戦国時代のあの三人を描く「あるじ」シリーズ第一弾!『あるじは信長』/岩井三四二著

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歴史上の人物で人気ランキングを作れば必ず上位に上がってくるであろう「織田信長」。ですけども。

皆さん、織田信長ってどう思われますか?

彼がやってきたことを見ていきますと、正直言ってなんだってこんなに人気あるんだろう、って思ってしまうようなほんとうに難しい人物です。でもこういう苛烈な人物像というのは、やっぱり表現者の方々の創作意欲を書きたてるんでしょうね。それこそありとあらゆる「信長像」が創作されてきました。悪の権化だったり、悲しみを抱えて傷つきやすい青年だったり、マザコンだったり、実は女性だったり、両性具有者だったり。

ほかの人物でここまで様々なイメージで描かれた人物はまずいないんじゃないでしょうか。そう考えますと、やはり、魅力的な人物なんだと言わざるを得ないですね。

ただ、どの作品にも共通して描かれているのは、信長に振り回される家臣たちの姿かもしれません。実際、こんな人物が上司だなんてたまらないですよね。
本当に大変だと思いますよ!
とにかく絶対的な成果主義。心の休まる暇もなさそう……。
個人的には 「上司にしたくない歴史上人物ナンバー1」なんじゃないかと思いますけど、いかがでしょうか。

さて、前置きが長くなってしまいました。今回文庫化のお手伝いをさせていただきましたのが、そんな家臣たちを主役にした岩井三四二先生の『あるじは信長』です!
20140425様々な立場の家臣たちが、それぞれ主役として登場する短編集です。

さすが岩井先生、と言ったセレクションなのですが、武将はもちろん、ほかにもいろいろな職種の人物が登場します。例えば、現在の書記官のような職業「右筆(ゆうひつ)」。お茶道や有識故実に詳しくその面で使える「同朋衆(どうぼうしゅう)」。相撲とりとして身辺警護も務める「御小人(おこびと)」などなど。

それぞれの立場・身分から、「信長」に仕える8人の人物たちが登場し、かれらを通して「信長」という人物像・有名な事件が描かれる…、という趣向です。

岩井先生ならではの、軽妙で明るいタッチでちょっと「とほほ」な雰囲気が何とも言えない連作短編集になっています。ですので、とても気軽に手に取っていただける読後感なのですが、実は、史料を読み込むのが大好きだという岩井先生でなければなかなか描けないような、相当な歴史的情報もしっかり組み込まれたお話なのです。信長には詳しい、という方にもぜひおすすめです。ちょっと違って側面から「信長」を見ることができるんじゃないかと思います。

そして本作は『あるじシリーズ』第一弾でして、第二弾は『あるじは秀吉』、第三弾は『あるじは家康』となっております。

「あるじ」はだれがいいか、…そんなことを考えながらそれぞれお読みいただくのもすごくお勧めと思います!

ぜひお手に取ってみてください!

 

 

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