さて、早いもので、中村彰彦先生の「疾風に折れぬ花あり」、第4回目掲載の『文蔵』2014年1月号が刊行されました。
雑誌はひと月早いですからねえ。もう来年の名前が付いた巻が刊行されるなんて、…何やら気が急いてまいりますね。
さて、今回の掲載第4回目では、武田家がいよいよのっぴきならない状況になってきてます。主人公の松姫さん(信玄の末娘)がいよいよ新府城を落ちて、これから始まる逃避行への序章…。
今回のエピソードで私が大好きなのは、松姫さんが城を落ちる途上、異母兄で盲目の龍宝さんに、最後のあいさつに行くところ。
この龍宝さんは、武田信玄の次男で正室の息子。生まれつき盲目だったので半分出家した形をとり、家督は継げなかった人なのです。先生の描かれる龍宝さんの、なんともいえぬ優しく無邪気な様子がたまらない!末の妹である松姫さんを慈しむ様子がまたいいのです。
優しい人ですが、その心はやはり武田の男です。武田の滅亡を前に、一寸の揺るぎもありません。
それにしても、中村先生はこういう人を描くのが、また本当にお上手です!
「見事」な生きざま。
今回のお作の中にも、そうした見事な人たちが次から次へと出てきます。もちろんそれに対して、「わあそれはないわあ」と思う人物も登場してきます。その最たる人は、当時の武田家当主である勝頼なのですが…
…と、あまり熱を入れて書き出してしまいますと、せっかく楽しみにされてる方に申し訳ないので、この辺にしておきます。今回の掲載話も、めちゃくちゃ切なくて、面白いお話ですよ!!
ぜひお手に取ってみてくださいまし!
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さて、そうそう、『文蔵』のご紹介もちょっと。今回の文蔵はいかにも年末年始にふさわしい特集です。
「書店員が最も惚れた小説」
ですよ!なんだかとっても気になりませんか??!
書店員さんへのアンケートをもとにランキングではなく、「推薦する一冊」という見せ方。本の利き手である書店員さんが個人的思い入れを込めてお勧めする本ですから、そりゃ面白いだろうと思うわけです。
お恥ずかしいことに、浅学な私は、まったく存じ上げない本も多数ありました。年末年始はこちらで登場している作品をできるだけ読んでみたいと思ってます。
そして、第二アンケートでは「私が注目しているこの作家」。
こちらも、本当に浅学な、そして文藝音痴な私にとって初めて拝見するお名前も多数…。もっと勉強しないといけませんね。ほんと。