中村彰彦先生の「疾風に折れぬ花あり」、第二回目掲載の文蔵が発売されました!
文蔵は毎月17日発売の文庫型雑誌です(雑誌型文庫というべき?)。
第二回は、いよいよ、武田家がのっぴきならない状況になっていく様子が描かれています。武田信玄は戦国の雄であり、また、代々関東の名家であっても、滅ぶ時にはこんな風になってしまうのか…というそんな風に思ってしまう展開…。
武田信玄の末娘・松姫が主人公の本作品。滅びに向かって転げ落ちていくようなお話の中で、今回も匂い立つような美しさです。
なんといいましょう、浮世離れしているというか、過酷な運命を背負わされる人の、ただ人ではない気配……とでも申しましょうか。滅びの中の光と申しましょうか、いや、泥の中の蓮花というほうがあっているかも…。
彼女の同母兄の五郎盛信もまた、美しい。信玄の死後統領になった異母兄・勝頼の愚行が滅びを引き寄せたと理解しながら、しかし、武田家の男として、武将として、信念を貫くことを決めてしまいます。そして妹には「生き延びてほしい」と後事を託すのです。
歴史に「もし」はあり得ないのはわかっていますが、「もし」、五郎盛信が武田信玄のあと、武田家を継いでいたら、歴史は大きく変わったことでしょう。そんなことを強く強く思ってしまう今回のお話。
ぜひ、皆様もお手に取ってみてください!
(むとう)