【感謝】ついに165万部突破!そしてあの二人もついに結婚!?『本所おけら長屋(19)』畠山健二著(PHP文芸文庫)

畠山健二先生の書き下ろし時代小説シリーズ『本所おけら長屋』も19冊目を迎えました。

皆様の応援の声をいただいて、巻を重ねるごとに先生に筆もさえわたり、ますます大きいシリーズに成長してまいりました。改めて、おけらファンの皆様に、御礼申し上げます。

そして今回のお話も、そんな皆様の期待に応える傑作ぞろいだと思います!!

天然お嬢様過ぎて笑えるレベルのお静さんが再登場。なんとあの「早呑み込みの半次」と恋に落ちる??…第1話「ほろにが」

裏切られて傷ついた人が、最も大事な友人を同じように裏切ろうとして…第2話「ぜんあく」

意地っ張り浪人と八五郎の意地っ張り勝負から始まる優しい心のつながり…第3話「せんべい」

松吉とお栄がついに結婚!?松吉はお栄が距離を置いている母親に挨拶に行くが……第4話「はりかえ」

発売前に、もう一度拝読しましたけれども、何度も読んで展開も全部知っているはずなのに、泣いちゃいました。先生も、自分で読んで泣いてしまったと言っておられましたが、お気もちはよくわかります。なんだか、冷たい涙ではなくて、あったかい涙なんですよね。よかったなあ、とか、今はまだわからないけど、人間としてこれでよかったんだよな…という涙。

「笑って泣いて」はおけらの真骨頂ですが、今回もそんな世界を存分に味わっていただけると思います。ぜひ、お手に取ってみてください!!

(むとう)

女系の血統に注目すると見えてくる古代史の真相!『女系で読み解く天皇の古代史』関裕二著(PHP新書)

どの時代でも「生きもの」としての人間は、そうそう変わらないと思います。特に喜びや悲しみ、祈りたくなる…といったエモーショナルな部分は変わらないですね。一方、環境に伴って、より生存しやすいパターンに暮らしを合わせていくという点では、変化はつきものです。歴史を振り返る際には、その変化を想像のうちに入れておかないと見誤るでしょう。

今回、関先生が改めて提案されているのは、「女系の血統から古代史を読み解く」という方法です。というのも、古代史の社会と、現在の私達が属する社会とで決定的に違うのが、子育ての主体が「女系家族」にある、という点です。「妻問婚」とも言いますが、男性が女性の実家に通い、子どもができたら、女性の家族が養育します。つまり母の一族に、養育の主体があり、基本的には、父方は口を出せません。

そんな社会であるということを念頭に古代史を見てみたら、これまで、男系の血統ばかりを見すぎてきたのではないか??……ということなのです。帯に、

「古代の天皇は父親よりも、母親の血統で決まった」

とありますが、この視点は非常に重要ですよね。当時の王族は、母方氏族に育てられて大人になり、その後、経済的に支援してくれるのも母方なのですから。その母方がどんな氏族であるかを知ることは、当時の実態を想像するのに必要不可欠なことでしょう。

今回先生が読み解くのは、6世紀から8世紀にかけて。日本史上でも「女帝」が続出した特別な時代です。一般的には、「中継ぎ」として女帝が登場した…と説明されることが多いのですが、果たしてそれだけが理由でしょうか。他に男性王族がいるにもかかわらず女帝が立ったことには、もっと積極的な理由があったのではないか…ということを、関先生が「女系血統」という一つの視点を示しながら、読み解いてくださいます。

またその視点から、そもそも古代には、大王になれる「三つの血統」があったのではないか、とおっしゃいます。その血統は、女系血統から読み解けるのではないか、…と、まさに目から鱗が落ちる「関先生史論」が展開されていますよ!

ぜひ、お手に取ってみてくださいね!

(むとう)

「役行者の足跡を訪ね、葛城修験を歩く文化系登山 |友ヶ島・金剛山・御所市」/YAMAP MAGAZINE

写真をクリックしますと記事にとびます!

「葛城」について、かねてから思いを強く持ってきました。まずシンプルに葛城山系という場所に魅せられているということがあります。そして、歴史を愛する人間として、あの一帯が注目せざるを得ないホットスポットだということもあります。

さらにもう一つのポイントとして、日本仏教の黎明期の揺籃のような場所だということです。最も有名なのは、「役小角」ーー「修験道」が生まれた場所ということではないかと思います。

「修験道」は、外来の宗教…仏教・道教などに、縄文以来の日本独自の精神・信仰が結合して生じている流れだと思いますが、始まりの場所である葛城山系には、その雰囲気が、よく残されていると私は感じているのです。何度訪れても、次々と魅力が見つかってしまって、本当に切りがない場所なのです。

そんな心もちでいたところに、ヤマップのTさんが、「葛城修験の記事を書きませんか?」とお声掛けくださいました。「現地取材もばっちりしてきてください!」と心強いお言葉!私は思わず、喜びの声を上げてしまいました。

Tさんは、私が好きな少々濃ゆい文化系の物事について、理解して面白がってくださる、大変貴重な方です。そんなTさんはじめ、ヤマップのIさん、Yさん、そして写真家の川野恭子さんとチームを組んで、取材させていただきました。

そして今回は、巡礼するだけではなく、実際に葛城山系に関わっておられる方々に教えを乞うことができました。和歌山県立博物館の大河内智之さんには葛城修験の歴史や現況について、菩提寺の前川さんには、葛城信仰の記憶やかつての菩提寺の様子について、大変貴重なお話を聞かせてくださいました。そして尊敬してやまない転法輪寺の葛城光龍師にお目にかかり、改めて「葛城を歩く」--その心のありようについて、ご教示いただきました。改めて、ご厚誼に深く御礼申し上げます。

記事にも書きましたが、5月に再び葛城を訪ねたいと思っています。葛城師にまたお目にかかれますのが、今から楽しみです

そして最後になりますが、ヤマップのTさん、Iさん、Yさん、写真家の川野さん、そして金剛山登山にご一緒くださった和歌山県庁のTさん、改めましてありがとうございました。楽しい時間でした!

(むとう)