さて、一月中二冊目の刊行のご報告です!
今回も、中面の編集を担当させていただきました。実は、時代小説書下ろしを担当させていただくの初めてだったのですが、ふってくださったN編集長様の心強い励ましと、藤村先生のやさしいお気づかいにより、どうにかこうにか進行させることができました。ありがとうございました!
さて。今回の物語の胆は何といっても『帳合屋(ちょうあいや)』というお仕事。実はこれ、藤村先生の創作とのことなのですが、創作とは思えないほど、江戸の商取引の世界にしっくりと展開しております。
帳合屋は、「A社がB社と、新しく取引をしたい、と考えたときに、間に入って取引できるように取り持つ」というお仕事。なんだか、現在でもこういうお仕事ってありますよね。
本書では、帳合屋のお仕事や人間模様を通して、江戸時代のいろんな商取引の世界を見ることができます。表題作『将軍の切り花』では、江戸時代の「花」と「米」業界の話。また、二作目では、「酒」業界、三作目では「砂糖」業界が舞台になっているんですが、へえええ!そうだったんだ!?と思うことばかりです。こういう角度の時代小説はなかなかないんじゃないでしょうか。
とはいえ、物語巧者の新鋭・藤村先生は、恋物語などの人間模様にも抜かりはありません。
つまり、経済小説がお好きな方にも、時代小説の世話物がお好きな方にも、きっとお喜びいただけるストーリーになっております。
シリーズ一作目ということで、様々な伏線がお披露目されたという感じの今回の一冊。ぜひ皆さんもお手に取ってみてくださいまし!(むとう)