東博にて「みちのくの仏像」展、明日(1/14)から開催!!

東博さんは、今年も必見が目白押しですね!

まず、幕開けはこの「みちのくの仏像」展。
本館の特別五室での開催ですので、平成館でやるよりも小規模ですが、内容はとても濃ゆいですよ!

なんと言っても、「東北三大薬師」そろい踏み、がまずすごい!

国宝・勝常寺さんの薬師三尊、重文・双林寺の薬師さん、同じく黒石寺の薬師三尊、が一堂に会しますよ~!

さらに、鉈彫と言えばこちら、という有名な仏像、天台寺さんの「観音菩薩像」(重文)も!

天台寺さんは、別の意味でもすごく有名ですね。
奈良時代創建とされるまさに名刹なお寺さんなのですが、明治の廃仏毀釈以降様々な災難に遭い、衰退の一途をたどっていたそうなのです。

昭和も半ばを過ぎたころ、作家としても高名で、中尊寺貫主も務めた今東光(こん とうこう)さんが、天台寺復興のため奔走。しかしガンになってしまい、後事をお弟子の瀬戸内寂聴さんに託されました。その後は寂聴さんが住職をされ、説法を行って多くの人を集められました。ドキュメンタリーなどにもなりましたからご存じの方は多いのではないでしょうか。

寂聴さんも、師である今東光さんの導きで中尊寺で得度されてますから、今回中尊寺さんから出品がないのは、すごく寂しい気がしてしまいますが、何か事情ごありなんでしょう。

ちょっと話外れてしまいましたが、規模は大きくありませんが、仏像好きにはたまらない展覧会ですよね!

また、同じく1/14から、お隣の特別四室で「3.11大津波と文化財の再生」も開催されます。こちらも必見です。「3.11オ歩津波と文化財の再生」展は、一般入館料で見ることができるみたいですね。
ちなみに「みちのくの仏像」は1000円ですが、収益は東北の被災文化財の修復に充てられるとのこと。ぜひ、皆さんも足を運んでくださいまし!

「みちのくの仏像」展@東京国立博物館(1/14~4/5)
http://michinoku2015.jp/index.htm/

「3.11大津波と文化財の再生」(1/14~3/15)
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1692&lang=ja

福井県「平成26年度みほとけの里 若狭の秘仏特別公開」がすごい!

20141028

若狭の国こと福井県小浜市周辺は、仏像好きにはたまらないエリアです。
私も大好きで、一人旅で2回、友人と2回、計4回プライベートで訪れています。
#写真は前回たずねたときの羽賀寺さん。なんと8年前の写真でした。

でも、このエリアで特に有名な秘仏で、高浜町にある中山寺さんと馬居寺さんというお寺の馬頭観音さんは、写真で見る限りぜひとも生で拝観したい素晴らしいお像ですが、まだ一度も拝観できていません。

中山寺さんは33年に一度(17年に一度中開帳)、馬居寺さんは25年と午年に開帳と、かなり限られたご開帳のため、相当にハードルの高い秘仏なのです。

それがなんと、この秋、特別開帳しているというではありませんか!!
気が付いたのがちょっと遅いですけど、11月24日まで土日のみではありますが、ご開帳、とあります!これは行きたい!

福井県「平成26年度みほとけの里 若狭の秘仏特別公開」(詳細は以下↓)
http://www.pref.fukui.lg.jp/doc/bunshin/wakasa-hibutsu-26.html

とはいえ、関東から、福井県小浜市のあたりまで行くのは、かなりの気合が必要です。片道約7時間かかりますからね。

今回もどうしようどうしよう…と悩んでおりましたが、やはり、死ぬまでに一度は拝観しないと死んでも死に切れん!
……と思い切って、二泊三日か三泊四日で若狭に行くことを決意しました。

8年ぶりの福井県です。いやあ、楽しみです!!

『仏像のお医者さん』/飯泉太子宗著(PHP文庫)

いつもお世話になっているPHP文庫のN編集長から「仏像の本でたから進呈するよ~」といただいたのが本書。

タイトルと著者のお名前を見て「あれ?これはひょっとして…」と思ってまえがきを拝見したら、…やっぱりそうだ! 『壊れても仏像』という単行本を改題して文庫化したのが本書、とあります。そういうことだったんですね!

わあ、懐かしいな~。
20140610かつて働いていた出版社で、仏教美術ものをがっつりやらせていただいていた時に、『壊れても仏像』が出版されたのです。もちろんいそいそと購入いたしました。
出版社を退職し、引越しをする際に手放してしまったので、思いがけずちょうだいしてとても嬉しい!

仏像を実際に修復されている方が、一般読者に向けて「仏像」について書かれる、というのは当時も今も、とても珍しいことですし、貴重です。

しかも、著者である飯泉さんは、当時まだ34歳とお若くて、その点でもとても珍しいことでした。内容も実はとても真面目なんですが、かなり砕けた表現をとられていて読みやすく、お人柄がしのばれる文章です。

ちなみに、余談ですが。
飯泉さんは独立される前、文化財の修復など行う美術院で長らくお勤めされておられたとプロフィールにあります。

……美術院さんか~。

これは全く私の個人的な思い出なのですが、美術院さんは何度かお写真を借りるなどのお願いで、お電話することがあったのですが、そのたびに応対してくださる方がみなさん丁寧・親切で、こころが洗われるような思いをしたものでした。

仏教美術にかかわらず、文化財掲載関係のお仕事してますと、たらいまわしにされたり、忘れられたり、ごくまれにですが関係のないことでお叱りを受けたり、…と、お電話して切ない気持ちになることもありましたが、美術院さんにお電話した中でそんな気持ちになったことはありません。

「こういう優しい方々が、仏像を修復してるんだな~、それはいいなあ~。正しいなあ~」

と一人頷きながら、悦に入ったものでした。飯泉さんもきっとそんな方なんじゃないかな、と勝手に想像してみたりして。

さて、僭越ですが、本書の特徴を私なりにご報告いたしますと。
やはり何より貴重なのは、仏像の基本的な知識はもちろんですが、仏像の修復がリアルタイムでどのようになされているか、というお話が掲載されていることです。こういったお話はなかなかうかがう機会はありません。
国指定の文化財なんかですと、まだそういうことを伺うチャンスはあるかもしれませんが、文化財になっていないもの、でも集落の皆さんが大切に守ってこられたお像についてなんかのお話は、なかなかうかがえないですよね。そんなお話もご披露されていたりして、とても面白いです。もちろん修理する当事者ならではのお話もこのご本ならではですね。

文庫化されるにあたって『仏像のお医者さん』というタイトルにされたのも、いいですよね!この新しいタイトルのイメージ通り、わかりやすく読めるように配慮された、「仏像そして修復」について書かれた貴重な一冊と思います。
仏像好きな皆さんには、特にお勧めです。もしまだ読んでいらっしゃらない方がいらしたら、ぜひ。文庫になってお手軽になりましたし!