file.42 阿闍梨餅本舗・満月の「阿闍梨餅」

いつも超多忙なN編集長。本当にすごい八面六臂ぶりです。今年は担当されていた本が賞をとられたり、映画化されたり、とさらに多忙を極めておられます。まさに「嬉しい悲鳴」ってやつですよね。

わたしも、そんなN編集長のご多忙の一部を一緒にお仕事させてもらってます。少しでも私がお手伝いして、N編集長のお仕事が楽になったらいいなあ、と願いながら…。

さて、昨晩は夕方お邪魔して、ミーティングルームをお借りして作業。

N編集長が「京都のお土産」と言ってくださったのがこの「阿闍梨餅」です。
阿闍梨餅阿闍梨餅!!!

美味しいですよねえ。京都にいったら必ず買います。ちょっとあっためても美味しいんですよねえ、という私に、

N編集長「阿闍梨餅作ってる和菓子屋さんって、満月って名前だって知ってた?」

あ!そうなんですか~?
…ていうか、よく考えましたら、阿闍梨餅のお店、としか認知してませんでしたが、そりゃ、お店の名前がありますよね。

N編集長「でも、この阿闍梨餅がとてもよく売れて有名になったから、阿闍梨餅本舗って名乗ってもいるらしいよ」

なるほど。そういうことですか。さっそくググってみましたら、なるほど「阿闍梨餅本舗 京菓子 満月」というお名前になっております。
阿闍梨餅さあ、いただきますよお!

嬉しそうに食べようとする私の横で、N編集長がうんうん言いながら、先生からの直しを読み下そうとしておられます。かなりの赤字に相当体力を奪われているご様子……。

こんなときこそ、N編集長もあんこを召し上がればいいように思うのですが、編集長は完璧な酒党で、甘いものはいけない口なのです。
阿闍梨餅阿闍梨餅のあんこ、美味しいですよね!
本当に京都らしい上品なあんこです。これだけメジャーになって一般的なお土産品となっても、このあんこの品の良さは変わりません。すっきりとした後味です。

そして、またこの皮が美味しい!餅粉で作ったあんは、しっとりと、少しだけ伸びる感じがしますが、卵の入った焼き皮である、というそこのところは揺らぎません。美味しいなあ。

お蔭さまで、ちょっと元気になったので、うんうんうなって独り言を繰り返すN編集長のお仕事を少しお手伝いしました。

もう一個阿闍梨餅をいただいていたら、さらにもうちょっとお手伝いしたかもしれない、というのは内緒です……^^;。

N編集長、ご馳走様でした!

阿闍梨餅本舗 満月
http://www.ajyarimochi.com/

 

 

 

新潟で京都の秘仏に出会う②『京都清水寺展』@新潟万代島美術館へ!

 

一周年記念!
「ピア万代」から「朱鷺メッセ」へ
第二回目の新潟ブツタビレポートですが、前回では「廻転寿司 佐渡 弁慶」でイカを二貫食べたところで力尽きました。アオリイカの美味しさが、10年以上前の懐かしい思い出を喚起してくれちゃったりしたもんで、なかなか前に進めません。

それにイカは一番最初に食べたんですから、先は長いですよ。
しかし一つ一つレポートしていたら、なかなか仏像にたどり着けません。ここでは、「佐渡産」と銘打たれたネタの中から、私が頂いたもの三種を一気にご紹介!
佐渡産寿司ネタいちばん左は多分イサキ、中央は今回最も高価だったノドグロ、左はブリです。

ノドグロのお刺身は初めていただきましたが、ま~美味しいこと!!白身ですが、脂がのっていてまたその脂が上品でたまらんかんじです。
そして、もう一つの驚きは天然ブリでした。私、実は脂の多い魚は苦手で、ブリなんかはしゃぶしゃぶでいただきたい派です。でもこのブリは違った!臭みが全くなく、脂ものってますけど重くない!!美味しかったので、ついついもう一皿…と手が伸びてしまいました。これで126円だっけ??ううむ、お得だなあ。

実は私、食いしん坊の割に量はあまり食べられず。小腹べりでして回数分けて食べる派なのです。そのため、5皿+お味噌汁で打ち止め。おなかいっぱいです。結局4種類しか食べられなかったというていたらく…^^;;

すっかり満足して、いよいよ万代島美術館へと向かいます。
朱鷺メッセこののっぽな建物が、万代島美術館の入っている「朱鷺メッセ」。弁慶の入っている「ピア万代」という建物から歩いて10分弱。こちらの5階に美術館が入っています。
展望台から朱鷺メッセに入って、美術館に行く前にちょっと寄り道。最上階にある展望台に行ってみました。手前に見えるちょっと黄色い青の流れが信濃川、その先にあるのが日本海です。この万代島というのは信濃川の河口にある中洲なんですね、たぶん。

さて、一階に戻りますと…
案内案内板?発見。
おおお、いよいよ、清水寺の秘仏に会える瞬間が!!

それにしても、新潟の雄大なこの空間の中で、清水寺の秘仏に拝観することになろうとは。清水寺は観音さんですから、この場所にいるのは間違ってない気はしますけどね。

というのも、観音さんというのは、とても人気の高い菩薩さんで、さまざまなところで祀られてるんですが、その多くは、「水」に関係のあるところに祀られているのです。

それも「水源」にかかわるところが多いと思います。清水寺も、おそらくそうでしょう。

図録にある縁起によりますと、

「大和国武市郡に住んでいた高僧・延鎮(えんちん)という人が、ある日の霊夢に導かれ、淀川に流れる一筋の金色の水をたどってさかのぼっていたところ、東山の音羽の滝にたどり着き、そこで彼を数百年にわたり待っていたという仙人に会って託され、その土地に庵を営み…」(要約)

ということなんだそうですが、この文章を見ても、「金色の水をたどって」、とありますから、庵を営んだその音羽の滝というのは、水源、と考えられますね。

この音羽の滝、というのは現在もありまして、有名な「清水の舞台」と呼ばれる、本堂の正面下あたりにあります。

実はこの「音羽の滝」こそ、清水寺にとってものすごく大切なものなんじゃないかな、と思うわけです。このお寺がここにできる理由になった場所なわけですから。建物が燃えてしまっても、この滝がここにある限り、この水が枯れない限り、清水寺は再建可能なんじゃないかな、なんて思いますね。

(続く)

 

新潟で京都の秘仏に出会う①まずは新潟のお寿司に出会おう

一周年記念! 京都清水寺、243年ぶりの秘仏開帳が新潟で開催!?
少し時間はさかのぼります。

とある猛暑の日。ネットでちらちらニュースを見ていたところ、とんでもないニュースが飛び込んできました。

「『京都 清水寺展』新潟万代島美術館開催。奥の院ご本尊も登場します。」(要約)

な、な、な、
なんですとーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

清水寺奥ノ院のご本尊が出開帳(しゅつかいちょう)!!?

まじでですか!??

私は仕事部屋でひとり叫びました。あんまり驚いたので、FBでも書いてしまいました。この驚きをだれかと共有したい、そんな気持ちでいっぱい…。

なぜ私がこんなに驚いているのかというと、清水寺、というのは、皆さんもよくご存じのあの三年坂とかのある「清水寺」なのですが、清水寺には有名な秘仏が二躰いらっしゃいます。

そのうちの一躰、奥の院のご本尊が、こともあろうに「出開帳」なんて!!本当に信じられない事態です。
*出開帳というのは、お寺さん内でご開帳するのではなく、どこが他の土地に出張してご開帳する、ということです。

まずこの奥の院のご本尊は、平成15年に「243年」!ぶりにご開帳され、仏像ファンの間では、一大ニュースになりました。

243年ぶりですよ?!!

前にあけたときは、1762年ごろってことですよね。徳川将軍10代目家治の時ってことですよ。えらいこと昔です。

実は、清水寺は、火事の多いお寺さんなのです。創建されたのは778年(奈良時代)のことですが、そのあと何度も何度も火事で焼けては、再建されているお寺さんです。

江戸時代にも全焼してますが、三代将軍家光公によって再建され、現在に至っています。243年前になぜご開帳されたのかはわかりませんが、本堂のご本尊のほうは、運営資金を集める勧進のために、江戸時代には何度も江戸に出開帳していることを見ると、そういった何か経済的理由があったのかもしれません。

今回の出開帳も、家光公による「寛永の再建」から380年を数えたことを記念して、とのことなのですが、それにしても、どうして新潟で??!また、このあと沖縄県立博物館を巡回します。新潟と、沖縄……。

正直言って、相当に不思議なことです。何か深いご縁がある、ってことなんでしょうか。

すみません、前置きが長くなってしまいましたが、これはもう、前回2003年の時には、仕事で京都に行くのを断念した私としましては、神の恵み、いや観音さんの恵みってやつじゃないですか。どうにかこうにか見に行かないわけにはいかん!…とスケジュール表とにらめっこです。

ちょうど、ありをりあるが一周年を迎えるので、その記念にちょっと出張したいと思ってましたので、この新潟へ清水寺の観音さんに会いに行くというのを、ぶっこむことにしました。

調べてみますと、高速バスで行くとすごくお安い!ホテルも平日だと半額で泊まれる!

…こうして、一周年記念取材旅行は新潟に決定したのでした。

国内では15年ぶりの高速バスでのブツタビ
10月1日。いよいよ待ちに待った新潟ブツタビに出発です!
朝8時池袋発の長岡バスに乗って出発!

実は高速バス、国内ですと学生以来の体験です。しかも新潟は初めて。バスってなんかワクワクしますね。電車もいいけど、バスもまたいい。不思議な旅情があって!!

約5時間の旅です。

高速バス

(写真:私が載った高速バス。途中PAにて)

時間があまりになかったので、新潟についてあまりよくわかっていない私は、バス内で一生懸命ガイドブックとにらめっこ。

一泊はするものの、時間はそんなにたくさんはありません。本当は新潟市内だけではなくて、村上市や長岡市やたくさん行ってみたいところはありましたが、現実を考えて、新潟市内だけにしぼりました。

新潟市内は、どちらかというと明治以降ハイカラな港町だった場所なので、古い仏像は見当たりません。そういう意味では、今回のブツタビはとにかくお目当ての『京都清水寺展』にしぼったほうがよさそうです。

後は市内を巡回しているバスに乗って、明治から昭和の名家のお庭など見ることにしよう、と決めました。こちらはどちらかというと「石部」の範疇……。
信濃川(写真:途中のPAで見た信濃川。だんだん気持ちが上がってきましたよ!)

それにしても、バスでの移動はとても楽しかった。景色もよく見えますし、また、バスの運転手さんもすごく親切なんですよね。

車内のパーソナルスペースもかなり広いですし。時間は新幹線よりかかっちゃいますけど、お値段3分の一くらいですから、この快適さも含め、本当にいいですね。

さて、そんなこんなで、予定より30分早く、新潟駅に着きました。時間はだいたい13時。

13時といえば、そうです。お昼ご飯食べないと!!

お昼ご飯は、お寿司お寿司お寿司!!!
新潟に行くと決めてから、到着して最初のごはんは「生もの」と決めてました。美味しい新潟の海産物をまずいただきたい!と。

ネットなどで情報収集してみると、意外とネガティブな情報も多く見受けられました。総合しますと、新潟市内(駅に近いエリア)ですと、お寿司は東京とそんなに変わらない…て感じの評価なんです。大きな都市ですから、しょうがないですよね。だけど、私はどうしても地の魚が食べたいのです!

そんなことで、またネットでいろいろ見ていると、私がこれから行こうとしている「万代島美術館」の近くに、評判の回転すし屋さん発見。佐渡の魚を食べさせてくれるというではありませんか!?

よし。ここだ!!

駅から歩いて20分ほどで到着しました。もうおなかはペコペコです。
弁慶

やっと着いた~!「回転寿司 弁慶」です!

幸いなことに、13時半ぐらいで時間も外れていたからでしょうか、待たずにすぐ座れました。普段は大人気なので、けっこう並ぶらしいですよ。

メニューを見て「佐渡産」と書いてあるものを、全部頼もう、と意気込むワタクシ。

佐渡といえば、イカですよ。イカイカ。すみませーんイカくださーい。
アオリイカ

見てください、このツヤを! アオリイカ最高~♪

佐渡。いいなあ、佐渡…。

実は、私にとって佐渡はとても懐かしい、大好きな場所なのです。

10年以上前の話ですが、仕事が大変すぎて壊れかけていた私と友人KとMは、このどうしようもない状況の打開策として、「これ以上ないってくらい落ちたら、もう上がるしかないってそう思うのはどうか」と思いいたりました。

その時、友人Mが、力強くつぶやきました。

「…流人だ。流人の気分を味わうべきだ」

日本史専攻の友人Mは、絶えず渋い打開策を提案してくれる力強き人物です。その時も、「流人」という力強いテーマを投げ込んでくれました。

なるほど、流人か…

それは、私とKにとって、思いもよらぬ投げかけでしたが、心境的にはばっちりはまりました。最初は隠岐の島が候補に挙がりましたが、さすがにちょっと遠すぎます。次に八丈島が上がりますが、南国な感じがして、なんかちょっと今回は違います。

そこで、残ったのが「佐渡」だったのです。

「行くぞ!佐渡に!!」
(←この辺りで、実はもうかなり復活していることに気付かない三人)

こうして訪れた佐渡は、「流人気分」なんてとんでもない。本当に素晴らしい場所でした。

宿も「一番人気がなさそうで、建物も崩れそうな、いけてなさそうな民宿」を、あえてセレクト。ところが、確かにその宿は建物はボロボロだったのですが、おかみさんはいい人だし、ご飯は美味しいし、海はきれいだしで「いけてない」どころか「いうことなし」だったんです。

そのお宿で食べた、イカの美味しかったこと!

夕ご飯はイカ尽くしって感じでしたけど、生で食べても焼いても煮ても、ま~間違いない旨さ。

どん底気分を味わうつもりだった三人でしたが、すっかり楽しくなってしまって、見事に復活を遂げたのでした。

………

……と(回想シーンが長すぎですけど)二貫のアオリイカをいただいた瞬間、この時の記憶が走馬灯のように駆け抜けました。

佐渡、今回はいけないけど、また行きたいな…。

(続く)