「木を料理する」ということ
ラボラトリーのシャチョー、えーいちさんは、家具を作ることを説明するときに、よく「木を料理する」という表現をします。
料理上手な彼らしい表現だなあ、と感心してましたが、今回実際に木を切って木材にしていく過程を見せてもらって、ああ、なるほど…と妙に腑に落ちてしまいました。
丸太を板にして、その板をWOODBANKで乾燥させるそうなんですが…
えーいちさんと工場長が、板の取り方(使い道によってどうカットするか変わるみたい)など打ち合わせをした後、大きな板鋸(いたのこ)みたいな機械でカットしていきます。
工場長は、淡々と、さらりと木材を美しくスライスしていきます。
木の硬さや節の入り方はそれぞれ違います。難しいことは全くわかりませんが、そういった特性をうまく均しながら木材にしていく、ということはおそらくとても難しいんだろうなあ、と思いました。
まさに、職人のお仕事ですよね。
カットされた板には木の削り粉が付いています。
ふわっと木のいい香りが立ち上ります。
「…美味しそうだな」
その時、ふとそんな風に思ってしまいました。
別におなかがすいてたわけじゃないですよ。でも、健康で新鮮な植物の香りというか…。そんな香りを嗅いで、食欲を感じた自分を感じたら、ああ、木だって植物なんだもんなあ、となんだかすとんと腑に落ちたような気がしてしまったんです。
木の粉はしっとりとしています。木は、刈られて丸太になってなお、こんなにも水分を持っているんですね。生き物なんですよね。ますます美味しそう。
そう思ったら、えーいちさんの「木を料理する」と言っていた言葉が、より理解できたような気がしてきました。
こんなに美味しそうな木材を使って、家具を使う人たちのために心をこめて家具を作る。ああ、それは料理だわ。そんな家具はきっと綺麗で健康な家具になりますよね。そうだよなあ。
そして、再びWOODBANKへ
こうしてカットされた木材は、WOODBANKで保管し、乾燥されます。
何ですか、この乾燥って、イカで言えば干しイカ。シイタケで言えば干しシイタケってことじゃないですか!?
うまみ成分倍増ですよ、つまり!
加工する前に十分に乾燥することで、割れたりそれたりすることが防げる、と聞きましたが、それだけじゃなくてなんかそういうプラスアルファもあるんじゃないかな……!?、とか考え出したら妄想は止まりません。
いや、でもこの発想は悪くないかも。
きっちり乾燥して、うまみ成分倍増した木材を使って、家具を作る。その家具がまた何百年もいろんな人に使われたりする…。
それってすごい豊かなものじゃないでしょうか!
(続く)