「苔」という身近だけど謎な存在
「苔」って一体なんなんでしょう?
日陰の湿ったところや、石にへばりついたりしている植物の一種??…それくらいの回答ができるのが精いっぱいなわたくし。
身近にありながらも、意外と「苔」について考えたりすることはないもんですね。生き物が好きです、と言いながら、こんな体たらく^^;。
正直言ってこれまでの私にとっての苔は、石造物に生えているコケ(地衣類)やお寺の庭にある苔…ってくらいの存在でした。でも、この観察会に参加して、がぜん目が開かれてしまいましたよ!
苔の研究者に案内していただく贅沢な時間
今回の観察会は、尊敬する先輩編集者Yさんお誘いいただきました。
Yさんは、動植物の図鑑や書籍のライティングや編集などをされて大活躍のお方。とくにキノコ・鳥といえば、Yさん、(と私は勝手に思っているんですけど)ってなかんじで、素晴らしい編集者です。専門的知識もすごいのですが、とにかく何でも面白がってくださるので、私はそんなY さんに甘えて、よく一緒に遊んでいただいてます。
今回は、そんなYさんのご人脈で知り合ったというコケの研究者N先生主催の観察会に、ラッキーなことに私もお誘いいただいたということなのです。苔のことは全くわからない素人ですけど、こんな贅沢な機会逃すわけにはまいりません。喜び勇んで鎌倉に出かけました。
「では、さっそく行きましょうか」
参加者は私を含めて4人。集合するや否やN先生はそう言ってさっそうと歩きだします。向かうは【東慶寺入口】。……あくまでも「入口」ですよ。今回はお寺や神社をめぐりますが中には入りません!あくまでも「苔」が主役だから(笑)。
お寺好きな私は、あるい意味門前まで来て中に入れないというのは苦行みたいな感じですけど、今回は仕方なし!
今日は、私は「苔の人」…と念じながら苔に集中しようと心に決めましたw。
東慶寺入口の苔
まず最初はこちら!コバノチョウチンゴケ、という苔の新芽。美しい黄緑色。
長く伸びているのは「胞子体」という部分。苔は雌株と雄株に分かれているそうなんですが、こちらがあるということは、これは雌株ということになるそうですよ。
そして、この狭いエリアにまだまだいろんな種類の苔があるんだそうで!
こちらは「サヤゴケ」。樹皮に生育する種類だそうですよ。丸い黄緑のつぼみみたいなのも「胞子体」。なんだかかわいいです。
このサヤゴケは、低地に生えてる木の皮に着床して生育するとのことですが、日当りのいいところにも生えるものなんですって。コケ、と言えば湿気のある場所、日蔭、と思い込んでいた私としては目からうろこな感じ。
そしてそして、このサヤゴケがくっついていた樹には、また別の種類のコケ(みたいなもの)がついてまして…
この、白いシミみたいな部分。このシミみたいなのもコケの一種で、もっとちゃんというと「地衣類」の一種だそうですよ。こういうの樹によく見かけますよね。
カビみたいにも見えますが、これは地衣類という種類の生物。菌類と藻類の共生生物なんだそうで、植物ではなく、どちらかといえば菌類なんですって(なんだそりゃ!ってかんじですけどもw)。
こちらの地衣類は、コナイボゴケという種類らしいんですけど、名前に「コケ」ってついちゃってますよね。この辺が日本語の難しいところなんですけど、古来から日本文化では、地衣類とコケ植物を区別しなかったんですって。なので、地衣類にも「コケ」という名前がついてることがままあるそうで^^;。だからコケじゃないのにコケ、ってついてる生物なんですね。しかも、そういうことなんで、日本語的には「コケ」とただ言った場合には、この地衣類も含めて表現する、という習慣を許しているみたいです。でも、厳密には「コケ」ではない…うううう…
わあ、シロウト的にはめちゃくちゃこんがらがります!
前途多難!!
(続く)