なかなか情報をつかみきれないところがあります。
あ、そうだそうだ。
ちょっと誤解していただきたくないのは、文化財になっていない、ということが、イコール価値がないとかそういうことじゃないんですよ。文化財指定には調査が必要ですけど、その調査をするために秘仏を日の下にさらしてしまうことになります。仏像というのは、あくまでもお祈りするためのお像です。だから、調査のために決まりを破るというのは、それは違うでしょ、とお考えの方もいらっしゃるわけで、それはそれでなるほど、と思います。なので、一切調査をお断りされているお寺さんもいらっしゃるわけで、ひょっとしたらこちらもそんな感じなのかもしれません。逆に、お像を子々孫々まで伝えていきたい、と保存のことなども考えて調査を了承したり依頼される場合も多々あります。今はこちらの選択をされるお寺さんのほうがですが、どちらの場合も「大切にしたい」という目的は同じだと思います。
ちなみに、このお像に関する情報は本当に少ないです。
お寺のHPには「最澄作と伝わるお像」と書かれているだけです。最澄さんが作ったとなると、平安初期にまでさかのぼってしまいますが、さて、どうなんでしょうか。ワクワクしてきましたよ!
それでも、やっぱり知る人ぞ知るなんですねえ。
私たちがお堂のあたりについたのは、12時ごろ。かなりの行列が!入口付近の張り紙で、待ち時間45分、と書かれてます。
いやいや、そんな。
待ちますよ~全然問題ないっすよ!
お堂からは、獅子舞のお神楽がずっと聞こえています。途切れることのない笛と太鼓の音が、あったかいこの井の頭公園の空気にものすごく合う!
ならんでる人たちもみんな笑顔。和気藹々と弁天さんに会えるその瞬間を待ちます。
井の頭弁財天
http://www.inokashirabenzaiten.com/welcome.htm