歴史上の人物、勝手にベスト10「時代を作った&変えた!ベスト10」

前回、いくつかの一般的なランキングをご紹介しましたが、今回はムトウの勝手にランキング編でございます!

いや~、しかし自分で言っておいてなんですけど、これって、難しーですよ!
1500年くらいの間で、ランキングなんてムリムリ!
特に順位をつけるってのが、難しい。

なので、「好きな」で順位はつけられないので、ある程度カテゴライズして、なおかつ「最強の10人」としてベスト10でお送りしていきたいと思います。

まずは、「時代を作った&変えた人物ベスト10」でまいりましょう!
#順位はつけられませんでした~^^;

時代を作った&変えた!ベスト10
雄略(ゆうりゃく)天皇
天智(てんじ)天皇
藤原不比等(ふじわらのふひと)
平清盛(たいらのきよもり)
源頼朝(みなもとのよりとも)
織田信長(おだのぶなが)
豊臣秀吉(とよとみひでよし)
徳川家康(とくがわいえやす)
明治(めいじ)天皇
昭和(しょうわ)天皇

こんなかんじかな~~~。好き嫌いとかではなく、「時代を変えた」ターニングポイントを作った人たちって感じで考えてみました。
ちょっと補足でご説明しますと。

雄略天皇は、400年代後半ごろ活躍した古代の天皇(第21代)です。一般的な日本史では、あまり触らずにスルーしてしまう存在かもしれませんが、5世紀以降のヤマト政権の拡大を決定づけさせた人物で、伝説めいた逸話を読んだりしてると、この人たぶんすごかったな、と思わずにはいられない人です。

天智天皇(第38代)は言わずもがな、乙巳の変で蘇我入鹿を斬殺、当時、最大の権力を誇った蘇我家を滅亡させ、天皇による統治をおこなおうと数々の改革を行いました(大化の改新)。

藤原不比等は、大化の改新を天智帝とともに行った中臣(藤原)鎌足の息子。一説には天智帝の息子とも言いますが、大化の改新後の改革をバシバシ推し進め、律令国家としての日本を作り上げていきました。そして、その後1300年にわたって、天皇家の姻戚として繁栄した「藤原氏」の礎を築いた人でもあります。

平清盛、源頼朝は皆さんよくご存じと思いますが、この二人がいたことで、武士の時代に変革していったなあ、と思うので(清盛が調え、頼朝が切り替えたってかんじ)。

織田信長・豊臣秀吉・徳川家康も言うまでもありませんね。下剋上の戦乱の世、その後270年もの間泰平を保った江戸時代はこの3人が作り上げたといっても過言ではないでしょう。

そして、明治天皇と昭和天皇。
このお二人は、自分自身が動いたわけじゃないじゃん、と指摘される方もいるかと思いますけど、やっぱりすごい人たちだと思います。日本が欧米の帝国主義政策下に屈せずに済んだのは、この方たちを核とした動きあってこそでしたし、昭和天皇はおそらく日本史上最も過酷な選択・立場を迫られた天皇だったのではないかと…。
一歩引いて、歴史の流れから昭和天皇をみてみたとき、この方のボリューム感はただごとじゃないな、と思うんですよね。

ここに挙げた人物を見ますと、すべての人たちはが、「いい人」とは言いがたいかもしれません。人物像としては、時に残酷ですし、多くの人たちを殺しもしています。

ですが、この人物がいたことで、時代は動き、新しい世の中が到来した…、という感じなのですね。そういう意味で、好き嫌い・善悪を超えて…なベスト10でした。

さて、次回はもうちょっとパーソナルなベスト10。
「尊敬せずにはいられないベスト10」 「かっこいい武将ベスト10」をご紹介していきたいと思います。
(つづく)

歴史上の人物、だれが好きですか?

歴史好きのマストクエスチョン
ちょっと歴史が好きだ、ということがわかると、ついつい始めてしまう「歴史上の人物、誰が好きですか?」質問。
歴史上のどんな人物に惹かれてるのか、というのを聞くとその方が大切にしているものや好みがよくわかるので、結構この質問は盛り上がりますよね(好きな人同士ならw)。
以前、P社のN編集長ともそんなお話になり、めちゃくちゃ盛り上がりました。移動中で時間もあったので、古代から現代にいたるまで、時代ごとにだれが好きか、を言い合ってですね。約5時間フルに堪能しました。何時間でも話は尽きない、鉄板ネタですね。

歴史人物ランキングを見てみましょうか
さて、では、日本人全体ではどうなんでしょうか。めっちゃ気になる!誰が一番人気があるか!

…さて、この歴史上人物人気ランキングですが、結構いろんなところで集計されています。いうまでもありませんが、どんな人にアンケートとるかでも変わりますし、その時の世相を反映して変わっていきます。大河ドラマで坂本龍馬の放送がされれば、やっぱり一位は龍馬になる、ってかんじ、で。

さて、現在手に入るもっとも一般的なランキングからご紹介していきます。NHK放送文化研究所が2008年に行った「好きな歴史上の人物」ランキングベスト10!

1位 織田信長
2位 徳川家康
3位 坂本龍馬
4位 豊臣秀吉
5位 聖徳太子
6位 武田信玄
7位 源義経
8位 西郷隆盛
9位 福沢諭吉
10位 野口英世

2008年ですからもう5年も前なので、だいぶ変わってるかもしれませんけど、へええ~なるほど~って感じのラインナップです。織田信長、やっぱし強いですなあ。

もうちょっと最近のはないかしらあ、と思って探してみたら、変化球ですがこんなのもありました!「お墓詣りをしてみたい日本の歴史上の人物ランキング」(gooランキング)!

1位 聖徳太子
2位 坂本龍馬
3位 織田信長
4位 徳川家康
5位 徳川光圀
6位 豊臣秀吉
7位 紫式部
8位 真田幸村
9位 土方歳三
10位 宮本武蔵

おお、聖徳太子がトップ!「お墓詣り」と聖徳太子は、なんとなく相性がよろしおすな。仏教ゆかりのお方だからでしょうか。
そして2位に龍馬、3位にやっぱり織田信長。変わったところですと、7位の紫式部や5位の徳川光圀でしょうか。水戸光圀、真田幸村、土方歳三、宮本武蔵などの面々は、物語世界でよく描かれますから、そういうファンも多いんでしょうね。

女子高生が好きな歴史上人物!
さて、こんなランキングも発見しましたよ。「女子高生が好きな歴史上の人物ランキング」です。

1位 織田信長
2位 卑弥呼
3位 坂本龍馬
4位 聖徳太子
5位 徳川家康
6位 豊臣秀吉
7位 篤姫
8位 西郷隆盛
9位 伊能忠敬
10位 伊達政宗

どひゃ~!信長、強すぎ!
そして、なんと2位には、古代の女王・卑弥呼さんがランクイン!そっか~、卑弥呼さんそんなに好きかあw。
そして、7位の篤姫は多分大河の影響でしょうけれども、渋いのが9位の伊能忠敬(いのうただたか)! 伊能忠敬は素晴らしい人物ですけど、この中で、唯一の町民階級の人で、リタイヤ後から測量の世界に入った努力と信念の人ですから、正直地味です。そんな人がトップ10に入ってくるなんて、なんかうれしいですね。

ちなみに、こちらには女子中学生のランキングも出てましたが、高校生のものとほとんど変わらず。なぜか7位にフランシスコ・ザビエルが入ってきてるくらいかな。

それから、もう一つ。バンダイが2010年、小学生対象に行ったアンケート「お子様の好きな歴史的人物は誰ですか」では、1位はダントツ坂本龍馬、2位織田信長、3位徳川家康、4位伊達政宗、5位野口英世…でした。小学生だなーと思うのは、10位以内にエジソン、ナイチンゲール、が入ってきてることかな。そういう偉人伝読みますものね。そういう影響は大きいですね。

織田信長、ツヨシ!
こうしてみますと、結構年齢にかかわらず、ランクインしてくる人物名は共通していますね。
そして、改めて驚きましたが、織田信長って、やっぱり人気あるんですね!!その年齢域にも必ずトップ3内。ダントツ人気です!
な、なぜだ…^^;。

というのも、織田信長ってすごい人だとは思いますけど、結構問題もたくさん持ってる人物です。「偉人」の一人だとは思いますけど、「好き」ってなると、なんかちょっとあれだなあ、と私なんかは思ってしまいます。だって織田信長が上司だったらいやだし、父親でも、恋人でも、ましてや旦那だったらもっといやです。すごい人かもしれませんが、私的には、そばにはいたくない人物ナンバー1だなあ。あまりに繊細で瞬発的で、そばにいたら耐えられないと思う。

そうそう、そうなんですよ。私の場合、いいな、と思うポイントはやっぱり人格的な部分ですね。この人、人としてできてるなあ~とかそういうところが気になるタイプです。

みなさんは、どうでしょうか?
さて、次回は、そんな私が好きな人物ベストテンを勝手に発表したいと思います。ひゃ~、難しいわあ(…と言いながら頬は緩む…)。

(続く)

 

 

『この国は物語にあふれている』お伽草子展

お伽草子展に行ってきました
 ひと月ほど前のこと。「私の智恵蔵」こと歴史専門出版社Y社のできる編集者Iさんから嬉しいお誘い。 「むとうさん、物語って興味ありましたっけ?」 はいはい、詳しくないけど、もちろんお供しますよ。サントリー美術館のお伽草子展ですね!私もすごく気になっていたのです。

美しい図録!さすがサントリー美術館。

お伽草子というと、ちょっとピンと来ないかもしれませんが、子どもの頃、絵本で『浦島太郎』『ものぐさ太郎』とか『一寸法師』とか読みませんでした?あれです!あの物語たちはもともとこの「お伽草子」というジャンルのものなんですね。

お伽草子は、室町時代から江戸時代にかけて作られた、短編の物語のこと。テーマはもののけが出てくる奇抜なものだったり、庶民が出世する成功譚だったりして、多種多様です。基本的に、庶民が楽しめるようなユーモラスな物語って感じです。

一番の特徴は、そのほとんどに絵が添えられてること。図録で解説を書かれている徳田和夫さんは、擬音をたくさん入れたり、声色を変えながら声に出して読み上げてみてほしい、と言っておられます。なるほど、そんな事をしたくなるような雰囲気なんですよね。

物語は変容していく
それにしてもすごい展覧会でした。詳しくない私でもわかるような物語の絵巻や絵本がずらりと並んでいます。 まずは「お伽草子の源流へ」からスタート。『浦島太郎』の元ネタになった『浦嶋明神縁起絵巻』(重文)@浦嶋神社(京都)がどどんと登場。

おお~、これが浦島太郎の元ネタか、と思ってみてみると、あれ??なんか物語が微妙に違いますよ。浦嶋子(浦島太郎)が、海に船釣りに行って、亀を釣り上げてます。ん?確かここは、太郎ちゃんが砂浜で子供たちにいじめられてる亀を助けてあげるんじゃなかったっけ?

しかも、その釣り上げた亀が、美女に変身してますよ!そしてその美女をおうちまで送ってあげたらそこが蓬莱(常世)だった、となってます。ほおお~。これ、私が絵本で読んだときは確か、亀が恩返しに海の底にある竜宮城へ連れて行って、主人の乙姫様に歓待される…って話だったような…。解説によると、お伽草子では私の馴染んでいるストーリーに変容していったみたい。

身も蓋もないストーリー
ほかにもいろんなお話がたくさんありました。まったく知らなかったのですが『福富草紙』という物語がキョーレツでした。福富草紙のメインファクターはなんと『おなら』です。こんなお話です。

「むかしむかし。ある貧しい老夫婦がいました。鉄鈴を神様から賜る不思議な夢を見て、夢解きをしてもらうと『体から妙音が出て、幸いを得るお告げ』だとわれます。夫はお告げ通り、体から出る音=おならを出す芸を体得。それが評判になって大金持ちになりました。
隣に住んでいた老夫婦(ちょっと悪そう)は、それを羨み、夫を弟子入れさせます。『おならを出すには朝顔の実を飲むのが秘伝だよ』といわれ、さっそく服用。偉い人のところにその芸を披露に行きました。ところが、それは秘伝でも何でもなく、下剤だったのです。おならを出そうとしたら、下痢を撒き散らしてしまい…」

おいおいおーい!!なんてお話なんでしょうか(笑)。汚すぎる。っていうかおなら芸でお金持ちに、って。そもそもそこから無理があるような気がするんですけど。
Iさんのお話では、かなり有名なお話らしいんです。中世ではこういう下ネタのお話も多いんだそうです。特におならとか下痢とか、そういうの好きだったみたい。なんか小学生男子みたいw。

ばけもの(妖怪)がかわいすぎる
そんな初めて知るお話もたくさんありましたが、私が大好きなのは『もののけ』系の絵巻。有名な『百鬼夜行絵巻(ひゃっきやぎょうえまき)』(重文)も展示されてました!

図録カバーに登場している『百鬼夜行絵巻』のばけものたち。

百鬼夜行絵巻は、60以上の作例があるそうなんですが、今回展示されていた『真珠庵本』は最古の例だそうです。

昔から、「古い道具は年を経ると魂を持って変化(へんげ)する」と考えられてまして、「付喪神(つくもがみ)」とか「ばけもの」とかよびます。
「百鬼夜行」は、そんなばけものたちが夜に行列するというお話。お話といっても、絵があるだけで物語はないみたいです。何のために行列するとか、そういうのはないんですね。ただ変化して行列するという不思議さ。
うーん。なんだろう。ちょっと怖い、のかな。本来動かないものが動くってことが。 でもこの絵に出てるような化け物だったら全然こわくないぞ!むしろかわいい!

それにしても、日本人の創造力+デフォルメ力って素晴らしいですね。水木しげるさんをはじめとする漫画家の皆さんの世界にこの系譜は見事に息づいてますね。

こうして絵巻や絵草紙を見ていくと、今の文化につながってくものをひしひしと感じます。正直言って、添え書きの文章は、達筆すぎて判読できませんが^^;、絵を見るだけで十分伝わってきます。

「こうしてよく見ていくと、どういう服を着ていたかとかそういうことはもちろん、ああ、当時の人はこんな風にお風呂に入ってたんだ、部屋の中はどうなっていたのかとか、そういうこともわかるんですよ」 とIさんが言っておられました。なるほど、ストーリーだけでなく、そういう部分がまた面白いんですね。

絵巻物などは、これまで難しそうで、敬遠していましたが、もっと気楽に見ていきたいな、と思いました。よく考えてみたら、当時の庶民の人が楽しめるように絵師が工夫して書いてるんですから、私にもわかるはず!ですよね♪

サントリー美術館
http://www.suntory.co.jp/sma/
*『お伽草子』展は、11月4日で終了しました。