地方に旅するとき、何より楽しみにしているのは、その町ならではの伝統菓子をいただくことです。
自分で言うのもなんですが、その町で古くから続いている和菓子(お菓子)やさんを見つける才能だけは、飛びぬけて「ある」と思います。普段は小心者ですから自信があるなんてまず思いませんが、これだけは、けっこう大きな声を出して言えます。
野原を歩いているときなど、哺乳類や爬虫類の気配はすぐに察知することができるのですが(虫はいまいち察知できない)、その生き物の気配を察知するのに反応する部分を使って、和菓子屋を察知している、と思うのです。
先日も、イシブカツで石造センパイと蒲生郡日野のあたりを取材して、車を走らせているとき、「ハッ」と気配を感じました。
「む…」
そう唸ってスピードダウン、きゅいっと左に折れて駐車場に入ります。
「むとさん、ひょっとして…」
「はい。ちょっと寄ってもいいですか?」
石造センパイは、こういうシチュエーションに慣れてます。森の中でイキモノを見つける才能と、カントリーサイドで美味しい和菓子を見つける才能を、私が持っていることを知っているのです…。
お店に入ると、おおお!
当たりです。作り立ての上生菓子だけで10種類ほど。そのほかに、見たことのないこれこそこの地方のお菓子だ!と思うものを3種類発見。
いそいそと購入して、次の場所に行っておやつを食べよう、ということになりました。
イシブでむかったのは、蒲生氏郷で有名な蒲生氏ゆかりの場所。蒲生氏郷のおじいちゃんのおじいちゃんである蒲生貞秀(さだひで)のお墓です。
見てください、この素晴らしい田園風景を!!
このあたりの風景、戦国時代とあんまり変わってないんじゃないかなあ。
これが蒲生氏の原風景ってやつなのではないでしょうか。
ちょっと右寄りの上のほうに赤い屋根の小屋がありますが、その左上あたりにこんもりとした部分があるのわかります?ここに貞秀さんのお墓があり、こちらの基礎部分に彫られたレリーフをみたくて、足をのばしたのです。そのお話はまた追ってですが、お参りを済ませた後、お墓の手前の木陰で包みを開いておやつタイムです。
いがまんじゅうと言えば、我が郷里・埼玉県にも「いがまんじゅう」がありますが、なんと近江の地で同じようなおまんじゅうに出会うなんて!
それにしても美味しそう。あんこの入った柔らかいお餅の周りにもち米をくっつけていっしょに蒸している感じですね。ちなみに埼玉のいがまんじゅうは、小麦粉のおまんじゅうの上にお赤飯を乗っけていっしょに蒸すので、ちょっとちがうかな。
お餅はふわっとスルッともちっとしててものすごく上質。あんこはとってもジューシーなこし餡です。甘味も控えめで上品ですがきっちりアズキの風味が生きています。これだけでも美味しいと思いますが、これまたちょうどよい塩気をまとったもち米がそこに違う食感として入ってきたら、もおお!!
そりゃ美味しいですわ!
そして、この赤(ピンク)と白の色が可愛い。ふだんはこの組み合わせなんだそうですが、お葬式なんかでは白と黄色をお出しするんですよ、とお店の人が言っておられました。ちなみに味は同じです。
いや~、ほんとにこのいがまんじゅう、一気に3個はぺろりと行けますよ!
めちゃくちゃ美味しかった!!
ところで、このかぎやさん、このほかにも4種類いただいてみましたが全部美味しかった。なので、数回に分けてこちらでもご紹介しちゃいます。
いやあ、本当に見事な和菓子屋さんです。お店の方もあったかくて素敵だったしなあ。こういう出会いがあるから、旅はやめられません!
かぎや菓子舗
http://tabelog.com/shiga/A2503/A250302/25003922/