新プロジェクト「神仏探偵」、準備スタート!

 

よく日本には、『八百万(やおよろず)の神々』がいらっしゃるといいます。

日本人は、伝統的に木や岩、海、山…、すべてに神が宿っていると考えてきました。また、そういった日本古来の神さまと、外来の宗教(仏教など)の神仏が合体したりまた分身になったりして、習合しながらいろんな形でいらっしゃると考えます。

日本の文化は外来の文化を喜んで受け入れるというのが特徴かもしれません。新しく入ってきた神を受容し、一方でもともといた神も否定せずに形を変えて残し…、その「なんでもあり」が日本なんですよね。

私は個人的に、こういう多様性は大好きなんですけど、多様であるということは、一方でとても複雑な状況を生むことも意味します。ものすごく有名なのに、実はその正体がよくわからなくなっている神さまや、信仰がけっこうあるんですよね。

そんな「よくわからない」を、楽しみながら解き明かしちゃおうと、コラボプロジェクトを始動させるべく準備を始めました。その名も……

「神仏探偵」

プロジェクトです!

神仏の著作を多数執筆、編集されている本田さんと、本サイト代表のわたくしことむとうが始めるコラボ企画。手探りながらもワクワク、ドキドキです。
本田さんは、本カテゴリ記事で大プッシュさせていただいた『へんな仏像』の著者でらっしゃって、その記事をきっかけにお声掛けいただきました。ありがたいお話です、ほんと!

とはいえ、まだまだ準備段階。どんな風にコンセプトを固めていくかをつかむために、プレ取材をスタートしました。まだ皆さんにご報告する段ではないかもしれませんが、嬉しいので先走ってご報告です。

そんなわけで昨日は、記念すべき第一回プレ取材!東京都北区王子にいってきましたよ!

本田さんのご提案+ご案内で、有名な「王子稲荷社」「王子神社」を中心に、「お稲荷さん」についていろいろ取材しました。東京って、本当に奥深いですよね。王子ってサラリーマン時代に仕事で通っていた場所なんですけど、こんなに知らないことがあったなんてって感じです。
稲荷社(写真:装束稲荷)

とはいえ、謎は深まるばかりだったのですが、「わからないって面白い」主義なむとうとしては、大満足の一日でした。それにしてもお稲荷さんって、本当に謎な神仏ですわ…。

お稲荷さんと言ったら、狐を連想する方は多いと思いますが、お稲荷さんの本体がイコール狐、というわけでもないのです。キツネは本来、お稲荷さんのお使いとも乗り物とも言われます。
お狐さん(写真:王子稲荷社のお狐さん。「眉毛」があるとなんかおっさんぽい空気に)

 

……あれ??

じゃあ、お稲荷さんって神さまがいるの?それとも仏教の神さま??

それがですね。神さまでもあるし、仏教の神さまでもあるんです。
とにかく、お稲荷さんって複雑!ナゾの存在なのです!

こんなにも身近なのに、その正体がよくわからないっていうのは、よく考えてみたらおかしなことです。いったいどういうことなんでしょうか。

「神仏探偵」では、そんなナゾを探ってみたいと思っています。もちろん、尋ね歩く行程や、関係者の方、研究者の方にお話を聞く、そのこと自体を、皆さんと一緒に楽しめたらいいな、と思っております。

また詳細決まりましたら、ご報告させてくださいね。

栖鳳さんは「鳥と猫派」だという確信〔竹内栖鳳展〕

あまりにもすごすぎてその全貌がよくわからないと思っていた絵の巨人・竹内栖鳳さん。
大規模な回顧展が国立近代美術館で開催されています。
20130923-1
ふっと時間ができたので、今日行ってみました。
図らずとも、前期の最終日だったためか、三連休の最終日だったためか、かなりの盛況ぶり。栖鳳さんといえば、重要文化財にも指定されている「斑猫(はんびょう)」があまりにも有名ですね。
20130923-2このチラシの、猫ちゃんです。美人ですねえ。一度はぜひ見てみたい絵の一つです。私は勝手に「美人画」だと思ってます。これ。

ところが、ちょっと血の気が引きましたが、この「斑猫」は、前期では出品されていないということを、現地で知ったのです!!ああああ、やっぱり、ちゃんと出品リスト見ておけばよかったあああ。

でもまあ、ポスターにもなっている「金獅(きんじし)」等はありますし、今後きっちりこれるかどうかわからないし…ということで、えいやと入館。

それにしてもすごい人出でした!

フリー稼業の気安さで、ここ最近平日の昼間にいったりしてるので、こういう人では久しぶり。

あまりにも膨大ですし、さまざまな手法・画材のものがありますので、なかなかお伝えしにくいのですが、私は動物が好きなので、動物に絞ってあえていうならば、

「栖鳳さんは、鳥と猫類が好きだと思う」

ということ。

彼が描くものを見ていると、鳥類と獅子や虎、猫などの猫類は、本当にかっこいいし、美しいんですけど、それにたいして、ちょっとびっくりするくらいほかの動物、かわいくないんですよね。
#すみません、これは私見ですよ、あくまでも。

例えばウサギ。何点かありましたけど、すっごく上手ですけど、かわいくないんですよ。不思議なくらい。

それから犬。犬もすっごく上手なんですけど、かわいないんですよ、これまた。子犬もいましたけど、かわいくないの!すっごい上手だけど!

しかし、それに対して、本当にライオン、虎は美しい!!
そして、スズメもかなり何度も登場しましたが、実物以上に少々荒々しく、同時に可愛いのです。(砂浴びした後、羽を振り立ててるみたいな「羽バッサ~」なスズメが多数登場)
ニワトリやアヒルも、いい。荒々しさ+可愛さ。そんな塩梅。

ほんと面白いですよね。

2歳年下で、京都生まれの、とってもよく似た背景を持つ神坂雪佳なんて、もう、どの動物描いても丸っとしてかわいらしさがにじんじゃうんですけどね。特に雪佳の犬なんて、めちゃくちゃかわいいですけど。…いや、もちろん方向性違いますからね、比べるのはあれかもしれませんけど、改めて面白いなあ、と。

それにしても大規模な展覧会ですので、風景画も素晴らしいものがたくさん出てましたし、人物画も出てました。見る人によってかなり印象が違うんじゃないかと思います。

ぜひ、観に行ってみてくださいね!

竹内栖鳳展
会期:2013年9月3日(火)~10月14日(月)
http://seiho2013.jp/

『洛中洛外図』が一同揃い踏み!秋の東博特別展は必見です。

『洛中洛外図』は、戦国期、16世紀初頭から制作された屏風絵です。

京都市街地(洛中)、郊外(洛外)の風景や風俗などを描いたもので、当時の文化を知る上でも貴重ですし、建築史、美術史、社会史などあらゆる学問の上で研究されている貴重な美術品であり史料です。戦国期から、江戸時代にも多く制作されましたが、その中でもとくに有名なものが7点あります。

なんとその7点が、すべて揃ってしまうという展覧会が、10月から東博で開催されますよ!!ひゃ~!

ちなみにその7つというのは以下のラインナップです。

国宝『洛中洛外図屏風 上杉本』(狩野永徳筆)16世紀(山形・米沢市上杉博物館蔵)~11/4
重文『洛中洛外図屏風 勝興寺本』・17世紀(富山・勝興寺蔵)~11/4
重文『洛中洛外図屏風 歴博乙本』・16世紀(千葉・国立歴史民俗博物館) ~11/4
重文『洛中洛外図屏風 舟木本』(岩佐又兵衛筆)・17世紀(東京国立博物館蔵)
重文『洛中洛外図屏風 歴博甲本』・16世紀 (千葉・国立歴史民俗博物館) 11/6~
重文『洛中洛外図屏風 福岡市博本』・17世紀(福岡市博物館蔵)11/6~
重文『洛中洛外図屏風 池田本』・17世紀(岡山・林原美術館蔵)11/6~

まずは、なんといっても、織田信長が上杉謙信に送ったものとしてあまりにも有名な『上杉本』、国宝!
これを東京に居ながらにして見られるなんて、嬉しすぎます。
そして、おお、池田本も、ね、ありますよありますよ……。こういうのを並べて見られるってのは本当にありがたい話です。

と思ったら、……ちょっと待って!!

展示替えがあるじゃないですか!
しかも私が見たい上杉本は前期、池田本は後期と別れてる~~(涙)。まじすか~~(泣)。二回来いと、そういう話ですか。

うううう。そんなあ。

でも、行くしかないかなあ。

『京都―洛中洛外図と障壁画の美』展@東京国立博物館
会期:2013年10月8日(火) ~ 2013年12月1日(日)
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1610