先日お仕事をさせていただいているオーダー家具会社で、「魂のある」木工職人さんを求人していました。
社長さんととお話ししていたら、あ、そういえばとっても有望な伝手があるじゃないの?!と思いだしたのが、「京都伝統工芸大学校」。もう8年前になりますが、本書を担当させていただいたことが、伝統工芸の世界に引き込まれてしまうきっかけになったんです。
本書を作った時のことは、今も、ありありと思い出せます。
当時はまだ大学部はなく専門学校だけだったんですが、京都から30分ほど電車で行ったところ、山間部の広々とした土地に、ドドーンと立派な建物が立ってました。
京都伝統工芸専門学校(通称TASK。当時)は、伝統工芸の技術を教えてくれる学校。
特に、工芸界のサンプルメイカー的立場である京都伝統工芸の技術を教えてしまう、というのだから、大変話題になりました。一子相伝みたいな技術を教えちゃうんですもの。かなり反対もされたらしいです。でも、当時、継承者の問題は各地で深刻化していました。
ものづくりのお仕事は、どうしてもハードなものです。効率を上げるわけにもいかない、手間はかかるけど、原材料代は高い、工賃は決して高くない…。楽なお仕事も多々ある今の世の中、生半可な気持ちでは続けられません。なので、各地でその地方の宝でもあるはずの伝統工芸は継ぐ人がいなくて大変な状況になりつつありました。
とはいえ、やりたい人はいるんです。でも、一子相伝といった感じで受け継がれてきた伝統工芸の世界と、なかなかつながることができないんですね。
そこで、経産省が支援する形で立ち上がったのがこの学校だったんです。
とと、なんだか話が長くなっちゃいますね。ちょっといきさつは端折りまして…
##以前、ほぼ日さんでも寄稿させていただいたことがあるので、ぜひこちらのリンク先をごらんください!(「ほぼ日「編集者は知っている」)
本書では、各専攻の先生と、在校生、また卒業生にお話を聞き、一冊の本にまとめるというものでした。
先生、というのは、第一線で活躍されている伝統工芸士の方。これがまたTASKの素晴らしいところで! 超ど級のプロフェッショナルから、懇切丁寧に最高の技術を教えてもらえちゃうんですもの。これ以上の教育はありません。
この時に出会った、先生方は、本当にすべての先生がめちゃくちゃ魅力的でした。
わたしは単なる取材者でしたが、そんなわずかな時間でも、美を追求する感性、厳しさ、思いやり、優しさ、世界観…様々なことを学ばせていただきました。
久しぶりに、本書を手に取り、著者、柴田さんの文章にも酔いしれました。
柴田さんの文章がまた素晴らしいんです!!
緻密な構成、しっかりとした背景把握でものすごい安定感を感じさせながら、人間っていいなあ、そんな感動が行間からビシバシ放射されています。人間礼賛!
ぜひ、お手に取ってみてくださいませ!