東京新聞ニュース『石仏5体の首折られる』!!!

信じられないニュースです!

埼玉県吉見町岩室観音にある石仏5体の首を何者かが折ったというのです。

『観音堂の石仏八十八体のうち、高さ約六十センチの五体が倒されて首の部分で折られていた。石仏の頭部は観音堂の周囲に投げ捨てられるなどしていた。観音堂手前の階段には折り鶴用の色紙が散乱し、記帳用の机の上に「おれの時代だ」などと書かれた色紙と石仏の頭部が置かれていた。』(東京新聞記事より引用)

石仏の頭部は観音堂の周囲に投げ捨てられ…って、えええええ!??
あらゆる意味で信じられません。そんなことする意味がどこにあるんでしょうか!!?

実は私にとってこの観音堂は子供のころからなじみの深い場所。よく遊びに行っていた場所です。小さな岩室の中にたくさんの石仏がいらっしゃるところで、普段は管理の方はいらっしゃらないながら、きれいにされていて気持ちのいいお堂があり、その周辺が岩の崖になっています。
お寺さんはもちろん周囲の皆さんが大切に守ってきたお像を、こんなに心無いことができるなんて、いったいどういうことなんでしょうか。

なんだかもう、腹が立ってしょうがありません。

詳しくはこちら↓
http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20131009/CK2013100902000146.html?ref=rank

 

 

新プロジェクト「神仏探偵」、準備スタート!

 

よく日本には、『八百万(やおよろず)の神々』がいらっしゃるといいます。

日本人は、伝統的に木や岩、海、山…、すべてに神が宿っていると考えてきました。また、そういった日本古来の神さまと、外来の宗教(仏教など)の神仏が合体したりまた分身になったりして、習合しながらいろんな形でいらっしゃると考えます。

日本の文化は外来の文化を喜んで受け入れるというのが特徴かもしれません。新しく入ってきた神を受容し、一方でもともといた神も否定せずに形を変えて残し…、その「なんでもあり」が日本なんですよね。

私は個人的に、こういう多様性は大好きなんですけど、多様であるということは、一方でとても複雑な状況を生むことも意味します。ものすごく有名なのに、実はその正体がよくわからなくなっている神さまや、信仰がけっこうあるんですよね。

そんな「よくわからない」を、楽しみながら解き明かしちゃおうと、コラボプロジェクトを始動させるべく準備を始めました。その名も……

「神仏探偵」

プロジェクトです!

神仏の著作を多数執筆、編集されている本田さんと、本サイト代表のわたくしことむとうが始めるコラボ企画。手探りながらもワクワク、ドキドキです。
本田さんは、本カテゴリ記事で大プッシュさせていただいた『へんな仏像』の著者でらっしゃって、その記事をきっかけにお声掛けいただきました。ありがたいお話です、ほんと!

とはいえ、まだまだ準備段階。どんな風にコンセプトを固めていくかをつかむために、プレ取材をスタートしました。まだ皆さんにご報告する段ではないかもしれませんが、嬉しいので先走ってご報告です。

そんなわけで昨日は、記念すべき第一回プレ取材!東京都北区王子にいってきましたよ!

本田さんのご提案+ご案内で、有名な「王子稲荷社」「王子神社」を中心に、「お稲荷さん」についていろいろ取材しました。東京って、本当に奥深いですよね。王子ってサラリーマン時代に仕事で通っていた場所なんですけど、こんなに知らないことがあったなんてって感じです。
稲荷社(写真:装束稲荷)

とはいえ、謎は深まるばかりだったのですが、「わからないって面白い」主義なむとうとしては、大満足の一日でした。それにしてもお稲荷さんって、本当に謎な神仏ですわ…。

お稲荷さんと言ったら、狐を連想する方は多いと思いますが、お稲荷さんの本体がイコール狐、というわけでもないのです。キツネは本来、お稲荷さんのお使いとも乗り物とも言われます。
お狐さん(写真:王子稲荷社のお狐さん。「眉毛」があるとなんかおっさんぽい空気に)

 

……あれ??

じゃあ、お稲荷さんって神さまがいるの?それとも仏教の神さま??

それがですね。神さまでもあるし、仏教の神さまでもあるんです。
とにかく、お稲荷さんって複雑!ナゾの存在なのです!

こんなにも身近なのに、その正体がよくわからないっていうのは、よく考えてみたらおかしなことです。いったいどういうことなんでしょうか。

「神仏探偵」では、そんなナゾを探ってみたいと思っています。もちろん、尋ね歩く行程や、関係者の方、研究者の方にお話を聞く、そのこと自体を、皆さんと一緒に楽しめたらいいな、と思っております。

また詳細決まりましたら、ご報告させてくださいね。

寺社好きのみなさん、絶対手に入れたほうがいいです!!なガイドブック登場。

 

尊敬する大先輩・Wさんが、すごい本を上梓されました。
祈りの回廊をゆくこちらです!!『奈良大和路 祈りの回廊を歩く~奈良町・高畑界隈~』。

帯はこれまた尊敬してやまない、奈良博の西山厚先生が寄せていらっしゃいます。

本書の特徴は、先生の言葉に凝縮されています。
「小さなお寺や神社に向けられた温かいまなざし。こんな本がほしかった。ずっと待っていた。奈良がもっともっと好きになる本です」

奈良町・高畑のあたりといえば、奈良にいったらまず歩くところだと思いますが、本書を読むと、いかに自分がものを分かっていなかったということがわかります。

拝読しながら、こんなところに、こんなすごい歴史の神社があったんだ!お祭りもあるんだ!え、こんなきれいな仏像があったの??…と付箋たてまくりですよ。関東在住の割には結構知ってるほうだと思いますが、まだまだ浅かったああ、という心地よい敗北感が…。
祈りの回廊(P6-7より引用)

そしてこのページをご覧ください。

本編の一番最初の見開き、最も大きな写真は、元興寺(たぶん本堂)の屋根ですよ!!
く~~っさっすが~~Wさん~~~!
確かにこのシリーズの最初を飾るにふさわしい写真です。元興寺、そして「行基葺き」。

元興寺は、ちょっと特別なお寺ですよね。元興寺はもともと現在の飛鳥寺だったお寺です。えっと、そういうとちょっとわかりにくいですよね。

蘇我馬子によって、日本最古の本格的な仏教寺院として建立された「法興寺」というお寺が飛鳥にあったのですが、平城京へ遷都する際に、一緒に引っ越して、名前を元興寺と改めたんですね。
(それで、うつされたものの、法興寺自体も残りまして、これは現在〔飛鳥寺〕と呼ばれてるわけなんですね)。

つまり、仏教興隆の第一歩ともいえるお寺さんなわけで、このお寺がまず最初に来るのはとても納得しますし、そしてその屋根が大きく出ているのもとても納得してしまうのです。というのも、この本堂(国宝)自体は鎌倉時代のものですが、屋根の瓦は、飛鳥時代の瓦でもって、一部葺いてるんです。そんな古い瓦が現役なんて、すごいですよね!
まさに、トップを飾るにふさわしい写真です。はああ、さすがだなあ。
祈りの回廊(P18-19より引用)

また、本書の特徴は、お寺さんだけでなく神社も取り上げているところ。一見小さくみえる神社でもこんなにすごい特徴、歴史、物語が詰まってるなんて、と改めて驚かされます。

そして、通常のガイドブックではまずスルーされてしまうであろう石造物もきっちりフォローしてくれてますよ!石部の魂も騒ぎます。付箋付箋、と……。

これだけ、しっかりとした情報が満載なのに、文章量も適度で、そんなに重たいという感じもないのがまた…。ガイドブックとしてとても使いやすそうですよ。もちろん地図もわかりやすいし。

「奈良では『ありがたいものはみんなありがたい』という素直な祈りの心が数えきれないほどの人々によって伝えられ、守られてきた。今改めて、奈良は町全体が『祈りの回廊』なのだと称えたい」(前ソデより引用)

なるほど。

そうなのです。これだけの多くの寺社を、奈良の人たちは伝え、守ってきたのです。それは簡単なことじゃありません。戦渦にあっても、途絶の危機にあっても、その時の誰かが踏ん張って伝えようとした。その結果が、この豊かな「祈りの回廊」なのですね!!

……Wさん、西山先生、これが「愛」ってやつですね!?

すみません、ちょっと興奮しすぎですね。いやでもそれくらい感動してしまったんです。

とりあえず、今度このガイドブックをもって、奈良町と高畑を歩きます。間違いなく私はもう一歩前へ進める気がするのです。

皆さんも、ぜひお手に取ってみてくださいね!!