戦国時代のあの三人を上司にしたらどうなる?「あるじ」シリーズ第二弾登場!『あるじは秀吉』/岩井三四二著

3月から文庫化されて大好評の「あるじシリーズ」第二弾がいよいよ登場しました!第一弾は信長、…とくればもちろん第二弾は【秀吉】ですね!

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秀吉、と言えば、日本史上最も出世した人物と言っていいでしょう。

後付けで自分の家柄をいろいろ飾り立てようとしてますけど、彼の生まれが庶民であったことは皆さん異論はないのではないでしょうか。

庶民、と言ってもかなり貧しい部類。裕福なところから出世したのではなく、本当にゼロベース、いえ、ひょっとしたらマイナスベースからスタートした人です。

本書の帯にもありますがまさに「出世しすぎ」たひと。今後もここまですごい人はなかなか出てこないんじゃないでしょうか。

さて、本書はちょっと凝った趣向になっておりまして、1617年、二代将軍・徳川秀忠にお伽衆・山名禅高(やまなぜんこう)が、秀吉について「七不思議」と自ら名付けて呼んでいる逸話を披露する、という体裁になっています。
どういう出自なのか、なぜあれだけ出世できたのか、家来をどうやって育てたか、中国大返し、唐入りについてなど、それぞれを、秀吉近くに仕えた人から聞いた話として、秀忠に語るという趣向です。
岩井先生らしい、おもわず「くすっ」と笑ってしまうようなそんなお話に仕上がっているんですが、よくよく考えてみたら、もし自分がその家臣の身になったら、こんな上司はたまらんわあ、と少しぞぞっとしてしまいました。

それにしても、出世しすぎる人に仕える、というのも部下にとっても相当に大変なことですよね。本書の帯「出世しすぎる上司、右往左往の部下」とありますが、まさにしかり。

ぜひお手に取ってみてくださいね!

(むとう)

「疾風に折れぬ花あり」(中村彰彦著)、第8回「天の咎め(2)」掲載!

ご報告が遅くなってしまいましたが、4月半ば、中村彰彦先生の「疾風に折れぬ花あり」、第8回目掲載の『文蔵』2014年5月号が刊行されました。

5月号の文蔵の表紙イラストは、燕と菖蒲、いや、アヤメかな。この可憐さはアヤメな感じですね。
20140504燕、と言いますと、私は「ツバクラメ」という読み方が好きなんですけど、皆さんどうですか。ツバクラメ、ってなんかかわいいですよね。

さて、表紙は相変わらずほんわりかわいいですけど、我らが「疾風に折れぬ花あり」の松姫さんは、変わらずのっぴきならない状況です。

前号では、織田軍による武田の残党狩りが始まり、戦国時代の常識からしてもあまりにも過酷な方法で迫る残党狩りの手から逃れるため、松姫さんはいよいよ他国へ脱出するため出発しました。

今号では、塩山の向嶽寺に隠れていた松姫さん一行、とにかく織田家の手が届かないであろう、北条家が治める相模国、またその先の武蔵国を目指して、過酷な山道を進みます。

そのルートは、今も昔もあまり変わらないんです。
山梨から、東京(武蔵国八王子)に抜けるルート。甲州街道・最大の難所・笹子峠を越えて、大月、上野原、案下峠をこえ、陣馬街道を東進すると、八王子の恩方へと抜けます。

さすが甲斐の国・山梨、山国ですね。戦国時代、いえもっと昔から人が通る道はそうそう増えないということでしょう。

しかし、この道を、女性を中心に、4歳児3人もつれて徒歩で。しかも追っ手の目を気にして、甲州街道から一本入った山道を歩いたりしていくわけです。本当に過酷な道行きだったろうと思います。

さて、松姫さんたちは、無事安住の地へとたどり着けるのでしょうか!?

ぜひ、お手に取ってみてくださいね!