「疾風に折れぬ花あり」(中村彰彦著)、第7回「天の咎め」掲載!!

昨週、中村彰彦先生の「疾風に折れぬ花あり」、第7回目掲載の『文蔵』2014年4月号が刊行されました。
20140327『文蔵』もすっかり春の装い。桜の花と三毛猫とアリのイラストが、春気分を盛り上げてくれます。

さて、そんなうららかな雰囲気とは裏腹に、「疾風に折れぬ花あり」は、どうにもこうにものっぴきならない状況が続きます。
物語は現実世界と同じ、3月。旧暦ですので、今の暦でいうと4月の出来事です。そんな春のさなかなのに、前号の回で武田家当主・勝頼さんが天目山の麓で自刃、ついに名門武田家嫡流は滅んでしまいました。

さて、今回は勝頼さんが死に、織田軍による残党狩りが始まる……というところからお話が始まります。

戦国時代、ちょっと都合のいい立前かもしれませんが、敵方に味方すると決め、そのために今の主を裏切ることを「返り忠」と呼びました。
なぜ「忠」かというと、次の主のための「忠」なわけですね。

当時は、そのようなことがよく行われていましたが、織田軍は「返り忠」を許さず、織田軍に味方したものでさえ、徹底的に殺してしまいました。
また、一種の聖域でもあるはずの、お寺も例外ではありませんでした。織田信長は比叡山焼き討ちができてしまうような人ですからね。武田家縁のお寺も難癖をつけてどんどん焼き討ちしてしまいます。

本編の主人公である、信玄の末娘である松姫さんも、見つかったらタダではすみません。さてさて。松姫さんの運命やいかに……!!!

今回も緊張感あふれる展開です。ぜひお手に取ってみてくださいね!

 

 

「疾風に折れぬ花あり」(中村彰彦著)、連載第6回掲載!!

昨週末、中村彰彦先生の「疾風に折れぬ花あり」、第6回目掲載の『文蔵』2014年3月号が刊行されました。
20140216

奇しくも、14日の大雪の翌日。本書の舞台にもなっている甲府や勝沼などのある、山梨県は本当に大変なことになっています。雪のために陸の孤島と化している、と…。

私はテレビをあまり観ていないのでわかりませんが、キー局などでのニュースがとても少ない、と友人から聞きました。心配ですが、とにかく今日、また雪が降らなくて本当に良かったです。除雪作業はマンパワーでどうにかするほかないので、限界があります。とにかく、気温が上がって早く溶けてくれることを、遠くから祈るばかりです。

さて、今回のお話は、いよいよ、いよいよ武田家は…です。

武田家の最後の良心というべき、仁科盛信(にしなもりのぶ)は、前号見事に武田武士らしい死にざまを見せました。
そして主人公の松姫さんは、幼い姪っ子の姫たちを連れ、向嶽寺というお寺で、甲斐国脱出の機会をうかがっている…という状況です。

そして、武田家当主の勝頼さんは…。

…最後までひよりましたですよ。重臣の勧めで新府城という本城を脱出し、重臣の城まで逃げて再起を図る、と決めて、新府城に火を放ちます。しかし、この判断はいったいどうだったんでしょう。戦術に詳しくない私のようなものからしても、この一手はやばいんじゃないの?!?と思いましたです。

だって、織田信忠軍はすごい大軍ですよ。家臣たちがどんどん自分から離れていった結果、勝てそうもなくなってるところに、勧められたからと言って家臣の城に逃げ込む、だなんて。なんか無理ですよね??

さて、さてさて。

もう結論は出てしまっておりますが。あああ、武田家、悲し…。

とはいえ、最後の最後には、勝頼もはらを決めます。はらをきめてからの勝頼は、いかにも戦国の武士らしいふるまい。そばで戦った家臣たちもまた、いかにもな見事なふるまいであったことを、先生の筆は教えてくださいます。

いやあ。

なんともいえぬ、余韻の残る今回のお話です。

ぜひ、お手に取ってみてください!
人生の「選択」とは、なんとまあ難しいものか、と改めて考えさせられます!

(むとう)

 

 

『疾風に折れぬ花あり』(中村彰彦著)連載スタート!


文蔵

PHPさんより発行されている文芸雑誌(文庫)『文蔵』さん10月号にて、中村彰彦先生の新連載『疾風に折れぬ花あり』がスタートしました!!

中村彰彦先生といえば、NHK大河で改めて注目が集まっている「会津人」をはじめ、人間の生きざまをえがき続けてきた方。私は、編集者である以前に単なるファンとして、中村先生の著作はずっと拝読してきましたし、先生のえがき出される「見事な人間」を、自らの目標(おこがましいですけど;;)としてきました。
ありをりあるでも、「レキベン」で先生の『二つの山河』や『名君の碑』についてアツく語っちゃったりますし

そんな自分が、なんと、その憧れの先生の新連載のお手伝いをさせていただけることになったのです!本当に嬉しいです!!
お仕事くださったN編集長には本当に足を向けて寝られません!

今回の物語は戦国時代、武田信玄の娘・松姫(信松尼)が主人公。松姫は、武田・織田の蜜月時代に、信長の嗣子・信忠の許嫁でしたが、破談。その後は結婚せず、武田が滅びた後、姪たちを立派に育て上げ、武田旧家臣の精神的支柱になった見事な女性です。会津の藩祖・保科正之を守った人でもあります。そんな女性を、中村先生がどんな風に描かれるのか…。私はワクワクしながら先生の原稿を待ちました。

そして、先月半ばごろ。いよいよ先生から生原稿がファックスで届き、それを拝読した瞬間……。

うおおおおおおおお、という感動が身を駆け巡りました。

匂い立つような松姫さんがそこに立ち上がっておりました。そして、戦国時代の名族武田家の家中にあっただろう、空気。私は一気にその中へ引き込まれてしまいました。

これから、毎月この感動を誰よりも早く味わうことができるなんて!
本当にこれこそ編集者の特権です。なんて楽しいお仕事なんでしょう。

ぜひお手に取ってみてください~!

ちなみに、掲載されております『文蔵』は今号がなんと8周年記念!!毎月17日前後発売です。