戦国の快男児・島左近。「いくさ人」の生きざまを見よ!『左近』/火坂雅志著(PHP文芸文庫)

4/29発売ですので、少々フライング気味ですが、お仕事のご報告をさせてください!

火坂雅志先生と言えば、『天地人』でご存じの方も多いかと思います。
『天地人』は、2009年のNHK大河ドラマの原作になった作品で、義と愛の人・直江兼続を「歴史ファンの人気者」から、「日本中の人気者」へと押し上げた名作です。

その火坂先生が、よもや58歳の若さでお亡くなりになってしまうとは…。
いち歴史小説ファンとして、思わず呆然となりました。

本書は、先生の最後の作品になります。
月間小説誌『文蔵』に2007年10月号から2014年12月号まで『鬼神の如く』というタイトルで連載され、『左近』と改題し、2015年10月に単行本として発売されました。

残念ながら未完ですが、いかにも火坂先生らしいさわやかな「漢」、島左近が鮮やかに生き抜く姿が見事に描き出された、まさに「名作」だと思います。

今回お手伝いさせていただいたのは、文庫化のところだけですが、ずっと担当をしてこられたO編集長、K副編集長とともに、心を込めて最後の作業をさせていただきました。

上下巻、約800ページの大作です。
しかし、先生のなめらかな筆致は読者に負担を与えません。どうなるどうなる!と呼んで行ったら、早くも下巻、そして、ラストへと……。

ご存じの方も多いと思いますが、島左近というひとは、あの戦国・下剋上の時代において、あくまでもあるじに仕えきりました。武将として天才的な能力を持ちながらも、自分が惚れた主人を決して裏切らなかった。最初は筒井順慶、最後は石田三成です。

損得では動かぬ、「いくさ人」。

まさに、それです。
そして、『天地人』の直江兼続もそうですね。私心ではなく、信義のために極限を苛烈に、そして老獪に生き抜きます。
そういう人間と言うのは、本当にかっこいいですよね!
自分がそんな「いくさ人」をかっこいいなあと思うのは、そんな生き方は普通できない、とわかっているからかもしれません。

未完であることは、本当に残念ですが、そんなことも、いくさ人を描いた隆慶一郎先生と重なります。
隆慶一郎先生の未完の作品も、私は何度も何度も読み返しています。未完でも、先生が造形したいくさ人たちに会いたくて、何度も何度も読み返すのですが、本書は、さっそくそんなリピート本の一冊になっています。

ぜひ、お手に取ってみてくださいまし!

最後になりますが、O編集長、K副編集長、今回もお世話になりましてありがとうございました!ぜひまたよろしくお願いいたします!

(むとう)

「あなたはこの世界で、かけがえのない存在」。五木先生渾身のメッセージ集第二弾登場!『無意味な人生など、ひとつもない』/五木寛之著(PHP研究所)

昨年11月に刊行されました『ただ生きていく、それだけで素晴らしい』に続き、第二弾『無意味な人生など、ひとつもない』が刊行されました!!!

もっと、あなた自身を認めてほしい
前作に続き、五木先生のメッセージ集第二弾ということではありますが、あえていうなら、今回は「生きて死ぬということ」、つまり「人生」を特に意識した内容になっていると思います。

少し長くなりますが、「まえがき」から先生の言葉を抜粋してみます。

『これまで、「生きる」ことについてずいぶん多くの本を書いてきましたが、私自身が絶えず迷いや苦しみの中にあり、何かをえらそうに言える立場にはないと思ってきました。しかし、悩める日々を重ね、多くの人の生を垣間見てきた今、これだけははっきりと言えます。それは、「無意味な人生など、一つもない」ということです。

誰かのためだけに生きてきた、孤独に生きてきた、ただ呆然と生きてきた。そのいずれの生き方も……どんな生き方をしようとも、それでいいのです。(中略)
そしてもし無名のまま人生を送ったとしても、この世の中に生まれてきて、そして五十年生きた、七十年生きた、いや、わずかに一年生きたとしても、その「生きた」というだけで、人間として大変大きな意味のある仕事をしているのではないか、と思います。』

先生は、前作でも何度もおっしゃっておられたんですが、読者の皆さんに『もっとあなた自身を認めてほしいとお伝えしたい』、そんな思いが強くおありです。

それは「無条件でいい」のです。

しかし、もしそう思えたとしても、また迷ってしまったり、悩み苦しんでしまうことが分かる。だからこそ、そう考えるのは一人ではない、私もそうなんです、そう伝えたい……。ご自分も「弱き者」「悩める者」の一人として、本書の言葉の何かが、皆さんに寄り添えたらいい、そんなことをおっしゃっておられました。

変化し続ける。それが生きるということ
五木先生は、今年で85歳になられます。そして、先月からなんと週刊誌で小説の新連載を『週間現代』さん誌上にてスタートされました。
エッセイなどでは多数連載を持たれてますが、小説を、しかも週刊誌でスタートされるなんて……!!!本当に心の底から衝撃が走りました。

それも、あの名作『青春の門』の続編です。

ただでさえお忙しいのに、週刊誌で新作小説の連載。
もう「超人」としか言いようがありません。

年が明けてからお目にかかったのですが、さすがの先生もお疲れではないかと思っておりましたら、さにあらず。むしろびっくりするほどお肌ピカピカ、桃色の頬にはじけるような微笑み。

思わず先生のお顔をじっと見つめて、「先生、お顔色がいつもに増してすばらしいですね!ピカピカ!」と叫んでしまいました。

そんな私の無礼を先生は照れくさそうにいなし、「いやいや、どうにか、ね」と言って微笑まれましたが、いや、もうなんていうんでしょう。気力の充実が全身から放射されておられるように思いました。

改めて、先生への憧れの思いを強く感じてしまいました。絶えず何かにチャレンジしていくそのお姿、かっこよすぎます!
レベルが違い過ぎておこがましいですが、私もそんな風に生きていきたい!そう思いました。

「変化しつづけなさい。それが生きるということだよ」

先生の言葉が、胸に刺さります。

何ごとも遅いということはない。その時、「今」こそが人生という舞台のさなか。
その主役は、私自身しかいないのです。そのことを胸に刻まなければ、…ですね。

また、おかげさまで、前作『ただ生きていく、それだけで素晴らしい』も、四刷を数えました。そして、嬉しいことに、3月よりセブンイレブンさんでも販売されることが決定!お近くのセブンイレブンさんで見かけたら、ぜひ、お手に取ってみてくださいね!

最後になりますが、シリーズの最初の土台を築いてくださったN元編集長様、一緒に走り続けてくださっているN副編集長様。今回も本当にありがとうございました!
第三弾も頑張りましょう~~!!
(むとう)

ついに累計36万部突破。大人気シリーズ第8弾登場!万造・お満の関係に、いよいよ変化あらわる…??『本所おけら長屋(八)』/畠山健二著

畠山先生渾身の書下ろしシリーズ、『本所おけら長屋』の第八巻が、いよいよ明日より発売になります~!!

#少々フライングしてしまいますが、ご報告させてください!

今回も畠山先生の筆はノリノリですよ~!

病身の父の敵討ちを助けるために、剣を教えてくれと鉄斎さんに頼む少女が登場する第一話「すけっと」。
万造と松吉行きつけの居酒屋の看板娘、お栄ちゃんにふいに起こる玉の輿に松吉は…?第二話「うらしま」。
恵まれた体格を持ちながらも、全く勝てない力士・大巌(おおいわお)が大関に勝つために、万松が一世一代の賭けにでる第四話「ふところ」。
鉄斎の旧主・津軽高宗の小姓をつとめる胃弱の真之介が巻き込まれる立てこもり事件。真之介は大人になれるのか??…第四話「さしこみ」。
頑固もので余命短い武士と愛犬の絆。そして一度は縁を切った娘との絆をどうにか繫ぎ合わせたいと奔走するお満と、それを助ける万造の絆を描いた「こしまき」。

どのお話もご期待通り、おけら長屋の面々がお節介たっぷり優しさたっぷりに大活躍。今回もまた何とも堪らない一冊になっておりますよ!!

さて、そんな中で、(私が個人的に;)「おお?!」と思ってしまうの、おけら長屋ファミリーの恋模様です。
万造とお満ちゃんの関係は、読者の皆様もなんとなく……ひょっとして?と思ってらっしゃる方も多いんじゃないかと思います。今回のことで、二人はかなり接近しておりますよ!(あ、言っちゃった!)
そして、意外なところから、また新しい恋模様?が出現してきました。こ、これは見逃せません。

そして余計なお話ですが、一読者として今回特にぐっときたのは、第四話の「さしこみ」です。あまり書きすぎますとネタばらしになってしまうと思いますのでちょっとだけ。
いやあ、ほんと。情けない男(いわゆるだめんず)としっかりものの女房、そして健気で将来が楽しみな6歳の女の子お花ちゃんがね、…ものすごくいいんです。何度読んでも泣いてしまいました。
情けない男・銀平は多分今後もダメなやつなんだろうと思います。でも、それを分かっているだろうに許してあげる女房と、行きがかりの6歳児の女の子…。
畠山先生が描かれる女性は、老いも若きも本当にみんな強くてかっこいいんですよね。「男は可愛げ、女は心意気」。そんな気がします。

さて、そんなこんなで、みなさま。
今回もご期待通り、泣いて笑っての素晴らしいお作になっていると思います。
ぜひお手に取ってみてくださいまし~!

それから間近ですが、2/23(18時半より)に、東京の八重洲ブックセンター本店さんにて、発売記念イベントが開催されます!
ぜひ、遊びに来てくださいね~!

2017年2月23日18時半より
「おけら祭り&サイン会」@八重洲ブックセンター本店

http://www.yaesu-book.co.jp/events/talk/11241/

(むとう)