file.63  梅月園の「さくら葉餅」

いちにちいちあんこ

今日はすっかり暖かくて、まさに春!ってかんじでしたね。

まさに春!って感じですが、私は普通に仕事してました。日曜日働かなくちゃいけなくなるのは、フリーの定めかもしれません。

そんな私にもちょっとだけ春がやってきました。
さくら葉餅うちの両親が河津桜を観に行ってきて、お土産にと買ってきてくれたのがこちら「さくら葉餅」。
いいですねえ。春って感じで!
さくら葉餅薄いお餅に、立派な葉っぱが二枚。いわゆる桜餅とは違って、桜の葉っぱが主役ってかんじかも。これだけ葉っぱがつかわれてますと、ちょっと葉要素強すぎないかな?と少々不安になるワタクシ。
さくら葉餅お餅がほわ~んとしてて、なんともいい感じです。どれどれ、じゃあさっそくいただきましょうかね。
さくら葉餅お、こしあんです。桜餅はやっぱりこしあんですよねえ。それにしても、この葉っぱ要素強めな感じ、果たして大丈夫なのか…。

…おおお!いいですね!!
葉っぱが邪魔してない、というか、甘さ控えめなこしあんと白いお餅と絶妙に合ってます。ちょうどいいですね。葉っぱの塩気がまたちょうどよい!

ネットで調べてみましたら、この梅月園さんがあるところ・松崎は、桜葉塩漬けの名産地なんだそうです。だからこその「桜葉餅」なわけですねえ。葉脈のところも気にならないやわらかくて上質な葉っぱですよ。なるほど、なるほど。桜の葉っぱが主役な和菓子なんですね。
#それにしても松崎の銘菓?…両親は河津に行ったんじゃなかったのかな、という素朴な疑問はちょっとこの際置いておきますけども。近いんでしょう、きっとw。

それにしても、春がきたー!って思いました~。
季節を感じさせてくれる、…これぞ日本の和菓子って感じですね!

梅月園
http://www.izubaigetsuen.com/

 

 

今回も江戸っ子ワールド炸裂!ついに第二巻発売です! 『おけら長屋(二)』/畠山健二著

昨年夏に刊行、大好評を博した『おけら長屋』、ついに続刊登場!!

私にとって時代小説は長らく「癒しの本」でした。嫌なことがあって泣きたいときに山本周五郎さんを読む。嘘をつかれて人間不信に陥った時に池波正太郎さんを読む。 希望を失って仕事をやめようと思ったときには、司馬遼太郎さんを読む…。まさしく「心のよすが」です。

「そんなに好きなら編集してみれば?」と思われるかもしれませんが、文芸ジャンルのない出版社に勤めていたので、それはほとんど不可能なことだったのです。
ところが、フリーになってから、N編集長にお仕事いただくようになり、思いがけず時代小説のお手伝いもさせていただく機会をいただきました。自分がフリーになって最も幸福なことは、まさにこのことだと思います。 自分にとってそれほど愛してやまないジャンル「時代小説」にかかわらせていただけるようになった…。本当に、夢のような出来事です。

さて、そんなわけで、担当させていただくだけでもうれしいのですが、中でも、ものすごく思いを込めて担当させていただいたのが、今月いよいよ発売されます、畠山健二先生の新刊『おけら長屋(二)』なのです!!

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『おけら長屋』の一巻は昨年7月刊行され、大好評を博しました。
私も、校正だけ関わらせていただきました。そのリズムの良さ、心に迫るセリフの数々に感動し、校正として読まなくてはいかないにもかかわらず、胸があつくなってついつい「読んで」しまったのです。校正者はそういう部分を切り離して確認していかないといけませんけども^^;;、心のほうに響いてしまったんですね。私はすっかりファンになってしまいました。

さて、そんな一ファンな私に、なんと第二作を担当しませんか?とのご依頼が!
実際に畠山先生とお目にかかった時にも、N編集長と先生からそのように言っていただいて、本当に天にも昇るような気持ちでした。

畠山先生は、 もともと落語の新作を手掛けるなど、演芸作家としても活躍されておられる方なので、とにかく洒脱で陽気。そして何より優しい先生です。まさに「江戸っ子」とはこういう方のことを言うんだなあ、と埼玉生まれの私は感心してしまいます。『おけら長屋』は、いうなれば畠山先生の分身、みたいな気がしますね。江戸っ子の粋、洒落、人情が山盛りなんです。

関係者全員が撃沈!泣かずにはいられない最強の一冊。
それにしても、これだけ「読んで」しまう本はなかなかありません。
「私は今、仕事で読んでるんだ、仕事なんだ」
そう自分に言い聞かせないと、読んじゃうんですよね。ついつい先へ先へ、と読み進めてしまうんです。

そして、ルビを振りながら涙が止まらない。何度も読んでるのに、ここでまた私泣いちゃってるよ、と自分でも少々あきれるくらい。ちなみにその「泣き」多発地帯は、三番目に収録されている「まよいご」というお話です。長屋の問題児ともいうべき、万造さんが、迷子を拾ったところから始まるお話。

もうね。たまらないんですよ。万造さんと迷子の勘吉とのやり取りが…。血のつながりがあるわけでもない、であってまだ間もない。それでもこれだけ人は人を思いやれるものか、とおもうのです。……って、この文章書いてまた目頭が熱くなってしまうんですからもうどうしようもありません。

そのほかの作品もすべてぐっとくるんですけど、すごく簡単にご紹介しますと次のようなあらすじです。

1.一作目で湯屋で襲われ妊娠してしまったお梅ちゃんを嫁にもらうと決心したはずの久蔵(21)が元気がないことを見て、おけら長屋連中がおせっかいを焼く「だいやく」。

2.詐欺商法に危うく巻き込まれそうになる隠居を長屋連中が救い、詐欺師たちに意趣返しをする「すていし」。

3.長屋の問題児・万造が迷子を拾って、心を通わせる「まよいご」。むとうの泣き多発地帯。

4.長屋連中に慕われている武士・鉄斎の、元主人である高宗公がお忍びでおけら長屋にやってきて巻き起こる騒動「こくいん」。

5.おしどり夫婦の八五郎とお里の夫婦喧嘩から明らかになる20年越しの切ない思い「あいおい」。

6.市中を騒がしている辻斬りに長屋の佐平が切られ、さらに容疑者として鉄斎がつかまってしまい長屋全体で捜索する「つじぎり」。

読む人によって、また読んだ時の心境によってぐっとくる作品が変わる、というのが畠山先生の作品の特徴かもしれません。

N編集長は、「やっぱり笑いがたくさん入ってる「すていし」が好きだなあ」とおっしゃっておられましたが、本が出来上がる寸前になって「でも「まよいご」もいい。泣ける」とおっしゃられてました。

私もどのお作もそれぞれ大好きですが、やはり第3話の「まよいご」、それから「こくいん」の男の友情もたまらないし、「あいおい」の夫婦の愛情も、「つじぎり」の人情もいい!!どうも私は「泣き」に弱いようで、まよいごだけでなくいろんなところでウルウルきているのですが……

「おれも読み直してみたら涙が出てきちゃったよ。自分で書いたものに泣いちゃうなんておかしいよね。でも百田さんも自分の作品に感動できなかったら読んでくれた人だって感動できへんやろ、それでいいんや、っていうからそれでいいよな(笑)」

畠山先生もそんなふうにおっしゃる。畠山先生は百田尚樹先生の親友でらっしゃって、今回も帯に推薦の言葉をいただいてるんですが、百田先生も「泣いてもうた!」と言ってくださってますので、全方位的に関係者が泣いてしまってるという、おそるべき本、と言えるかと思います(笑)。

そんなわけで、ぜひみなさま。お手に取ってみてください!
そしてぜひ皆様の『おけら長屋』の御贔屓を見つけてください!

(むとう)

 

file.62 ういろうの「クリームあんみつ」

いちにちいちあんこ
関東では第二位の古さを誇る和菓子屋「ういろう」

ついにやった……!

一言でいうと、そんな気持ちです。

先日、イシブカツで箱根にいったおり、乗り換えをした小田原で、どうしても行ってみたいんです!と石造(女)センパイにお願いして立ち寄った「ういろう」さん。別名「小田原ういろう」さん。

実は実は。
この「ういろう」さん、関東において第二位に古い創業年を誇るお菓子店で、かねてから行ってみたいと思っていたお店なのです!!!

「外郎(ういろう)」さんは、もともと中国(元)出身の外交官として活躍していた家柄で、元の滅亡とともに日本に帰化しました。その時、本姓の「陳」ではなく「外郎(ういろう)」と名乗り、それ以降、室町幕府に外交で仕えました。

ちなみにこの外郎家には秘伝の薬があり、それがよく聞くと朝廷で珍重されたんだそうです。そのため、その薬を「ういろう」、また、お客をもてなす時に出したオリジナルのお菓子もあってそのお菓子も「ういろう」と世間の人が呼んだ、そうです。

小田原の「ういろう」さんは、創業1504年。創業者は外郎家五代目、藤右衛門定治(とうえもんさだはる)。北条早雲の招きで小田原に招かれ、武士として京都との外交を担当しました。本業は武士ですけど、薬とお菓子の製法は一子相伝で小田原に伝えられたんだそうです。

全国で見ても、創業古い順では13位(むとう調べ)。ちなみに、関東で最古のお菓子屋さんは塩瀬総本家さん(全国では第7位)。

さらに余談ですが、現在も操業している最古のお店は、京都にあるあぶり餅の名店「一文字屋和助」さんで、創業は1000年(長保二年)。平安時代末期に創業されたお店が今もあるってすごいですよね。

薬店と併設の和菓子店
さて、前置き長くなってしまいましたが、その現在のういろうさんをご紹介してまいりますよ。

ういろう

本店は、もう少し駅から離れたところにあるそうですが、駅前店にお邪魔しました。

すごい!
なんと調剤薬局と併設なんですよ!!

こんなお店初めてみました。

このお店の中に、テイクアウトのお菓子を売るカウンターと、喫茶コーナー、それに薬局が併存してるのです。ちょっと不思議ですが、お店の歴史を考えますと、正しい。創業者からの家業を大切に今も守っておられるということですから、感心してしまいますね。

さて、こちらでは、さっそく「ういろう」を試食させてくださいました。

正直言って、私はあまりういろうは好きじゃないのです。ういろうというと名古屋土産という印象ですよね。たまにお土産でいただいても、「うーん、お餅が食べたい」って気持ちになってしまって、ね。まあ好みだと思いますけど。

しかし、こちらのういろうは違いました!

すごく美味しいんですよ!
目から鱗が落ちる、とはこのことです。なるほど、これはお餅にもないし、お麩にもない美味しさ、つまり「ういろうである」理由がちゃんとあります。

試食でいただいたのは黒砂糖のういろうで、
「こちらの黒砂糖のお味が、創業当時から変わらず作っております味でございます」
と店員さん。店員さんの対応がまた素晴らしい!言葉遣いが美しく、丁寧であったかい。

ううむ。さすが老舗。しかも武家出身のお店らしい質実な上品さです。

さて、それはともかく、喫茶コーナーに移動。
くりーむあんみつ

悩みましたが、ういろうを使ったお菓子はお土産で買うことにして、こちらではクリームあんみつをいただくことにしました。

「お、塩昆布。そして、黒文字…」と石造センパイ。
「あんみつやおしるこに、ちょっと箸休めを添えてくれるお店っていいよね」。そういってにっこり。

そして、この黒文字(菓子楊枝)。あんみつに黒文字って不思議な感じがしますが、ひょっとしたらこのイチゴや何かを食べるためかな、と言い合い、丁寧だなあと感心する二人。
あんみつ

イチゴ以外にも、バナナ、お花の形の羊羹と、たぶんういろうが載ってます。
あんみつ

これ、たぶんういろう。
ぎゅうひ??ういろう??と首を傾げながら食べました。でもたぶん、というかせっかくですからういろうであってほしい…。

あんみつ

そしてあんこ!!
これがまた濃厚で美味しい!

ういろうのお店ですが、このあんこもそうですし、羊羹も、また白あんこ(試食させてもらったのでした^^;)も美味しい。すべてに気配りされている感じです。全体的にとても丁寧で品がありますよ。

そして、ソフトクリームがまたよい!
甘さ控えめで、酷の強いソフトクリームで、抹茶の味もかなり強い!

いやあ、感心しました~!

近くにあったら週一で通います。ほんと、いいお店です!
二人とも大満足。幸せです。

そして帰りには、お土産にお店の方お勧めの「生ういろう」を買いました。明日はこちらもご紹介したいと思います♪

ういろう
http://www.uirou.co.jp/uiro.html