【犬スペシャル!】日本犬にあいたい

日本犬が好きなんです!
ニホンオオカミに思いをはせていますと、日本犬にもまた思いが飛んでしまいます。
日本犬って、ほんといいですよね~~。

日本犬と言えば「柴犬」。カレンダー「子柴」2013から。かわゆいなあ。

はっきりいってどんな犬もそれぞれ素晴らしいんですけど、日本犬のりりしい姿には理屈抜きで魅かれてしまいます。

私は、以前とある出版社に所属していた時、犬猫のカレンダーを作っていたことがありまして、その時には、「柴犬」のカレンダーを二点新作として担当させていただきました。

当時、企画会議では、
「マーケティング的に、景気も悪くなると保守的な風潮が高まり、内向きになるため、従来の犬種が人気が出るのです」…なんてプレゼンしましたが、もちろんこれも本当にそうなんですけどね、何のことはない、自分が好きだったから、っていうのが一番の理由です。

実は個人的に、「日本犬」はずっと気になってひそかに追いかけていたテーマなのです。ご存知のように、犬は人間が最も早く家畜化した動物で、生活を共にしてきたコンパニオンアニマル。このイキモンブでも、実際に日本犬の故郷に行って、日本犬のレポートをしていきたいともくろんでます!

けっこう多い!日本犬の種類
日本犬、と一口にいっても実はいろんな種類があります。実は、日本犬って「天然記念物」なんですよ。知ってました??!

文部省(当時)は、純血種がどんどんいなくなっていくことを危惧し、「狩猟の暮らしを伝える猟犬」を日本犬として天然記念物に指定しました。
一番初めに指定されたのは「秋田犬」(昭和6年)。ついで、甲斐犬、紀州犬、越の犬(残念ながら絶滅)、柴犬、北海道犬、四国犬が指定されました。現存では6種が指定されています。
ほかにも、川上犬(長野県指定天然記念物)、琉球犬(沖縄県指定天然記念物)など、県指定の日本犬、「山陰柴犬」など、また指定されていなくても、たくさん在来犬種がいるんだそうです。すごいですね。

ちなみに、今一番有名な日本犬は、ソフトバンクCM「おとうさん」ですよね。彼は北海道犬(アイヌ犬ともいう)です。北海道犬は白い色、ってわけじゃなくて、赤色(茶)が多いんじゃないかな?
それからちょっと前に、ブサカワで有名になった「わさお」君。彼は秋田犬です。「ハチ公」も秋田犬ですが、だいぶ印象が違いますね。わさお君は長毛種の秋田犬です。

「和犬」じゃない日本犬もいます
和犬じゃない日本犬、というのもいるんです。どういう意味かというと、もとは外国からやってきた犬なのですが、日本で交配されて固定化され、日本原種と認められるようになった犬なんですね。こういうのも広義では「日本犬」と呼びます。狆(ちん)、日本テリア、日本スピッツ、土佐闘犬の4種類がいます。

土佐闘犬は一般的に土佐犬と呼ばれますね。よく飼い主や隣人をけがさせてしまったとか、殺してしまったとかでニュースになってしまう犬種です。
そのために、どうも「怖い犬」というイメージがありますよね。なにしろ「闘犬」だし。

だけど、これもある意味しょうがないんです。だって闘犬を行うためにより強く、闘争心をもった遺伝子を組み合わせて犬種を固定化してるんですから…。ふと闘争心に火が付いてしまったりするのも、犬のせいじゃありませんよね。
ですので、土佐犬を愛しているであろう飼い主の方でけがをされた方は、むしろ、自分を責めたりしてるんじゃないかな?と思います。それだけ強い犬なんですから、人間がいろいろ気配りをしなくちゃいけませんもの。それを一番知っている人たちですからね。

さて、土佐犬、ほんとにそんなに怖い犬なんでしょうか?…そう疑問を感じたら、会いに行くしかありませんよね!!
そんなこんなで、数年前になりますが、土佐犬に会いに行ってきました。土佐桂浜まで!(出張にかこつけて!)
(土佐犬に会いたいに続く)

人魚に会いたい~愛され続ける運命?~

さて、ここで人魚伝説についてちょっと調べてみましたよ。
求めるものには必ず与えられる…。
こんな本を発見しました!

『人魚の博物誌~海獣学事始~』神谷敏郎著(思索社・1989年)

『人魚の博物誌』神谷敏郎著。

「人魚」が歴史上どのようにとらえられてきたか、というお話から、海牛類の生態などについて、網羅的に紹介しています。

本書によりますと、たとえば、古代ローマの博物学者・プリニウスの『博物誌』には、スペイン西南の大西洋岸で「海人」が現れた、と記述し、またマナティそっくりの動物のことも記述されてるらしい。

少し時代は下りますが、「ルネサンス期の最高の動物の書」と言われる『動物誌』(ゲスネル著)にも人魚は登場しています。人魚、っていうか半魚人、って方がイメージ合うな…

ゲスネル『動物誌』にある男性の人魚の絵。「海の怪物を前に説教する人面魚体の修道士と司教」だそうですよ…(『人魚の博物誌』P11より引用)

え、えーと…。なんかよくわからない生き物であります。人魚の話をしようとして人魚から遠ざかってしまいましたね。
左側の司教がまとっているマントが「魚のマント」だそうで、このマントを脱ぐと人間の姿になれる、ということだそうです。ううむ。
ゲスネルの『動物誌』には何とそのものずばり、マナティの絵も掲載されているそうで!!

(『人魚の博物誌』p14より引用)

え、ええーっと。
何これ。……牛?

ゲスネルの『動物誌』が書かれる50年ほど前にアメリカ大陸が発見されており、新大陸の方に、現地の人が「マナティ」とよぶ海牛類がいるそうだ、というのは伝わってきてたらしいんですが、ゲスネルは見たことないので、素直に「海+牛」にしてしまった、って感じでしょうか。うーんうーん…

一方、日本はどうだったんでしょうね。
日本も、結構昔から「人魚伝説」はありますよね。古くは日本書紀(720年)に記事が載っているらしいです。昔話で有名なのだと、人魚の肉を食べて不老不死になったという「八百比丘尼」のお話とかね。周囲を海に囲まれてますから、この手の伝説や物語には事欠かないって感じでしょうか。

さて、素晴らしいことに、本書には、日本初の図入り百科事典『和漢三才図会』(1713年)の人魚の絵が掲載されてます。江戸時代中ごろの絵ですね。

『人魚の博物誌』p17より引用。

おお。なんかこれは結構想像していた人魚に近いんじゃないでしょうか?
しかし、やはり、どう考えても「人魚はジュゴンを見間違えたんだ」っていう説は、無理があるなああ。決定的に違いますもん。

さて、そんなこんなで、本物のマナティに戻りたくなってきました。
ここで、いよいよ真打?登場です!

『マナティ』福田幸広著(二見書房)

わああ~~!かわいいい~~!!!

この写真集を書店で見つけた時、私は思わず両手で手にとって、握りしめましたよ。
マナティ、かわいすぎる!!

この写真集は、アメリカ・フロリダ州にある「クリスタルリバー」という町で撮影されたものなんだそうです。
マナティは寒いのが苦手で、毎年11月になると、メキシコ湾からクリスタルリバーという川に上ってきて、春まで過ごすんですって。
(クリスタルリバーは、いたるところから湧水がわきでていて、そのために温度が一定なんですね)

ここに行きますと、野生のマナティと普通に触れ合うことができるんだそうです。写真集の中をご紹介するのはちょっと反則とは思いますが、一部だけちょっと掲載させてください!

『マナティ』福田幸広著、P10-11から引用。

わ~~~!マナティが足に抱きついてる~~~~!!!
キューってなってるわあ~~~!!!
この写真集には、ウソみたいにフレンドリーなマナティたちがたくさん登場しています。彼らは野生らしいんですが、好奇心旺盛で人間が大好きなので、ダイバーに積極的によってきたりするらしいのです。
わあ。いいなああ。

私は、この写真集と出会って、いつか絶対クリスタルリバーに行く!と心に決めました。
だから、いつも11月になると、今期こそどうにかならないかな~と思い悩むのです。

この本の中で、著者の福田さんは、『彼らの闘争本能のようなものを見たことがない』と書かれています。何があっても反撃しないことにとても驚かれてるんです。『マナティを“泉に落ちた天使”と呼ぶ人がいます』とも。

マナティは、私が想像していた『美女』っぽい人魚じゃないですけど、その心根と言いますか、存在がものすごく美しい生き物であることは、間違いないなあ、と思います。ひょっとしたら、昔の人もその愛らしい仕草とかにやられて、彼らを美しい女性のように描いたのかもしれませんね。

日本でもマナティは、先にご紹介した沖縄の「美ら海水族館」でも見られますし、あと「鳥羽水族館」(三重県)、「熱川バナナワニ園」(静岡県)、「新屋島水族館」(香川県)でも見られるそうです。
鳥羽水族館では、世界で唯一飼育されているアフリカマナティとさらにジュゴンもいるそうですよ!熱川バナナワニ園では、これまた珍しいアマゾンマナティがいるそうです!ぜひ一度生で見てみてください。ほんと、かわいいですから!
クリスタルリバーには今期もいけなさそうなので、がんばって鳥羽水族館に行こうかなあ。

(終)

 

人魚に会いたい~リアル人魚と出会う~

人魚伝説。
はかなくも美しい、人魚をめぐる伝説たち…。

そんなイメージはきっとアンデルセンの『人魚姫』からきているんだと思います。王子さまに恋して、魔女の力を借りて声と引き換えにして人間になって追いかけたけど、まったく報われず、結局水の泡と消えてしまう美しい人魚姫の物語。

いや。でも、この話、どう思います?
私は子供ながらになんて救いのない話なんだろう、と思ってびっくりした覚えがあります。しかも人魚姫にもあまり同情しなかったなあ。だって、王子さまだってわけわからんだろうし。

そして、『人魚』の不条理さに慄いたのは、それだけではありませんでした。とある子供向け図鑑を読んでいた時のことです。『ジュゴン』という海獣類の項目に『人魚伝説のモデルなったとされる』と書かれているではありませんか。
おお、それはさぞかし美しい動物なんでしょうね、と思って写真を見て腰が砕けましたよ。

これが、人魚伝説のモデル、ってのは、そりゃ無理だ!
『昔の人は、船の中からみるとそういう風に見えたんだよ』みたいにお茶を濁してましたけど、昔の人って今の人以上に目がよかったと思うし、こういうの見間違えるかなあ。【昔のほうが迷信的だから】みたいなもの言いはちょっと違和感があります。
……ともかく。これが私の「人魚初体験」でした。人魚のモデルとされるジュゴンにも近縁種のマナティにもほとんど関心も湧かずそのままにしていたのですが…

出会いは突然やってきました。
15年ほど前のこと。私は初めて沖縄に行きました。この旅行で私はすっかり沖縄にはまってしまい、ついには沖縄民謡まで習い始めてしまうことになるのですが、それはまた別のお話。
この時、初めて「美ら海水族館」に行ったんです。これまたまさに運命の出会いでした。

おおお!?丸くてかわいい?

その時のマナティたちは、お昼ごはんにキャベツ(レタス?)をもらって食べてました。この写真にはありませんが、短くて平たい前足で丸いキャベツをグイっとはさんで、口の先を押し付けてもそもそ食べようとしています。でも、口がいまいち届かなくて、キャベツの葉っぱのほとんどが口に入らず水面にぷかぷかと浮いて行ってしまうのです。
あああ、なんて不憫な!

丸い!丸過ぎる!口がイモムシっぽい!

体長はかなりあります。3.5~4メートルほどらしいですよ。すごく大きいですけど、決定的に欠けている闘争心みたいな空気。キャベツを食べようとしても半分以上は水面に逃げていってる有様を見ていると、ああこの子たちはこのままほっといたら絶滅しちゃうよ、と心配になってしまいました。

このマナティはアメリカマナティといい、北アメリカ島南部、南アメリカ北部、カリブ海に住んでるそうですが、冒頭に挙げたジュゴンとどう違うというと、ジュゴンは東南アジア(日本では沖縄近海)、インド洋・紅海など熱帯界隈に住んでいて、体長が3メートルくらいでちょっと小柄。マナティはもうちょっと大きくて、決定的な違いは、尻尾がおしゃもじみたいな形ってことではないでしょうか。

尾っぽがおしゃもじみたいですよ。

私は、このまったく自分を守る技を持っていないであろう動物にすっかり魅せられてしまいました。泳ぐのもあんまり速そうじゃない。ご飯も海藻か藻しか食べられない。なんてピースフルな動物なんでしょうか。ピースフル、という点では人魚姫のパーソナリティと相通じるところはあるかもしれません。

よし!もうちょっと人魚伝説も勉強してみよう。そして、愛すべき草食動物・マナティについても。
(人魚に会いたい~愛され続ける運命?~に続く)