【2017宗像・対馬・壱岐旅】⑥やっぱり行きたい!宗像大社の「中津宮」@大島

ここまで来たらやっぱり行きたい「中津宮」
神宝館の展示を見ていて、はたと気づきました。
沖ノ島には上陸できない、とよく聞くけど、中津宮のある大島がダメとは聞かないな……。
ってことは、行けるってこと??

受付で図録を買う際に、係の方に聞いてみると、「もちろん行けますよ~」とお返事。これから行けますか?という私を見て、バスの時間や船の時間を調べてくださいました(ご親切に、ありがとうございました~!)。
その後の私のスケジュールと合わせて考えてみると、滞在時間は35分だけですが、行けることが分かりました!

こ、これは行くしかありません!

慌てて、一の鳥居の近くにあるバス停へ、そこから神湊(こうのみなと)という港へ移動します。無事にバスに乗れた私は、慌てて友人が暮れたパンフレットを見直してみると、ちゃんと載ってました。わああ、もっとちゃんと読んでおけばよかった~!

バスで10分ほどして、海に到達しました。

無事、船のチケットもゲット!
高速船だと15分だそうです(普通の船は25分)。
あれだ~!

大島だ~!!

中津宮がある大島は、小さなのどやかな美しい島

とりあえず、この船が到着し、私が乗らなくてはいけない船が出るまでの時間は35分です。中津宮は波止場から歩いて10分くらいと聞いています。
つまり、中津宮に滞在できる時間は15分のみ!

船の中でそんなことを考え、シミュレーションしたりしながら、到着。

Googleマップを見て「よくわからないけど、多分あの辺だ!」とインプット。

暑いけど、一分でも長く滞在したいので、走ってむかいます。

あ、あった~!!

走ったこともあり、5分で到着しました。……や、やった。えらいぞ私。
この時、半分熱中症の中、焦って撮った写真はだいたいこんな状態。
逆光で何やら、ものすごく神々しい雰囲気に…

い、いや。でもこちら、とてもいい!いい感じです!
そんな気持ちで浮ついていろんな角度で写真を撮ろうとしますが、…
いや。ちょっと待って私。

この階段、走って上がるだけでも絶対3分はかかる……。というよりも、3分で登らないと間に合わない。
写真を撮ってる場合ではないのです!(でも撮る!)

ぬお~~~~!!

いや、ほんと、最近ウォーキングとか剣道とか頑張っておいてよかった。
体力なかったらたぶんここ3分って無理。
そして、拝殿が現れました!

わあああ‥‥

なんてキレイなんでしょう。

こちらに祀られているのは宗像三女神のうち、「湍津姫神(たぎつひめのかみ)」というかた。
野本寛一先生の『神と自然の景観論』というご本の中には、湍津姫神とは、「激しい海流」を神格化したものを考えて差支えない、とあります。
さて、こちらの裏手には「天眞名井(あまのまない)」という、名水があります。「天の眞名井」とは、高天原(たかまがはら)にあるという井戸のことで、宗像三女神が生まれた物語「アマテラスとスサノオの誓約」で、口に含んだ水はこの眞名井のものだとされています。

ぜひ、見たい!

しかし、時間がない!

走って行けば間に合うかもしれない。
でもそうしたら、ご朱印をお願いする時間がない。

それにそもそも、焦って走って行って、水を少しいただいて取って返すってのは、なんか失礼な感じです。

その瞬間、「これはもう一度お詣りするべき場所ってことだな」と、あきらめました。
それに、大島には、沖ノ島を遥拝する場所もあります。今回はもちろん行けないわけですから。きっともう一度来なくてはいけないってことですよね。

とにかく本殿にお詣りできただけでも十分です。
そう思うことにしました。

とはいえ、やはり時間はありません。
ご朱印をお願いして、待つ間だけ少しゆったりと境内を眺めました。

優しくて、何か少し大人しい女性な感じ。なんか次女っぽい……。

やっぱり、来てよかったな。
ふと、そう思いました。

お社に居られた時間は15分だけだけど、でもこの優しい空気感を感じられたのは、とても意味がありました。

次回はもっと余裕を持って参詣したいです。
出来たら、大島の中の民宿に一泊してみたい。
そんなふうに思う、優しい場所でした。

(続く)

【2017宗像・対馬・壱岐旅】⑤価値観のインフレ発生!「神宝館」、フロア全部「国宝」状態の凄さ

注意!しばらく「第二宮・第三宮」は修復工事中

高宮斎場から下り、右手に曲がると第二宮・第三宮があります。第二宮には沖ノ島の沖津宮に祀られている「田心姫神(たごりひめのかみ)」、第三宮には大島の中津宮に祀られている「湍津姫神(たぎつひめのかみ)」の分霊がそれぞれ祀られています。
現在は修復中とのことでお詣りできませんが、神さま方の分霊は、本殿のほうに遷してあるので、そちらで一緒にお詣りすればいいとのことでした。
じつは、こちらの第二宮・第三宮の建物は伊勢神宮の内宮別宮(ないくうべっくう)の社殿だったものだそうで、伊勢神宮にしか許されない建築様式「唯一神明造」だと聞いていたので、できれば拝見したかったんですよね。残念!

もし、こちらもぜひ、という方がいらしたら10月以降に予定されるといいと思います!(できれば、電話で確認したほうがいいかもしれません)

「神宝館」、そのほとんどが国宝という贅沢さ

そして、沖ノ島の神宝をおさめた「神宝館」へとやってきました。

「沖ノ島神宝」8万点は、一括して国宝に指定されています。「海の正倉院」とも称される沖ノ島の神宝は、4世紀後半から約550年もの間の、貴重な古代祭祀の遺物であり、祭祀の姿が変遷していく様を、そのままに伝えてくれています。

今回、ちょっと冷静な面持ちでこちらを拝見できたのは、2014年8月に丸の内の出光美術館で開催された「宗像大社国宝展」でちょっと免疫があるからなのです。有名どころは今回二度目、というものもありましたので、だいぶ落ち着いてみることができました。
それにしても、あれもこれもそれも「国宝」!
同じフロアを見ていた年配の男性グループが「なんじゃ、どれが国宝なんかわからへんのう」「ほんまや」といった会話をずっとしておりましたが…

――お父さんたち。

ここのフロアにあるもの、全部「国宝」、っすから!!

と話しかけたくなるのをずっとこらえるのが大変でした。
確かに沖ノ島関係の展示、全部国宝なので、わけわからなくなります。
普通だったら大きなフロアに国宝が一点ある、とかですよね。
未指定のもの、市指定のもの、県指定重要文化財が来て、国指定文化財、そして、一番盛り上がるところに……「おおお、これが国宝ですか!」どっかーん、…みたいな感じじゃないですが。それだって十分にすごい話なわけです。
しかしここでは価値観のインフレが起こっちゃうって言うか…

3階フロアの後半に、社伝の文化財も展示されてましてですね。宋代の狛犬や、足利尊氏奉納の胴丸と兜に、宗像大社文書など、大変貴重なものばかりです。すべて国指定重要文化財なんですけど、むしろ目立ちますよね。逆に。

春日大社さんの国宝殿も同じような気持ちになりましたが、ほんと、あるところにはまとめてあるんですね。

(ご覧のように立派でなかなか広い建物ですので、ご注意を!)

あ、とんでもなく余談ですけど。
こちらの建物三階建てでかなり広いですし、何しろ展示されているものも国宝ばかりで、時間をかけて拝見したくなりますが、おトイレが一階にしかないので(ムトウ調べ、たぶん)、気を付けてください!
私は、三階でおトイレに行きたくなったのですが見当たらず、かなり焦ってはしたなくも失礼ではありましたが、階段を走り下りておトイレ探してしまいました。ちなみに、エレベーターは一基あったと思いますが、一般の方は階段を使用、という感じでしたのでその点もご注意を。

(続く)

【2017宗像・対馬・壱岐旅】④宗像大社辺津宮に在る「聖地」の空気感

いよいよ宗像大社へ、GO!

東郷駅近くの日本料理店「史」で、美味しいお魚を堪能した後は、バスに乗って宗像大社を目指します。

余談ですが、宗像市って「宗像駅」がないんですね。宗像大社の最寄り駅は、「東郷駅」。市役所の住所を見ても「東郷」なので、このあたりが中心地ということになるんでしょうか。
宗像市のHPを見ると、昭和の大合併(昭和29年)の時に、東郷町、赤間町などの町が合併して「宗像町」となり、その後人口が増えて「宗像市」になったんだそうなので、その気配を今に伝えている、と言ってもいいのかもしれません。

駅のある内陸部から、海の方へと向かいます。ちょっと岡みたいな地形、のどかな田園地帯を越えると左手にいよいよ現れました!

宗像大社、辺津宮です!!

さて、ここから正面を歩いて行きますと…

石橋のさきに二の鳥居が見え、その先の本殿が見えてきました。

おおお。
なんとも重厚な、厳かな本殿です。

世界文化遺産に登録が決定した矢先でしたので、ひとで溢れているかと思っていたのですが、そんなことはなく、とても静かです。

こちらが本殿・拝殿です。
こちらには、「宗像三女神」のうち、「市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)」が祀られています。

さっそく本殿にお詣りしご挨拶をすませると、以前友人がプレゼントしてくれた宗像大社パンフレットのマップを見てみました。(以下、パンフレットからマップを転載)

お寺さん以上に、神社は敷地が広いことが多いですよね。
しかも、思いもよらない小さなお社が実はとても重要なお社だったりします。ですので私の場合、初めて参拝するときには、社務所の方にどのような順でお参りするとよろしいでしょうか、なんて聞いてしまうこともあります。
大きなお社なんかですと、こうした地図の入ったパンフレットを配ってらしたりしますので、ぜひ社務所などをチェックしてみてくださいね!

さて、せっかくですので、このパンフレットにある通り「推奨ルート」の順に巡ってみたいと思います。

古代祭祀の姿を伝える「高宮斎場」――神籬(ひもろぎ)とは

国指定重要文化財の本殿・拝殿(安土桃山時代再建)も素晴らしいのですが、今回、実はもっとも楽しみにしていたのは、この二番目「高宮斎場」を拝観することなんです。

静かな木立の中を進んでいきますと、15分ほどしてぐんと空気が変わるエリアに到達しました。

参道を進んでいくと直角に左折、その正面〔どん詰まり〕ではなく左手に、木の柵で覆われ、平らかで玉石がひかれた広場が現れました。周囲には常緑樹が茂り、祭壇の先には「神籬」と思われる枝の別れた常緑樹が見えます。

「神籬」は神の依り代(しろ)のことです。
この高宮斎場は、宗像三女神が降臨した場所だそうで、今も古式ゆかしい神籬ならではのお祀り方をされているということだそうで…。宗像大社さんにとって、沖ノ島と同じくらい大切な場所なんだそうです。

すみません、上の写真では、実際の中の様子がよくわからないと思います。
しかし、気配に押されて写真撮るのやめちゃいました(びびり)。

私以外に人がいなかったということもありますが、この濃密な空気ときたら…。これは「お行儀良くしなければ…」と思ってしまう場所ですよ。

なんとなくぎこちない形で拝礼すると、少し緊張したまま、来た道を取って返します。先ほど左折したところ右折すると、「ほうっ」と息を吐きました。ここから、空気が軽くなるんです。

いや、こんなこと言うと「???」と思われてしまうかもしれません。単に私はびびりだからかもしれませんが、ある種の「危機察知能力」が強いんじゃないかと思うんです。
霊感、とかそう言うのともちょっと違います。もっとプリミティブな衝動というか…
動物が生存するために持っている直感のようなもの…(多分)。

ですので、けっこうこの感覚あたります。
そんな経験があるので、「わ、わわ…」と感じるところには入りませんし、入ったとしてもものすごく大人しくします。理屈じゃないこうした感情を、古来、「畏れ」と呼んできたのかもしれませんね。

「聖地」というのは、古来より聖地であることが多いと思いますが、それはどの時代の人間にとっても、何か「畏れ」を感じさせるものがその場所にあり続けている、ということなのではないでしょうか。

宗像大社の高宮にも、そんな空気を感じてしまったのでした。

(つづく)