file.72 かぎや菓子舗の「でっち羊かん」

いちにちいちあんこ「丁稚羊羹(でっちようかん)」ときいて、ピンと来る人は西のほうのご出身ですね。

関東出身なむとうは、大人になるまで「丁稚羊羹」を知りませんでした。

丁稚羊羹というのは、三重県、滋賀県、福井県から以西の各地方で作られているそうですが、その地方地方でかなりいろんなパターンがあるみたい。どちらにしても、「丁稚さんが帰るようなお手軽価格の羊羹」という特徴は変わらないみたいですね。

ちなみに滋賀県近江八幡のあたりでは「竹皮にくるまれた蒸羊羹」のことだそうです。

私がかぎやさんで購入したのは、こちら!
でっち羊かん確か、一本260えん!安い!!

これまでご紹介したいがまんじゅうや中葉が、すごく美味しかったので、この丁稚羊羹も間違いなく美味しいぞ、と思い当初一個しか買ってなかったのですが、もう3個買い足しに、お店に戻りましたよ。お店の人は、驚きながらも喜んでくれましたけど♪

そして、自宅へのお土産にしました。
でっち羊かん家に帰ってから……。さっそくいただきまーす!
あけてみますと、竹の中に蒸羊羹がたっぷりと。
でっち羊かんおお!おいしそ~!
#しかし、ぬかったことに、断面図を撮るの忘れてた^^;。

丁稚羊羹らしく、甘さは控えめ。小麦粉が少し入っているからか、ちょっとむちっとしています。そもそもかぎやさんのあんこが美味しいので、こちらの羊羹もじつに美味しい。練り羊羹のように濃い味ではなく、もっとサラッともちっといただけるって感じです。

その後、ネットで検索して知ったのですが、これはこうして開かないで、竹ごと切って分けて出すといいみたいです。確かにそのほうがかっこいい!ぬかったああ。

かぎや菓子舗
http://tabelog.com/shiga/A2503/A250302/25003922/

【関西旅】⑤植治七代目の仕事に出会う「慶沢園」/『山の神仏』展@大阪市立美術館

さて、『山の神仏』展は、想像していた通り濃厚な展示で、私はへとへとになってしまいました。余力があったら動物園にもよろうかな、なんて思っていたのはやはり無理がありましたね。

気温も急に上がったことも理由かもしれません。園内にある喫茶店で冷たいお茶でも飲んで一休みしたら、素直に京都に向かおうかしら、と思いながら、美術館を出てふと左手に歩いていると…

「慶沢園」

といういわくありげな扁額を掲げた門があります。

そういえば、この大阪市立美術館は、住友本家の本宅を寄贈したものです。だとしたら、当時最高の庭師が入ったに違いないですよ。

少々熱中症気味の痺れた頭を、どうにか動かしながら、ちょっと説明書き読んで見るかどうか決めよーっと、とよれよれしながら説明書きを見て、一気に目が覚めました。

「小川治兵衛作庭による…」

ええええ!!植治(うえじ)じゃん!!???

いやあ、ほんとすみません。油断してました。今回はとにかく「山の神仏」展を見に来たので、そのほかのリサーチはしてこなかったんです。危なくもったいないことをするところでした。

慶沢園 うっほ~!この第一歩からして、治兵衛サンっぽいわ~!石橋から眺めるこの池の美しいこと。まずは「光」のアプローチ、って感じ。残念ながら曇りでしたけど、それでも植栽に植え込んでいるツツジや花菖蒲なんかが美しく色を添えてくれてます。一雨来た後にこの光景を見れたらさらにベストだったなあ。

さて先ほどから連発してますこの「小川治兵衛」さんというのは、京都に江戸時代中期から続く植木屋・造園業者「植治」の七代目。1860年生まれですからぎりぎり幕末生まれ、明治から昭和にかけて大活躍した名作庭家です。

庭園研究家の泰斗・尼崎博正先生をして、
「日本の庭園史上、特筆すべき造園家が三人いる。中世の夢窓国師、近世の小堀遠州、そして近代庭園の先覚者、植治こと7代目小川治兵衛である。」(『植治 七代目小川治兵衛』京都通信社刊より引用)

と言わせしめているお方。あの夢想国師、小堀遠州と並ぶと、尼崎先生がおっしゃるんですもの、まさに庭園史上の「巨人」です。
20140621-1(上の本は私のバイブル。写真も美しくて素晴らしい一冊ですよ!!)

「かれらは独自の自然観、美意識、造形感覚を提示しつつ、新しい時代を切り開いていったという共通点を持つ」(同書から引用)

確かに夢想国師は平安時代の庭では表現しきれない新しい世・鎌倉時代を代表する作庭を行い、それ以降の作庭を決定づけましたし、小堀遠州も安土桃山時代の華やかさを継承しつつも、近世らしいより開かれた空気感のある方向性に、江戸初期以降の作庭を方向づけました。そして、小川治兵衛さんも江戸時代から明治期という、それまで支配者にはなりえなかった階層のひとたちが貴顕の士となった時代の写実的で開明的な作庭を方向付けました。
慶沢園

(手前は四阿。こういう四阿から池、植栽の広がりってのがまた絵になりますねえ)

この7代目植治さんの代表的なお庭と言えば、山縣有朋邸の無鄰菴(京都)、円山公園、平安神宮神苑などがあります。どのお庭も、ほんっと~~~に素晴らしいので、ぜひまだご覧になったことがない方は、観に行ってください。特に、治兵衛さんのお庭は「体感」することが大切。ただ眺める庭ではなく、実際に回遊して「五感」で感じるようにしているお庭なんですね。
慶沢園(四阿から眺めた池。手前には睡蓮、奥にはツツジがきれいに咲き始めてました)

また彼は「水と石の魔術師」なんて呼ばれたりしてます。とにかく水の使い方、石の使い方がかっこいい!!
特に石橋や、飛び石の絶妙さは、素人の私でもワクワクしてしまいます。平安神宮の飛び石「臥竜橋」なんてもう、絶妙すぎて動揺して池におちそうです。
慶沢園(この石橋なんかも、治兵衛さんぽいんですけど、なんか微妙に管理が心配^^;)

こちらの慶沢園も、いかにも治兵衛さん作庭のお庭という雰囲気が随所に残っています。回遊しながら水のせせらぎ、四阿の陰翳から、眼前を広がる明るさを感じて崎には邸宅が臨める、と。
慶沢園(洲浜のようなエリアから飛び石、水のあるエリア、島へのアプローチ、そしてその先には本邸背面。この絶妙な連結感!)

それにしても。
和のお庭にもかかわらず、その自然主義的なデザインは、洋館との相性もばっちりです。本当に不思議なことですけど…。

今回、帰宅してから、改めてこの本を開いて読んでみて、つくづく思いました。わたしは治兵衛さんのお庭がすきだ!!・・・と。

今回の出会いを、きっかけに、これから重点的に治兵衛さん作庭のお庭を見て廻ろうかしら。

それにしても、大阪市立美術館、そして慶沢園、今回かなり無理やりスケジュールに入れこみましたが、本当に行ってよかったです!

file.71 かぎや菓子舗の「中葉」

いちにちいちあんこ

さて、前回に続いて、今回も滋賀県日野町で見つけた和菓子屋さん、かぎやさんで購入したお菓子。

「中葉」です!

中葉 

……前回に引き続き、日野町が誇る名族・蒲生氏中興の祖、貞秀さんのお墓の前の日陰からお送りしております。地べたにじか置きです。すみません。

この「中葉」、たぶん「ちゅうよう」と読むんだと思います。お店の人がそんな風に呼んでいたような気がするのです。ちょっと自信がないのでネットで検索してみたりしましたが、発見できませんでした。

このひとパックで250円。リーズナブル~。

中葉一個の大きさはこんな感じ。二口で食べられるくらいの大きさですね。
中葉クレープ状の皮の中に粒あんが入っていますよ。

中葉割ってみるとこんな感じです。

生地は、なんとお味噌が入ってるそうで、食べてみると程よいお味噌の塩気と、コクがあり、モチっとした食感がいい感じ!味噌の配合のバランスが絶妙だからだと思いますが、キャラメリゼしたみたいな香ばしさも感じますよ!

小麦粉だけではなくて、餅粉も入ってるのかなあ。

あんこは、これまた品の良い甘味で美味しい!味噌のコクと粒あんのほっこりした感じがとてもよくあってます。

うううむ、これも美味しいなあ。

この前にご紹介した「いがまんじゅう」もそうなのですが、非常にシンプルでみんなが知っている素材で作られているお菓子なんですけど、丁寧に気配りをして作られたらこんな風に一段上に上がってしまうんだよなあ、お料理ってやつは…と思いますね。

素晴らしいなあ。
(続く)

かぎや菓子舗
http://tabelog.com/shiga/A2503/A250302/25003922/