「疾風に折れぬ花あり」(中村彰彦著)、第8回「天の咎め(2)」掲載!

ご報告が遅くなってしまいましたが、4月半ば、中村彰彦先生の「疾風に折れぬ花あり」、第8回目掲載の『文蔵』2014年5月号が刊行されました。

5月号の文蔵の表紙イラストは、燕と菖蒲、いや、アヤメかな。この可憐さはアヤメな感じですね。
20140504燕、と言いますと、私は「ツバクラメ」という読み方が好きなんですけど、皆さんどうですか。ツバクラメ、ってなんかかわいいですよね。

さて、表紙は相変わらずほんわりかわいいですけど、我らが「疾風に折れぬ花あり」の松姫さんは、変わらずのっぴきならない状況です。

前号では、織田軍による武田の残党狩りが始まり、戦国時代の常識からしてもあまりにも過酷な方法で迫る残党狩りの手から逃れるため、松姫さんはいよいよ他国へ脱出するため出発しました。

今号では、塩山の向嶽寺に隠れていた松姫さん一行、とにかく織田家の手が届かないであろう、北条家が治める相模国、またその先の武蔵国を目指して、過酷な山道を進みます。

そのルートは、今も昔もあまり変わらないんです。
山梨から、東京(武蔵国八王子)に抜けるルート。甲州街道・最大の難所・笹子峠を越えて、大月、上野原、案下峠をこえ、陣馬街道を東進すると、八王子の恩方へと抜けます。

さすが甲斐の国・山梨、山国ですね。戦国時代、いえもっと昔から人が通る道はそうそう増えないということでしょう。

しかし、この道を、女性を中心に、4歳児3人もつれて徒歩で。しかも追っ手の目を気にして、甲州街道から一本入った山道を歩いたりしていくわけです。本当に過酷な道行きだったろうと思います。

さて、松姫さんたちは、無事安住の地へとたどり着けるのでしょうか!?

ぜひ、お手に取ってみてくださいね!

 

 

 

「疾風に折れぬ花あり」(中村彰彦著)、連載第4回掲載!!

さて、早いもので、中村彰彦先生の「疾風に折れぬ花あり」、第4回目掲載の『文蔵』2014年1月号が刊行されました。

雑誌はひと月早いですからねえ。もう来年の名前が付いた巻が刊行されるなんて、…何やら気が急いてまいりますね。
文蔵2014年1月号さて、今回の掲載第4回目では、武田家がいよいよのっぴきならない状況になってきてます。主人公の松姫さん(信玄の末娘)がいよいよ新府城を落ちて、これから始まる逃避行への序章…。

今回のエピソードで私が大好きなのは、松姫さんが城を落ちる途上、異母兄で盲目の龍宝さんに、最後のあいさつに行くところ。

この龍宝さんは、武田信玄の次男で正室の息子。生まれつき盲目だったので半分出家した形をとり、家督は継げなかった人なのです。先生の描かれる龍宝さんの、なんともいえぬ優しく無邪気な様子がたまらない!末の妹である松姫さんを慈しむ様子がまたいいのです。

優しい人ですが、その心はやはり武田の男です。武田の滅亡を前に、一寸の揺るぎもありません。

それにしても、中村先生はこういう人を描くのが、また本当にお上手です!

「見事」な生きざま。

今回のお作の中にも、そうした見事な人たちが次から次へと出てきます。もちろんそれに対して、「わあそれはないわあ」と思う人物も登場してきます。その最たる人は、当時の武田家当主である勝頼なのですが…

…と、あまり熱を入れて書き出してしまいますと、せっかく楽しみにされてる方に申し訳ないので、この辺にしておきます。今回の掲載話も、めちゃくちゃ切なくて、面白いお話ですよ!!
ぜひお手に取ってみてくださいまし!

***
さて、そうそう、『文蔵』のご紹介もちょっと。今回の文蔵はいかにも年末年始にふさわしい特集です。

「書店員が最も惚れた小説」

ですよ!なんだかとっても気になりませんか??!

書店員さんへのアンケートをもとにランキングではなく、「推薦する一冊」という見せ方。本の利き手である書店員さんが個人的思い入れを込めてお勧めする本ですから、そりゃ面白いだろうと思うわけです。

お恥ずかしいことに、浅学な私は、まったく存じ上げない本も多数ありました。年末年始はこちらで登場している作品をできるだけ読んでみたいと思ってます。

そして、第二アンケートでは「私が注目しているこの作家」。
こちらも、本当に浅学な、そして文藝音痴な私にとって初めて拝見するお名前も多数…。もっと勉強しないといけませんね。ほんと。

 

「疾風に折れぬ花あり」(中村彰彦著)、連載第3回掲載!!

先週、中村彰彦先生の「疾風に折れぬ花あり」、第三回目掲載の文蔵が発売されました!

文蔵は毎月17日発売の文庫型雑誌です。

文蔵
さて、今回もなんと言いましょうか、武田家がまっさかさまに滅びに向かって前進してしまう光景を、私たち読者は見るほかない…みるほかない、…ないんですか??先生!??……という雪崩のような展開です。

前回までは、「…なんかやばい。やばいんじゃないの?」みたいな感じで、どちらかというその「気配がヒタヒタと」にじり寄ってくるような感じでしたが、今号では、それが錯覚ではなく、紛れもない事実であることが描かれていきます。

織田信忠軍との徹底抗戦を決意した、同母兄・仁科五郎盛信に請われて、松姫さんは兄の娘を連れて、高遠城を脱出、当主勝頼のいる新府城(武田の本城)にたどり着くんですが、もうこの新府城さえ安全な場所ではないのです。

ああああ、もう、これはのっぴきなりませんよう!!

どこまでも、読者な発言の止まらないワタクシ。編集者としてちゃんとお役に立てているかどうか大変疑問ですが、とにかく、中村先生の今回のお原稿も素晴らしいです!ぜひ、お手に取ってみてください!

(むとう)