本日刊行した『今を生きるための密教』のお祝いに、ステキなイラストをいただいちゃいました!!

ついに本日発売となりました『今を生きるための密教』。
イラストを書いてくださった唐木みゆさんが、お祝いプレゼントにこんな素敵なイラストをくださいました~!!

本書の中に登場する「熊」と「狸」は、著者である本田さんと武藤をイメージして、唐木さんに書き下ろしていただいたキャラクターなんです。

いやもう、本当に、めっっちゃ可愛いでしょう!??

「動物としての野性、ある種の狂気は残しながらも、動物的な可愛さの範疇でありながら、人間っぽさもあるキャラクターを…」

そんな無茶なお願いに、200パーセントの仕上がりで答えてくださいました。

すぐに迷いだす癖のある私ですが、そんな唐木さんの素晴らしいイラストをいただいて、この本における自分自身の方向性に確信が持てました。そんな意味でも、いろんな意味でも、唐木さんには、何度感謝を申し上げても、足りない気持ちでいっぱいです。

唐木さんの世界観というのは、とても今回の本だけではご紹介しきれないものですが、扉絵を書き下ろしていただいた中にも、その片鱗を見ることができるかと思います。

ちょっと、二枚ほどご紹介させていただいちゃいますね!

いやあ、ほんと最高です!

扉絵は7枚ありますが、ぜひ皆さん、扉絵にもご注目くださいね!
その一枚一枚に、唐木さんが捉えた「密教世界のエッセンス」が込められています。

本書は、主役がたくさんいる本だなあ、とつくづく思います。唐木さんのイラストも間違いなく主役の一つです。

唐木さんは、どのイラストも丁寧に掘り下げて、深く潜りながら書いてくださいました。まさに、傑作!

ぜひ、皆様にも、唐木さんの世界を感じてみていただけたらと思います。ぜひぜひお手に取っていただけたら幸いです!

(武藤)

これからを生きるために、自分の足元をちゃんと知りたい。日本文化の源流と叡智へ迫るシリーズ第一弾登場!『今を生きるための密教』/本田不二雄・武藤郁子著

日本文化の根源に迫る新シリーズ、ついにスタート!

密教をテーマに書いてるんですよ~、と言い続けて、早幾月。なかなか本にならなくて、白目をむく日々でしたが、明けない夜はないんですねえ。ついに、12月17日に発売になります!(少々フライングです。すみません!)

私たちの足元にあるものーー私たちの思考や精神の土台になっている大切なもの。

日本文化の基層にあるものを、本田さんと武藤なりに、一歩なりとも迫っていこうとするシリーズが、ついにスタート。第一弾は「密教」です。

これまでにも、仏教をテーマにした本などは何冊か「編集」として経験してはいるものの、今回は執筆者としてですから、ニュアンスが違います。

今回、このような機会をいただいたのは、神仏探偵としても名高い本田不二雄さんの大胆なご推薦によるものでした。そして、幸運なことに版元の天夢人(テムジン)さんの社長・勝峰さんは、私が勤めていた出版社の先輩。不安もおありだったと思いますが、快く承諾してくださいました。いずれにせよ、シロウトの門外漢である私が、「密教」について書いていいのか…。そんな葛藤を抱えながらでしたが、兄と慕う本田不二雄さんのおおらかさと導きによって、どうにかこうにか…。

結局自分なりに考えて、「シロウトで門外漢である」、そこを立脚点にしようと決めました。知らないことは知らない、知ったかぶりは絶対しない(出来ないけど)、と。本書は、本田さんという先達と、武藤という門前の小僧が辿る、「密教を知るための軌跡の記録」と言えるかもしれません。

そのため、ちょっと変わった構成になっています。

章立ても、「章」ではなく、「門」としました。ひとつひとつ、門をくぐって奥へ進んでいくようなイメージです。ですから、序(プロローグ)は「門前」という名前にしました。「密教」という大いなる叡智を前にして、「門前」に佇む私たち自身を、ちょっとでも表現したかったのです。

(本田さんが書き下ろしてくださった「まえがき」をぜひご覧ください!本書はそんな心持でお読みいただけたら幸いなのです)

「門前の小僧」を自称。素朴な質問を連発

そんな門外漢の私にとって、宮坂宥洪先生(真言宗智山派・智山伝法院院長、照光寺住職)との出会いは、最高の幸運でした。私の「わからない」に優しく応えてくださり、そのあたたかい言葉の数々があまりにも「目から鱗」だったので、本田さんにご相談して、本書の冒頭の「門前」の根源にさせていただきました。じつは、この「雲」の言葉の源は、宮坂先生のお言葉です(ちなみに、熊は本田さん、メガネ狸はワタクシ、武藤がモデル)。

(この可愛らしいイラストを書き下ろしてくださったのは、唐木みゆさんです!)

「密教とは何なんでしょう。できるだけ簡単に教えてください」

冒頭にそんな台詞を言っちゃってますけど、本来こんなこと聞けません。「密教を簡単に説明なんてできない」、多くのお坊さまはそうおっしゃるんじゃないかと思います。それはそれで、「おっしゃる通りです」とこうべを垂れるほかないのですが、しかし、本当の始まりとして、この質問をどうしてもいれたかったのです。

そして幸いなことに、宮坂先生は、こんな質問にも優しく、しかしはっきりとわかりやすい言葉をくださいました。さらに、本田さん執筆の第二門「密教を知る」では、「特別講話」として、密教について深く、わかりやすく語ってくださっています。

さらにさらに、私が書いた「第四門 仏尊の世界」を監修してくださいました。先生が見てくださったので、解説文はもちろんですが、密教ならではの仏尊の種子も真言も、間違いのない内容になっているのではないかと思います。

そしてもう一人、大変お世話になったのが羽田守快先生(天台寺門宗・金翅鳥院住職)です。本田さん執筆の第三門「密教の現場を知る」では、密教の祈祷が今どのように行われているかを、歯に衣着せぬ口調で、縦横無尽に語ってくださいました。
私も、「遊行」という章で、戦国時代の呪法について書いているのですが、羽田先生に呪法についてご教授いただきました。歴史研究者が間違えていることをたくさん教えていただいたので、今(だけは)瞬間風速的に、戦国時代の呪法についてはちょっと詳しい人になっています。それにしても、文献は大切ですけど、根本的な知識があって読まないと、読み間違えてしまいますね。

とにかく感動してしまったのは、空海という人の凄さ

今回、自分なりに勉強し、先生方にご教示いただいて、驚き・感動したことは本当にたくさんあります。しかし、あえて何か一つ、と思うと、やっぱり「空海さんって、本当にすごいな!」ということです(素朴で恐縮です)。

こんなにすごい存在が、約1200年前に実際に生きていた人なのかと思うと、何だかもう、不思議な思いすら湧いてきます。どんなにすごい存在であるかは、本田さん執筆の第一門「空海を知る」をご覧いただきたいのですが、こんなに魅力的な人物が日本にいたのか、とつくづく感動してしまいました。

私が「密教」に感じる魅力というのは、ほとんど「空海」さんとイコールと言っていいかもしれません。表現力、言語力、構成力、デザイン力、そして包容力、他者への慈悲の深さなど、そのすべてが空前絶後だと思います。

本書が、そんな空海の、ひいては密教の魅力を知るための、ささやかな一助になれたらいいなあと、心から思います。

そして、私自身も、本書を書かせていただいたことで、小さな一歩を踏み出したような気持ちでいます(その軌跡はぜひ「遊行」という章をご覧ください)。密教を知った、わかったとは、思っていません。

ただ、あえて言うならば、「密教」という、「美しくて大きくて、果てしなく広がる深い森がある」ということを知った。そしてその深い森の入り口でちょっとビビりながらも、ワクワクしている、そんな心境なのです。

これからも、「密教」という大いなる叡智を、勉強していきたいと思います。今回の本は、私にとって始まりです。本書を手に取ってくださった皆さんも、そんなふうに感じていただけたら最高に嬉しいです。

ぜひ、ぜひ、お手に取ってみてくださいね~!!
よろしくお願いいたします!

最後になりますが、共著者の本田不二雄さん。一緒に歩んでくださって、本当にありがとうございました!そして、様々な形で導いてくださった宮坂宥洪先生、羽田守快先生、取材にご協力いただきました皆様、素敵なイラストを書いてくださった唐木みゆさん、デザイナーの高橋潤さん、そして編集を担当してくださった天夢人の武田さん、そして勝峰さんに、改めて御礼申し上げます。

(武藤郁子)

戦国武将と密教の話

はっと気が付いたらこちらの更新滞りまくり。
あいかわらず、元気に細々とお仕事しております!←近況報告です^^;

ここのところ戦国武将と密教の関わりについて一生懸命調べたり、考えたりしています。
これまでにも、戦国時代をテーマにした歴史小説のお手伝いをさせていただいたりはさせていただいたので、少なからず触れてきた世界ではありますが、今回の主役は合戦、情勢がメインテーマではなく、密教を軸とした戦国の風景ってかんじなので、まるで違います。

それほど分量もとれないので、コンパクトにまとめることになりますが、いやあ、本当にこの角度面白いですよ!

私は、師と仰いでいる、仏教史学者のN先生のスタンス「歴史は人を見るもの」に心から共感しています。先生が口癖のように言う「すべてにわけがある」という言葉にも…。100年前の人だろうが、1000年前の人だろうが、「人」です。思いや考えがあって、行動を起こすわけです。それは一見不条理な行為であったとしても、何かしら「わけ」があったのだろうと考えて想像するほうがいいと思います。
##もちろん理由なく殺人を繰り返すような性質の人もいますから、すべてがそうというわけではありませんけれども…
つまり、「こころ」の問題ですよね。
その時、その人は何を思ったのかを想像したい。このポイントが、私自身の探求心の行く先といってもいいかもしれません。

さて。
今回の原稿では、あまりにも有名な話で恐縮ですが、謙信さんと信玄さんにフォーカスすることにしようと思います。
この二人ほど、中世らしい密教、修験、陰陽道などを駆使していたことが、現代にもわかりやすく残っている武将はいないんじゃないかなと思うんですね。
彼らの信仰心が突出しているというよりも、彼らが偉大だったので、文献や何かがよく残っていてるということじゃないかと思います。当時の日本人、武人というのはおしなべてこういう精神世界にいたんじゃないでしょうか。

とはいえ、この二人は、専門家に依頼する側だけでなく、主体的に執り行うこともできたという点でやはり突出してます。
謙信が東密の阿闍梨位を得ている行者だったということは有名ですが、信玄は台密で大僧正位(権僧正とも)を「贈られて」いるとされ、一般的には名誉職的な意味合いを強調されることが多いのですが、実際にはかなりちゃんと本格だったようです。

実は今回は、学侶としても大変有名ながら、同時に祈祷僧としても高名でらっしゃる大変すごいお方に取材させていただくことができまして、同じ行者として、彼らがどんなかんじだったかをお聞きすることができました。

そして、軍記物や願文に出てくる呪法についても、なぜこの組み合わせか、なぜこの呪法(修法)をチョイスしたのかもお聞きしちゃいましたが、これがもう、目から鱗が落ちまくり!

本当に面白い取材でした。やっぱり、ど真ん中におられる方にお話を伺うと、全然違います。実は原稿だいぶ書き上げていたんですが、最初から書きなおすことにしました。それくらい面白いお話がたくさん伺えたんです。

それにしても、緊張しました~!
基本的にビビりなので、いつも緊張してますが、今回の緊張感はなんだか一味違うと言いますか。全部見透かされてしまうんじゃないかという恐ろしさと言いますか。

お会いするなり、

「…あんまり社会派的なことはやらないほうがいいと思いますよ。いろいろ気にしすぎて疲れてしまうだろうから」

と先生に言われて、アワアワしました。
そ、そ、その通りなんです。だから時事的なネタは避けて、できるだけ文化系のお仕事をしてます~とオロオロしながら申し上げました。
やっぱなんか見えてらっしゃったのかな、そうだよな…^^;

下の写真は、たまたま駅ビルで見つけたラーメン屋さんの名前が「空海」だったので、験担ぎですw。