「木」ともう一度出会いたい⑤「美しい」は「正しい」

WOODBANKの美しさ
さて、カットされた木材を乾燥させ、保存するためのWOODBANKですが、何ともいえず美しいのです。
もちろん素材ですから、これから其々の職人さんの手によって、家具になったり、器になったりしてさらに美しくなるんですけど、このままでも十分美しい!
板材棚整然と並んでいる感じが、何ともたまらないです。乾燥に必要な隙間を設け、管理しやすいように並べていくと、おのずと規則正しく整っていくわけですね。
でも型を作って、同じようなものを大量生産したわけじゃないですから、厚さはともかく木目や幅などは、それぞれ違います。
板材棚とハタさん
何やら荘厳なものすら感じてしまいます。きれいだなあ……。
aidsu21木目も違いますし、色も違います。

このように、材料の段階から見たことがなかったので、やたら感動してしまいました。
ラボラトリーさんの家具は、こういうものから作られてるんですね。そりゃ、きれいなはずだ…

たくさんの人の手があってようやく「家具」になる
私たちは通常、完成形の「家具」しか見てないから、なかなかわからないですけど、手元に来るまでにさまざまな職人さんの手を経てるんだ、ということが、実感としてわかりました。
木材をきり、運び出す人。木材を見極めて木材にし、管理する人。デザインして家具に仕立て上げる人…。
ざっと大きく見ても、これだけの人たちの丁寧な仕事を経て手元に届いてるんですね。当然と言えば当然なんですけど、改めて感心してしまいました。

そしてその合間合間でも、こうして美しいっていうのは、なんだかとても「正しい」ことですよ!

かつて、ある作家の先生が「美しさというのは、圧倒的なパワーだよ」とおっしゃってましたが、そのことを思い出しました。
そういう意味で、このWOODBANKは、ものすごくパワフル。もし私がスピリチュアル系の人なら、「パワースポットですよ!」とか言っちゃいそうな勢いです。

(続く)

「木」ともう一度出会いたい④~木を料理する、ということ~

「木を料理する」ということ
ラボラトリーのシャチョー、えーいちさんは、家具を作ることを説明するときに、よく「木を料理する」という表現をします。
料理上手な彼らしい表現だなあ、と感心してましたが、今回実際に木を切って木材にしていく過程を見せてもらって、ああ、なるほど…と妙に腑に落ちてしまいました。

丸太を板にして、その板をWOODBANKで乾燥させるそうなんですが…
えーいちさんと工場長が、板の取り方(使い道によってどうカットするか変わるみたい)など打ち合わせをした後、大きな板鋸(いたのこ)みたいな機械でカットしていきます。

超ハイスペックな糸鋸みたいな機械。すごい!

超ハイスペックな糸鋸みたいな機械。すごい!

工場長は、淡々と、さらりと木材を美しくスライスしていきます。
木の硬さや節の入り方はそれぞれ違います。難しいことは全くわかりませんが、そういった特性をうまく均しながら木材にしていく、ということはおそらくとても難しいんだろうなあ、と思いました。
まさに、職人のお仕事ですよね。

この長いものんが鋸部分。お手入れがとても大切なんだそうです。

この長いものが鋸部分。お手入れがとても大切なんだそうです。

カットされた板には木の削り粉が付いています。
木の粉ふわっと木のいい香りが立ち上ります。

「…美味しそうだな」

その時、ふとそんな風に思ってしまいました。
別におなかがすいてたわけじゃないですよ。でも、健康で新鮮な植物の香りというか…。そんな香りを嗅いで、食欲を感じた自分を感じたら、ああ、木だって植物なんだもんなあ、となんだかすとんと腑に落ちたような気がしてしまったんです。
木の粉木の粉はしっとりとしています。木は、刈られて丸太になってなお、こんなにも水分を持っているんですね。生き物なんですよね。ますます美味しそう。

そう思ったら、えーいちさんの「木を料理する」と言っていた言葉が、より理解できたような気がしてきました。
こんなに美味しそうな木材を使って、家具を使う人たちのために心をこめて家具を作る。ああ、それは料理だわ。そんな家具はきっと綺麗で健康な家具になりますよね。そうだよなあ。

そして、再びWOODBANKへ
こうしてカットされた木材は、WOODBANKで保管し、乾燥されます。
何ですか、この乾燥って、イカで言えば干しイカ。シイタケで言えば干しシイタケってことじゃないですか!?
うまみ成分倍増ですよ、つまり!

加工する前に十分に乾燥することで、割れたりそれたりすることが防げる、と聞きましたが、それだけじゃなくてなんかそういうプラスアルファもあるんじゃないかな……!?、とか考え出したら妄想は止まりません。
いや、でもこの発想は悪くないかも。
きっちり乾燥して、うまみ成分倍増した木材を使って、家具を作る。その家具がまた何百年もいろんな人に使われたりする…。
それってすごい豊かなものじゃないでしょうか!

(続く)

「木」ともう一度出会いたい③~南会津のWOODBANK~

いろんな木が勢ぞろい!
「きこりの店」には、今、覚えているだけでも、さまざまな種類の木が集められていました。 ブナ、カエデ、栗、スギ、キハダ、くるみ、ナラ…。

あとでお店のHPをみてみると「30種類以上の」と書かれてました。そんなにたくさんの木材があるんですね~。
店内には、木材状態のもの、屋外の展示場には丸太の状態の木がたくさん置かれていました。

並べて見てみますと、木によって年輪の目の詰まり方、色味、においがそれぞれ特徴があることがわかります。
たとえば、キハダという木は、その名の通り黄色です。わあ、ほんとに黄色いんだなあ~、と素朴な驚き。「キハダ」と聞くと、どうもキハダマグロを連想してしまいます。少しおなかがすいていたのかもしれません。

それから、眺めてますと、…なんかこう、好みってありますね!
なんか、あの人のことが気になってしまうのよ、理屈じゃないのよ、みたいな。

私の好みは、手前のブナ。樹皮がほわ~んとしててなんかかわいい。

私の好みは、手前のブナ。樹皮がほわ~んとしててなんかかわいい。

特に丸太の状態だと、樹皮もあるし、素人にもわかりやすいです。
私が好きだなあと思ったのは、ブナの木。樹皮がグレー地の上にちょっとグリーンがかった色や白が乗っていて、なんかほわ~んとしててかわいい。
私が「かわいいわ~いいわ~」を連発していると、
「いくさんって思わぬものを「かわいい」って表現するよね」とハタさん苦笑気味。
「かわいいじゃん、なんかいとおしいっていうか…思わず抱きつきたくなるって、そういう感じだよ!」
と力説する私。苦笑しつつもハタさんは、
「実際に、生きてるブナは、また神秘的なんだって。ブナの森に行くと幻想的な美しさにびっくりするってよく聞くよ」、と教えてくれました。

むむむ。それは見てみたい。確かにこんなにほんわ~とした樹皮の大木がたくさん生えてたら、そりゃもうきれいだろうなあ。

WOOD BANK!
さて、そんな展示場から、今度は木材の保管場所に移動。丸太を製材すると、1~2年ほど乾燥させる必要があるらしいんですが、きこりの店さんでは、「WOOD BANK」というシステムを運営されてるそうなんですね。
ラボラトリーさんでも、こちらのシステムを使って、木材を保管・乾燥させてるとのこと。

wood bankの一部。すごい広いです。

wood bankの一部。すごい広いです。

製材された木はこちらで静かに保管され、時を待っているんですね。南会津の澄んだ空気と、冬季の乾いた空気・低い気温が保管に適しているんでしょうか。

ラボラトリーさんの区域の一部。それにしてもすごい量ですよ~~!

ラボラトリーさんの区域の一部。それにしてもすごい量ですよ~~!

(続く)