朝から、ガツンと石室の美しさにやられた二人。
しかし、その余韻も冷めやらぬまま、今度は中世の板碑の世界へゴー!
行田市内で最も大きいという「真名板薬師堂板碑」をみにきましたよ。想像していたよりもなんだか大きなお寺さん。でも、現在はご住職はおらず、近隣の皆さんで管理してるとのこと。
おお!ありましたありました!
前方にある大きな銀杏の樹の間から覗いています。立派な板碑です。
どーん。
高さは3m51cmもあります!でかい!
紀名は建治元年(1275)といいますから、700年以上前に造られたものですよ。すごいですね~。
ちょっと表面に注目。
上に三つの丸みたいなのがありますが、これは「三弁宝珠」と呼ぶそうです。
仏教では「如意宝珠(にょいほうじゅ)」というめちゃくちゃパワーを持った玉(見た感じ桃みたいな形)があります。「思いのままに願いをかなえる宝の珠」という意味で、よく仏像が持っていたり、単体で祀られたりしています。
この板碑の場合、阿弥陀さんを表す梵字(種子)・キリークが真ん中にどんとあって、上に三弁宝珠が並んでますね。
石田氏のお話では、こうして三弁宝珠を刻むことで、ご本尊の阿弥陀さんを「おごそかに飾り付ける」という意味があるそうです。またこれを「荘厳(しょうごん)」するというんだそうですよ。ほほ~~。
その下の方を見てみると、なんか変なものがありますよ!
中央の左右、磨滅してしまってますが、中央の縦は、「南無阿弥陀佛と書かれていたのがわかります。でもその左右に謎のレリーフ。イラストのように、多分これ、「五輪塔」というスタイルの塔を刻んでるんですけど、なんか屋根の途中が離れてますよ?
たぶん、ここにも何か書かれていたんでしょうけど、まったく今はもう何が何だか…。何が書いてあったんでしょうね?w
そんな話をしていたら、石田さんが「フンフン」と鼻息を荒くしておられます。この「フンフン」はいつも穏やかで優しい石田さんが憤慨されているシグナルなのです。
「なんかさ、…うまかろうってかんじがしてこない?」
そう言って、鋭く種子とその下の蓮台を厳しく見つめています。
「確かにうまいと思う。でも『ほら、こんなにうまく彫れるんだぞ、どうだ』ってかんじじゃない?」
うんうん!
私も激しくうなづきました!わかる~!
そうなんです、すごい上手だと思うけど、なんか「どうじゃ~~」って威圧感があるような気がしちゃうんです。
やっぱなんていうんでしょうか。包まれたいっていうか。せっかく極楽浄土に一緒に連れてってもらえるんだったら、優しい阿弥陀さんにお願いしたいな、っていうか。そういう気持ちがあるわけなんですよ。
そう考えてしまう私たちとして、もうちょっと包容力のある空気感のがいいなあ、と思ってしまうわけです。
そんなこんなで、ちょっと落ち着いてみますと…。
なんか横にちっちゃいのがある。めっちゃ小さくて視界に入ってませんでしたが、こちらもなんかよく見るといい感じですよ。
こちらの種子は「バン」、「大日如来」です。
調べてみたら、なんとこちらは1265年に造られたものだそうで、隣の巨大板碑よりもっと古い!ゴメン気付かなくて!
こうしてみてみると、こちらの板碑のほうが、地味だしそれほど上手ではないかもしれません。でも、優しい感じがして結構好き。
言うなれば。
巨大な方は、「おれは優しいぞ!ついて来い!」と正面から言われてるみたい、こちらはふと気づいたらいつも隣にいて気遣ってくれてた、みたいな。さりげない優しさ、みたいな(考えすぎ)。
いやはや、こうしていろいろ考えたりするわけですよ。
余分なことも、ね(笑)。
(イシブカツvol.8③へ続く)